今さら聞けない話題の「ゼロパーティ・データ」とは?

更新日 2022年09月15日

Googleは2022年7月、それまで「2023年末までに段階的に行う」としていたChromeにおけるサードパーティ・クッキーサポートの廃止について、「2024年後半より順次行う」との声明を発表し、サードパーティ・クッキーの廃止は延期されることになりました。Googleがサードパーティ・クッキーの廃止を延期するのはこれで2度目ですが、あくまでも廃止が延期されただけであって、中止になったわけではありません。近い将来、必ずサードパーティ・クッキーデータのサポートは廃止されるものと見られています。

そんな中で、今、注目を集めているのが「ゼロパーティ・データ」です。今回のブログでは、ゼロパーティ・データとはなにか、なぜ今、注目を集めているのかについて考察していきます。

データの種類をおさらい

ゼロパーティ・データとは何かを理解する前に、これまでよく耳にしていたファーストパーティ・データ、セカンドパーティ・データ、サードパーティ・データについておさらいしておきましょう。

ファーストパーティ・データ

企業が顧客から直接収集したデータ。たとえばサービス利用時に記入する氏名や住所、性別、生年月日、自社運営のECサイトでの購入履歴などがファーストパーティ・データです。間に第三者を介在させることなく、顧客から直接入手できるため、極めて信頼性の高いデータです。

セカンドパーティ・データ

セカンドパーティ・データは、自社のパートナー企業が収集したデータ、つまりパートナー企業にとってのファーストパーティ・データです。顧客からダイレクトにではなく、パートナー企業を介在して入手するため、ファーストパーティ・データに比べて信頼度は劣るとされています。

サードパーティ・データ

サードパーティ・データとは自社と関連のない、第三者(業者)が収集したデータで、企業は必要に応じて業者からデータを購入して利用します。サードパーティ・データは規模が大きく、自社やパートナー企業だけでは到底リーチできない規模のオーディエンスのデータを利用できるメリットがありますが、業者を介在して入手するため、ファーストパーティ・データやセカンドパーティ・データに比べると、透明性や正確さに劣るとされています。

そのスケールメリットを活かして広告配信や顧客分析などに広く使われてきたサードパーティ・クッキーですが、第三者のサイト間をまたいでアクセス情報をトラッキングしてデータを収集するため、「個人情報保護の観点から利用を制限すべき」との声が高まり、サポート廃止の流れが加速しています。

ゼロパーティ・データとは

そんな中、注目を集めているのがゼロパーティ・データです。

ゼロパーティ・データは、ファーストパーティ・データの中でも、特に顧客の意識や意図が反映されているデータのこと。たとえば、何かのメルマガの登録をするときに、氏名やメールアドレス、生年月日などを入力する項目のほかに、「興味関心のあるテーマを以下の項目から3つ選んでください」という項目があるのを目にしたことがあるでしょう。その項目に対して、あなたが「旅行」「美容」「ペット」と回答すると、その後、旅行や美容、ペットに関する記事がレコメンドされたり、それらに関連する商品のレコメンド広告が表示されたりするようになります。なぜなら、あなたが明確に「それらに興味関心があるので、情報が欲しい」という意図をもって提供したデータだからです。

この場合、氏名やメールアドレス、生年月日がファーストパーティ・データであるのに対し、あなたが意図をもって提供した興味関心に関するデータが、ゼロパーティ・データだということになります。

上の例からも明らかなとおり、消費者が情報を得るために自ら提供するゼロパーティ・データは、消費者の興味や関心を最もダイレクトに知ることができる、非常に貴重なデータです。つまり高い顧客インサイトに直結するゼロパーティ・データがあれば、的確なターゲティングとパーソナライズド広告の配信が可能になるということ。だからこそ、今、ゼロパーティ・データとそれを含有するファーストパーティ・データに注目が集まっているのです。

ゼロパーティ・データ(を含むファーストパーティ・データ)を集めるには?

顧客を動かす「対価」を用意する

ゼロパーティ・データの収集は決して容易なことではありません。ゼロパーティ・データは企業が顧客から直接収集するものなので、企業はこれまで以上に顧客との接点を増やす必要があります。

そしてリーチするだけでなく、顧客自らの意志で個人情報を提供してもらうよう促さねばなりません。顧客にデータを入力したり回答を考えたり、送信したりする労力や時間を使ってもよいと思わせる、魅力的な「対価」を示す必要があります。たとえば興味関心を持っているブランドの新商品の先行発売情報、お得意様限定セールの案内、会員限定イベントへの招待など、データ入力の手間や個人情報提供のリスクを差し引いてもなお、欲しいと思える「価値」を顧客に示し、ゼロパーティ・データの取得を促進しましょう。

設問内容や回答方法を吟味する

また、より精度の高いターゲティングとパーソナライズ広告の配信を実現するためには、リーチした顧客から何を聞き、どんなデータを収集すべきかを慎重に判断する必要があります。顧客が自らを偽ることなく、本当に興味関心をもっていることを回答しやすい設問、回答方法を考えてください。一度にたくさんのデータを得ようとして設問を多くすると、途中離脱してしまうユーザーも多くなります。的を射たコンパクトな質問を設計し、直感的なフォームで簡単に回答できるように工夫しましょう。

集めることを目的としない

データの数は多ければ多いほど良いのは間違いありません。しかし、データをただ沢山保有しているだけでは、文字通り宝の持ち腐れです。集めたデータを何にどう活用するのかの戦略を立て、貴重なデータを有効に使う方法を考えましょう。

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ファーストパーティ・データを強化・活性化

とはいえ、個人情報保護に配慮しつつ、高品質なファーストパーティ・データを集め、それを活用してインパクトのある広告を配信するのは、自社だけの技術では難しい…というケースも多いのではないでしょうか。そこで活用したいのが、criteoのファーストパーティ・メディアネットワークです。ファーストパーティ・メディアネットワークは、コマースデータとAIを組み合わせたシステムで、ファーストパーティ・データの収集、強化、活性化を促進。このシステムを活用すれば、消費者をはじめすべての人にメリットをもたらすスケーラブルなターゲティング、パーソナライズド広告の配信が可能になります。

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