2022年のCES、4大トレンドは?

去る1月3日~7日、世界最大規模のテック見本市として知られる「CES(Consumer Electronics Show)2022」が、ネバダ州ラスベガスで開催されました。

昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインのみでの開催でしたが、今年はオンラインとリアルのハイブリット開催を断行。17万人以上が来場していたコロナ禍前の盛況ぶりには遠く及ばないものの、全世界からスタートアップ約800社を含む約2,300社が出展、入場者は延べ4万5,000人。また、入場者のうち30%はアメリカ以外の119か国から参加しており、CESの国際的注目度の高さがうかがえる結果となりました。

開催後に主催者側が発表した今年のCESのトレンドは、①自動車関連技術、②デジタルヘルス、③AI、④スタートアップ企業の4つ。それぞれ概要を見ていきましょう。

①自動車関連技術

同じく1月に開かれるデトロイト・モーターショーの衰退が取りざたされる中、CESには世界中から190社以上の自動車関連企業が出展し、BMW、現代自動車、Indy Autonomous Challenge、Stellantis、ベトナム初の自動車メーカーVinFastなどが最新作を披露しました。

空飛ぶ車を出展した日本のスタートアップ企業・スカイドライブ(本社:東京都新宿区)は、ブースで展示車に試乗できるということもあり、多くの人の注目を集めました。

②デジタルヘルス

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、注目を集めたのがデジタルヘルス業界。Abbott社やEssence社、 Baracoda Daily Healthtech社など、気鋭の企業が多数出展。最新の遠隔医療、コネクテッド・ヘルス・デバイス、ウェアラブルのヘルスデバイスが数多く展示され、この分野への関心の高さが伺えました。日本からはテムザック(本社:福岡県宗像市)が、治療を嫌がる小児患者を模した臨床用ロボットを出展し、注目を集めていました。

③AI

今回のCESで圧倒的多数を占めたのが、AIを活用した商品やサービス。AIが農業からヘルスケア、自動車、製造業、エンターテインメントに至るまで、ほぼすべての主要産業を発展させる技術として広く浸透していることが証明される結果となりました。John Deereは初の完全自律走行型トラクターを、Beyond Honeycombはカスタマイズ可能な食事の下ごしらえと調理を行うAI対応ロボットを出展、話題をさらいました。

④スタートアップ

並みいる出展企業の中でも、今回のCESではスタートアップ企業の存在感が目立ちました。CES 2022のスタートアップ・ハブであるEureka Parkでは、前述の日本のスタートアップ企業・スカイドライブ社のエアタクシー「SkyDrive」のほか、Every Human社が開発したAI分析を活用して香りをパーソナライズするオーダーメイド香水「Scen Tronix」、AIによる全自動食品ロス監視システム「Orbisk」など、世界19カ国から800以上のスタートアップが紹介されました。なお、JETROが後援する「J-STARTUPブース」には、日本から過去最多の52のスタートアップ企業が参加、自社製品をアピールしていました。

メタバース関連ではShiftallのデバイスに注目

Shiftallのメタバース用デバイス(画像出典 Shiftallニュースリリース

開催前、今年のCESの目玉になるだろうと言われていたメタバース関連の製品は、出展数こそ多かったものの、そのわりに際立った製品がなかった・・・という声も。そんな中で、注目を集めたのが、パナソニックの子会社「Shiftall」が出展したメタバース用デバイス3種(超軽量VRヘッドセット「MeganeX」、ウエラブル冷温デバイス「Pebble Feel」、メタバース対応音漏れ防止機能付きマイク「mutalk」)。

「MeganeX」は、SteamVRに対応した超高解像度・超軽量のVRヘッドセットで、年間2,000時間以上メタバース内で過ごすヘビーユーザーにも、重さを感じさせず、快適なプレイ環境を提供してくれます。メガネ型のスピーカー内蔵の折りたたみフレームで、持ち運びも容易。マイクロOLEDディスプレイを搭載し、世界最高水準の映像体験を実現します。

Pebble Feelは人体を温めたり、冷やしたりできるパーソナル・エアコン。専用シャツと組み合わせて着用することにより、人体との接触部分(首元)を瞬時に冷却・加熱することができます。専用のSteamVR用アドオンを利用すれば、VRChatのようなメタバース空間で、寒さ・暑さを体験することが可能に。メタバース利用だけでなく、暑い日に涼んだり、寒い日に温まるための道具としても使える優れものです。

「mutalk」は、自分の声を周りに聞こえにくくする、音漏れ防止機能付きのBluetoothマイク。専用バンドで顔に固定できるので、両手がふさがっている状況でもハンズフリーで会話が可能。大きな声でボイスチャットしても周囲の人に迷惑をかけることがありません。ビジネス用途での利用も想定されており、ストラップを外せば、話したい時だけ口に当てる使い方が可能。静かなオフィスやカフェなどで電話会議をしても、周りに迷惑をかけたり、内容を聞かれてしまう心配がなくなります。

これらのメタバース関連の技術が向上すれば、近い将来、CESのような見本市もメタバース空間で行われるようになるのかもしれませんね!来年のCESは2023年の1月5日~8日まで。次回はどんなチェンジメーカーが会場を盛り上げてくれるのか、来年はどのような開催形式になるのか、引き続き注目を集めそうです。