2022年も残りわずか。今年はみなさんにとって、どんな1年だったでしょうか。ロシアによるウクライナ侵攻から始まり、世界的な物価高、歴史的な円安など、先行きの不透明さに不安を覚えた方も多いのではないでしょうか。そんな時代の雰囲気を如実に表すのが流行語。今年はどんな言葉が生まれ、流行ったのか、三省堂が発表した「2022年を代表する10の新語」について、紐解いていきましょう。
1位は「タイパ」
2022年を代表する10の新語は、三省堂が一般公募で集まった言葉をもとに、辞書編集者らが厳正に審査した上で選定したものです。今回栄えある(?)大賞に選ばれた言葉は「タイパ」です。「タイパ」は「タイムパフォーマンス」の略語で、あることに費やした時間から得られる見返りや利益のことを指します。「映画を倍速で視聴して、タイパを上げる」「タイパ重視で動画を早送りする」というふうに用いられ、2020年くらいから主に若者層の間で日常的に使われるように。三省堂では「録画したドラマや映画を倍速で視聴する、粗筋だけわかるように編集された『ファスト映画』を観る、音楽のさびのみを聴くなどの行動にみられる、できるだけ時間をかけずに効率よく成果を得ようとする風潮の中で多く使われる」と分析しています。
2位は「〇〇構文」
おじさんがメールやLINEなどで使いがちな言葉や絵文字を「おじさん構文」、相手が不快になったこと自体を謝罪するだけで、その原因となった自分の非については何も述べない文章=「ご不快構文」などのように、特定のジャンルの人が使いがちな文章表現について揶揄する表現方法として「〇〇構文」が使われています。
3位は「きまず」
語源は形容詞の「気まずい」。若者たちは、大して気まずくない場面でも相槌感覚で使っているようです。三省堂が挙げている使用例は「ライブ会場で会おうね」⇒「きまず」、というものなのですが、なぜ、「ライブ会場で会おうね」の返しが「きまず」なのか、上の世代には理解しづらい感覚かもしれませんね。
4位は「メタバース」
投稿数NO.1だった「メタバース」は、2022年に最も注目を集めた新技術の1つ。三省堂の定義では「ネットワーク上に構築される、三次元グラフィックの仮想空間、利用者はアバターを操作して仮想空間に参加する」となっています。
5位は「〇〇くない」
「できつんじゃない?」を「できるくない?」、「行ったんじゃない?」を「行ったくない?」など、「~くない?」を語尾につける人が増えています。三省堂では「日常の話し言葉を大きく変える可能性が感じられる」と分析しています。
6位は「ガクチカ」
就職活動用語で「学生時代に特に力をいれたこと」の「学(ガク)」と「力(チカラ)」を組み合わせた言葉。すでに10年ほど前から使われている言葉ですが、コロナ禍で学生生活が制限されていたため「ガクチカ」として語れるものがなく、困っている学生が多いということで、話題になりました。
7位は「一生」
「ずっと」という意味で使われます。「疲れて昨日は一生寝てた」「今日は友達の家で一生お菓子を食べていた」というふうに使われます。
8位は「酷暑日」
2022年に日本気象協会が最高気温40度以上の日を「酷暑日」とすることを発表、注目を集めました。ちなみに、「酷暑日」はかつて最高気温が35℃以上の日を指すマスコミ用語として使われていましたが、気象庁が35℃以上の日を「猛暑日」と呼ぶようになったため、40℃以上の日を「酷暑日」としたそうです。
9位は「闇落ち」
今まで善良だった人が何かがきっかけで邪悪な行為をしたり、怖い人になったりすることを指す言葉。「彼は陰謀論を信じ込み、闇落ちしてしまった」というふうに使います。これも以前からある言葉ですが、三省堂では「2022年のNHKの大河ドラマ「かまくら殿の13人で北条義時の性格豹変に対して使われるなど、一般的に普及しているのが感じられる」と分析しています。
10位は「リスキリング」
社会人がある職業に必要とされる技能の習得を改めて行うこと。特に近年、別の職種に就く場合や同じ職種でも新たな技能が必要とされる場合に、それらの技能を習得することを指して使われるようになっています。岸田首相が国会でリスキリングなどの支援に5年間で1兆円を投じるという趣旨の発言をしたことでも注目を集めました。
さて、1位~10位までの新しい言葉、皆さんはいくつご存じでしたか?
特に3位の「きまず」や5位の「〇〇くない」、7位の「一生」は若者特有の言葉なので、知らないと「??」となってしまい、変な誤解を生んでしまいそう。あらかじめ意味を把握しておけば、戸惑わずに済みますよね。注意したいのは、無理して若者言葉を使わないこと。「おじさん構文」と揶揄されてしまうかもしれません!