ウォールドガーデンの外に出て広告投資を多様化する方法

更新日 2025年04月14日

デジタル予算が増加する中、さらなる事業拡大のために、マーケティングが注目されています。この状況を受け、マーケティング担当者はこれまでの戦略を見直し、さらに大きなインパクトを残すための新たな方法を模索しています。ウォールドガーデンの活用にはメリットもありながら顕著なデメリットもあり、多くの広告主が再評価の必要性を感じていると言えるでしょう。

広告活動におけるウォールドガーデンとは

広告活動におけるウォールドガーデンとは、クローズドなデジタルプラットフォームを指し、そこには広告主によるユーザーデータへのアクセスや、効果の測定方法を管理する上での制約があります。Facebook、Google、Amazon などがその主なもので、広告主はプラットフォームのエコシステムを活用して広告配信することになりますが、透明性はあまり高くなく、共有されるデータにも制限があります。このような条件で、企業はデータの安全性を確保し、競争上の優位性を生み出しながら、ユーザー体験をコントロールできます。

ウォールドガーデンが存在する理由

ウォールドガーデンは、主に企業がデジタルエコシステムを管理し、ユーザーに厳選されたシームレスな環境を提供する場です。このようなプラットフォームは、コンテンツやアプリケーション、サービスへのアクセスを厳しく監視することで、安全で一貫したユーザー体験を確実に提供することを目指しています。また、ウォールドガーデンは、ユーザーをエコシステムに囲い込み、他のプラットフォームに移りづらくすることで、競争優位性を維持します。

ウォールドガーデンでの広告活動が見直される理由

データと透明性の欠如

「ウォールドガーデン=壁に囲まれた庭」という名前からもわかるように、ウォールドガーデン内で行われることはすべてその壁の中に留められます。広告キャンペーンに関連する内容も同じです。広告主によるデータへのアクセスには制限があるか、アクセスそのものができないため、レポートの内容は透明性を欠きます。また、ユーザーがウォールドガーデンの外に出てオープンウェブの閲覧を始めると、キャンペーンによって収集した情報は活用できなくなり、ショッピングジャーニーも断片化してしまいます。

ブランドセーフティに関する懸念

フェイクやヘイトコンテンツが数多く配信され、SNSに対する規制強化の声も高まる中、多くのブランドが広告を配信する枠を見直しています。また、ウォールドガーデンに対する訴訟や、そのようなプラットフォームに費用を支払って広告を掲載することによる自社への影響についても、一層注意を払うようになっています。

消費者も懸念を抱えている

SNSが急速に進化する現代において、フェイクニュースや誤情報は、大きな懸念であり続けています。国連の調査によると、世界中の人々の85%以上がインターネット上の誤情報に対して懸念を抱いています。1

ウォールドガーデンの外でデジタル広告キャンペーンを展開するメリット

1. 幅広いオーディエンスへのリーチ

オープンインターネットで広告を配信する最大のメリットの1つは、広大な未開拓領域にいるオーディエンスにリーチできることです。Criteo の調査によると、7割の人が重要なショッピングや初めての店舗で購入する前に、オープンインターネット上の記事に目を通しています。1 つまり、オープンインターネット上ではこれらの膨大な数のオーディエンスにリーチできるため、より広範な顧客ネットワークにつながるチャンスがもたらされるのです。

2. 消費者が多くの時間を費やしている機会へのアプローチ

消費者はかつてないほど長い時間をオンライン上で過ごしており、オープンインターネット上で過ごす時間は66%にも上ります。² ショッピング・ジャーニー全体で消費者と継続的に接点を持てば、新規・既存顧客から長期にわたってメリットを得られる可能性が高まります。

3. ブランド認知度の向上

オープンインターネットでは、ウェブサイトやプラットフォームをまたぎ、広範囲にわたってブランドストーリーを伝えられるので、認知度向上や潜在顧客に対する露出の増加が期待できます。

また、広告を掲載する場所をコントロールできるため、不適切なコンテンツの隣に自社の広告が配信されることを回避し、ブランドセーフティも確保することができます。

ウォールドガーデンでの広告に代わる広告

広告主は、広告費をより多くのチャネルに分散させることによってこのような懸念に対処し、消費者が時間を過ごしているあらゆる場所にリーチすることができます。もっとも、ウォールドガーデンの利用を完全に廃止すべきだと言っているわけではありません。マーケティング・ミックスの一部としてウォールドガーデンの利用を継続しつつ、その割合を減らしていくべきです。以下に、最近注目を集めているチャネルをご紹介します。

オープンインターネット

オープンインターネットはウォールドガーデンの外部に存在するあらゆるサイトやアプリによって構成されています。新聞やポータルサイトなどの大手プレミアムパブリッシャーをはじめ、スーパーやドラッグストアなどの小売業者、またテクノロジー大手企業以外の多数のサイトが含まれます。

パンデミックの影響で、これまで以上に多くの人々がインターネットを利用するようになり、信頼できるコンテンツや関連商品を見つける場所として、オープンインターネットを閲覧する時間が長くなりました。また、消費者へのリーチを図るマーケティング担当者も、コンテクスチュアル・ターゲティングから顧客エンゲージメント・キャンペーンに至るフルファネルでのアプローチに最適なチャネルとして、オープンインターネットを利用しています。オープンインターネットでは、オンライン動画広告(OLV)も盛んに行われています。OLV とは、ウェブサイトやモバイルアプリの動画コンテンツの前後や視聴中に表示される動画広告を指します。消費者にとっては視聴時間が短く、従来の広告の煩わしさを打開し、関心を向けてもらう上で役立ちます。OLV は商品の紹介に加え、短い時間での効果的なメッセージの伝達、没入感のある広告体験の創出に優れており、次々に移り変わる現代の消費者の関心をしっかり掴む戦略的ソリューションとして利用できます。

Apartments.comBonprix などの広告主は、オープンインターネット・キャンペーンから優れた効果を挙げています。こちらから成功事例をご覧ください

リテールメディア

リテールメディアは、小売業者の eコマースサイト、またはブランドが提供するアプリに配信される広告で、購入のタイミングで消費者に影響を及ぼします。また、訪問したユーザーがサイトを離脱した後に広告を配信し、再訪問を促して購入につなげる効果も期待できます。

新型コロナウイルス感染症によって多くの実店舗が閉店を余儀なくされましたが、消費者はその間にも気になる店舗や新しい店をオンライン上でチェックしていました。その結果、ブランドのデジタル・トランスフォーメーションが加速し、より多くの予算がオンラインでの活動に費やされるようになっています。ブランドはリテールメディアを利用することで、デジタルシェルフ、つまりデジタル上の商品棚を確保して購入意欲の高い消費者にリーチでき、競争を回避しながらオンラインの売上増加を図ることができます。また、サードパーティ・クッキーに依存しない、ブランドセーフティに配慮した環境で広告を配信できるという点でもメリットがあります。

1 出典:https://www.theguardian.com/technology/2023/nov/07/85-of-people-worry-about-online-disinformation-global-survey-finds

Ann Pyle

Annは、なるべくシンプルに、かつ明確に考えを伝える方法を見つけ出すことが大好きで、 お気に入りの「ファイト!」という言葉を実践するようにしています。 ...

グローバルコンテンツ シニアマネージャー