男性の生涯未婚率が25%超
総務省が発表した2020年の国勢調査で、生涯未婚率の上昇が大きな話題を集めました。同調査によると、1985年に3.9%だった男性の生涯未婚率は約6.5倍の25.7%へ、女性は4.3%から3.5倍増の14.9%へと大幅増を記録。男性の約4分の1が生涯未婚であることを示す数字を見て、驚いた人も多いのではないでしょうか?生涯未婚率の上昇は今後も続くと見られていて、政府の社会保障・人口問題研究所による将来推計(2015年国勢調査データに基づく推計)では、2040年に男性の生涯未婚率は29.5%、女性は18.7%に達すると予測されています。
生涯未婚率上昇の背景としては、「若者の賃金が低く、結婚できない」「適齢期の女性の流出が多く、地方在住の男性が結婚相手を見つけられない」といった貧困・就職問題や男女人口のギャップが指摘されていますが、それ以上に、日本人の結婚観自体の変化、つまり「必ずしも結婚しなくてもよい」という考え方の定着が影響しているものと考えられています。
婚姻数も前年比-12.7%と激減
実際に結婚したカップルの数(婚姻数)も減少の一途をたどっています。厚生労働省の人口動態統計によると、第1次ベビーブーム世代が25歳前後のいわゆる結婚適齢期を迎えた1970年代前半には、年間100万組が結婚していましたが、その後1970年代後半から2010年までは年間70万組に、2011年以降は年間60万組へと婚姻数は目に見えて減少傾向に。そして、コロナ禍だった2020年は52万5507組で、前年の59万9007組より7万3500組も減少し、婚姻率(人口1000対)も4.3と、前年の4.8を大きく割り込みました。
ただでさえ結婚するカップルの数が減っているところに、コロナ禍による外出自粛で出会いやデートの機会が激減、結果として婚姻数の大幅な減少を招いたと見られています。
婚活サービスを通じて結婚したカップルの割合、3年連続過去最高を更新
こういった状況の変化を受け、いわゆる婚活のスタイルにも大きな変化が起きています。
リクルートのブライダル総研が行った「婚活実態調査2021」によると、「恋愛もしくは結婚意向がある恋人のいない独身者」のうち婚活サービス(結婚相談所、ネット系婚活サービス、婚活パーティ・イベントの3サービス)の利用経験があると回答した人は27.2%で、4年連続で増加(2017年15.6%→2018年18.1%→2019年23.5%→2020年25.5%→2021年27.2%)。婚活サービスの中でも特に利用が多かったのが、近年台頭しているネット系婚活サービスで全体の21.8%を占めており、かつての定番だった「結婚相談所」(5.5%)、「婚活パーティ・イベント」(9.0%)を大きく引き離しました。
ネット系婚活サービスの利用率の高さも注目に値しますが、さらに驚くのは、その成婚率の高さ。同調査で婚活の実施によって結婚できた人の割合は、婚活サイト(44.7%)、結婚相談所(41.7%)、お見合い(22.2%)、知人に紹介を依頼(21.9%)、婚活パーティ・イベント(20.2%)となっており、婚活サイトを利用して結婚した人の割合が最も高くなっています。
以上のようなネット系婚活サービスの台頭もあり、2020年の婚姻者のうち、婚活サービスを通じて結婚した人は16.5%で3年連続過去最高を更新しました。この背景にあるとされているのが、婚活サービスに対する意識の変化です。「婚活実態調査2021」でも、「婚活サービス=結婚のための効率的な手段」ととらえるなど、独身者の婚活サービスに対するイメージが向上していることがわかりました。特にオンライン婚活やオンラインデートを好む傾向が高まっており、3割以上が「オンライン婚活であればコロナ禍でもできる」、「婚活には新型コロナウイルスの流行は関係ない」、「オンライン婚活は気軽にできる」と回答しています。
同様に、オンラインデートについても、3割以上の人がリアルデートよりも「費用を抑えながら婚活ができる」や「時間が自由」、「周囲の目線を気にせず会える」と好意的に捉えていることもわかりました。ほんの一昔前までは、結婚相談所やマッチングサイトで出会いを探すことは、どこか気恥ずかしく大っぴらにできない雰囲気がありましたが、最近では婚活サービスを利用すること自体が、ごく当たり前の行為になりつつあるようです。
生涯未婚率の上昇とともに注目を集めているのが、出生数の激減です。2022年6月3日に発表された2021年の人口動態調査によると、2021年の日本の出生数は前年より2万9,231人少ない81万1,604人と、1899年の調査開始以来過去最少を記録、日本は、これまでとは桁違いに深刻な少子高齢化時代に突入しつつあります。婚姻数の減少は少子化にダイレクトに繋がるため、市や町をあげて婚活支援に取り組む動きも活発になってきています。コロナも落ち着いて、リアルの出会いの場が復活しそうな2022年後半、婚活・結婚市場にどのような変化がみられるのか、要注目です。