クッキー廃止後の世界:企業や小売業者、パブリッシャーはどう受け止めているのか

更新日 2024年09月18日

今年1月、Google は Chrome トラフィックの 1% でサードパーティ・クッキーを廃止しました。 Google Chrome はオープンインターネット・トラフィックの 63% を占めるため、サードパーティ・クッキーに代わるソリューションへの移行はデジタル広告における緊急課題 となりました。

サードパーティ・クッキーの完全廃止は、5か月間のテスト期間および英国の競争・市場庁(CMA)によるテスト結果の評価によって時期がずれる可能性がありますのでご注意ください。 CMA の承認を得るまでこれ以上の廃止が進むことはなく、タイムラインは CMA によるルールの策定に基づいて変わります。

テスト結果はさておき、このマイルストーンおよび新たなデジタル広告の手法に取り組むにあたり、弊社では、エコシステム全体でどれだけ準備ができているかを理解したいと考えました。 米国、欧州、北東アジアにまたがる企業や小売業者、パブリッシャーのリーダー1,000人以上を対象に調査を行った結果、 次のことが明らかになりました。

準備できていない組織は少数派

どのプレイヤーも、Chrome でのサードパーティクッキー廃止に向けて、ある程度準備ができています。 世界中の企業の76%、小売業者の68% がある程度、または十分に準備できていると回答しています。 米国の企業と小売業者の準備率が最も高く(ある程度準備できているが83%、十分に準備できているが74%)、欧州が僅差で続いています。 最も影響が大きいであろうパブリッシャーが最も準備できていないと感じており、47% が準備の具合を「普通」または「わからない」と回答し、15% が「あまり準備できていない」と回答しています。

あなたは準備の進んでいない少数派ですか? アドレサビリティ・ハブ でクッキー廃止に備える方法をご確認いただき、他の組織に追いつきましょう。

代替ソリューションを組み合わせて広告の未来に備えたい企業が増加

調査の結果によると、世界中の企業の大多数が廃止に備えていると回答しているものの、多角的なアプローチをとっているの企業は約半数にとどまります。51% がサードパーティ・クッキーの廃止後、さまざまなソリューションの組み合わせに投資する予定であると回答しています。 アドレサビリティ・ソリューションを組み合わせて利用することを優先する企業は、規模やパフォーマンスといった面で健闘するでしょう。

小売業者は廃止後のオフサイトの収益化を優先

リテールメディア広告を提供する小売業者は、ファーストパーティ・データや独自のインベントリを豊富にそろえているおかげで、クッキー廃止後にオンサイト広告による収益を増やせる見込みです。 しかし、(オープンウェブ全体で小売業者のオーディエンスをエンゲージする)オフサイトの収益化は、サードパーティ・クッキー廃止による影響を受けます。

世界中の小売業者の大多数が、クッキー廃止によるオープンウェブでの収益化の規模への影響をある程度心配していますが、かといってリテールメディアのオフサイト広告を使用した戦略を止めるわけではありません。 このような小売業者の半分が2024年の目標達成にオフサイト広告が役立つと回答し、もう半分はオフサイト広告がリテールメディアの成長のカギを握ると考えています。 新たに獲得した収益源のカバレッジとパフォーマンスを最大化することで、小売業者は適切なアドレサビリティ・ソリューションの組み合わせを見つけることができるでしょう。

パブリッシャーはファーストパーティ・データを強化し、収益源の多様化を図ろうとしています

クッキー廃止の影響を最も感じやすいパブリッシャーは、その影響を緩和するため、ファーストパーティ・データと新たな収益源を優先しています。

パブリッシャーは特にクッキー廃止後の世界において、ファーストパーティ・データ戦略がいかに重要であるかを理解しています。 「ファーストパーティ・データの収集」をアドレサビリティ・ソリューションとして選択する組織が最も多く、 米国のパブリッシャーの3分の1以上、世界中のパブリッシャーの4分の1以上がファーストパーティ・データ戦略を最大限に活用する新たな方法として Google プライバシー・サンドボックスやセラー定義オーディエンスへの対応を予定しています。

収益化という面で見れば、世界中のパブリッシャーの5分の2以上がすでにサブスクリプションを活用しており、 3分の1以上がショッピング機能を備えたフォーマットなどの商品の販売から、4分の1がオーディエンスの拡張やデータの収益化から利益を得ています。

オープンウェブが引き続き規模やリーチの拡大を牽引

多くの企業や代理店が、オープンウェブに対する重点的な取り組みを今後も維持すると表明しました。37% の企業と代理店がサードパーティ・クッキーへの対応が段階的に終了したとしても、これまで以上にオープンウェブへの投資を増やすと回答しています。 また、約半数 (47%) が同じ投資水準を維持すると回答しています。

それもそのはず。アドレサブルな未来においてチャネルを超えた規模とリーチを叶えたい広告主にとって、コマースデータとオープンウェブを組み合わせることは必要不可欠であり、パブリッシャーもこの取り組みにより新たな収益源を得ることができるからです。

企業や小売業者、パブリッシャーが考えるデジタル広告の未来

全世界のコマースリーダー1,000人以上を対象としたアンケート調査から得られたインサイトを『The Great Defrag』レポートでご覧いただけます。 以下をクリックし、ぜひダウンロードしてください。

Ann Pyle

Annは、なるべくシンプルに、かつ明確に考えを伝える方法を見つけ出すことが大好きで、 お気に入りの「ファイト!」という言葉を実践するようにしています。 ...

グローバルコンテンツ シニアマネージャー