中学受験、塾代は3年間で250万円
2月初めの首都圏の中学入試を皮切りに、今年も本格的な受験シーズンがやってきました。ただでさえ過酷な受験生活にコロナ禍のストレスも加わり、入試に立ち向かう子どもたちやその家族にとっては、まさに試練の季節です。
特に今年は中学受験に挑む子どもたちの姿を描いた漫画「二月の勝者―絶対合格の教室―」がドラマ化されたこともあり、中学受験を取り巻く過酷な状況が改めてクローズアップされました。都市部では近年、中学受験が過熱しており、
東京都教育委員会によると、2021年には、東京23区で中学に進学した小学生のうち約23.90%、実に4人に1人が私立中学に進学しています。進学希望者が増えることで、人気校や難関校の門はますます狭くなり、子どもたちの競争も激化しているのです。
「2月の勝者」でも描かれているように、一般的な学校の授業内容だけでは中学入試(特に難関校の入試)に立ち向かうのは非常に困難で、いわゆる「受験テクニック」を身に付けるための学習塾への通塾が欠かせません。文部科学省の「子供の学習費調査」によると、小学生の通塾率は公立小学校が約4割、私立小学校では約8割にのぼっています。通塾の回数は小4では週に2~3回ですが、学年が上がるごとに増え、小6になると週に3~4回の通常授業に加えて、夏期・冬期講習なども加わり、子どもたちは学校以外の多くの時間を塾で費やすようになります。当然、通塾の費用も学年が上がるごとに増えていき、模試や学習教材の費用なども含めると、小学4年生~6年生の3年間で、250万円ほどかかるとも言われています。
これだけ高額になると、当然、費用を捻出できない家庭もあり、通塾や受験そのものをあきらめざるをえない子どもも出てきます。こうした状況に「家庭の経済力によって塾に行けるかどうかが左右され、行けない人が不利になる状況は不公平だ」との声も聞かれます。
また、現状の中学入試を始め、日本の入試が主に子どもたちの暗記力や知識量を問う形式で行われることについて、「国際社会との隔たりが著しい」と指摘する声も。2022年1月19日、自民党の下村博文前政調会長は、教育改革を目指す超党派議員連盟の設立総会で「今は、ゼロから何かを生み出すような創造性やマネジメント能力が必要な時代だ。暗記・記憶中心のインプット教育や、受験テクニックを教える日本の教育は通用しなくなってきている」と指摘し、改革の必要性を訴えました。
改革に期待はするものの、筆記試験で合否が左右され、その後の進路に大きな影響を及ぼすという現実がある限り、「高い塾代を払ってでも、我が子に受験対策をさせてやりたい」という保護者の心理は変わらないでしょう。少なくとも、今後しばらくは「二月の勝者」を目指す競争は、続くものとみられます。
コロナ禍で社会人の「学び」への意識が変化。
ユーキャンは受講者が1.5倍増
こうして10代の子どもたちの多くが受験勉強に励む一方で、大人たちの学びはどうなっているのでしょうか。
日本では「教育期→仕事期→引退期」という直線型の人生を歩むのが一般的で、いったん教育期を出てしまうと、仕事に必要な資格取得などがない限り、学習の機会を失ってしまう人が大多数。諸外国のように、社会人になってから再び大学などで学び直す人は、まだ少数派なのが現実です。
実際、文部科学省が発表した「高等教育の将来構想に関する参考資料」によると、日本の高等教育機関(大学、短大、専門学校など)への進学率は80%と世界有数の高さであるのに対し、社会人になってから高等教育を受ける人の割合は極めて低く、25歳超の大学入学者は全入学者のわずか2.5%と、OECD平均の6.8%を大きく下回っています。学び直したいという気持ちはあっても、仕事が忙しくて大学や大学院に通う時間がない、周囲の理解が得られない…といった理由から、二の足を踏む人が多いのではないでしょうか。
しかし、コロナ禍を機に、働く大人たちの「学び」に対する姿勢にも大きな変化が起きています。
生涯学習大手のユーキャンが2021年12月に発表した意識調査で、「新型コロナ感染拡大で新たに始めたこと」を聞いたところ、「資格取得や語学習得に向けた勉強」と回答した人が全体の15.1%に上り、約6.7人に1人が勉強を始めていることがわかりました。
さらに、新型コロナ感染拡大の中での資格取得に対する意識を質問したところ、33.3%が「もともと資格を取りたいと思っていたが、さらに必要性を感じるようになった」、26.7%が「資格取得には関心がなかったが、必要性を感じるようになった」と回答し、合わせて60%が資格の必要性を感じていることが明らかになりました。雇用や景気の不安から、仕事に役立てたり、収入増につなげたりすることを目的に資格取得を目指している人が増えていることがうかがえます。
大学や大学院に行くハードルは高くても、資格取得のための学習なら、通信教育を活用すれば自宅でコツコツと取り組めるので、社会人の「学び」としてはかなり現実的です。実際、コロナ禍(2020年4月~2021年3月)におけるユーキャンへの受講者数はコロナ前(2019年4月~2020年3月)に比べて1.5倍も増加しているそうです。
講座の受講者数が増えている資格の種類にも、新型コロナによる影響が見て取れます。ユーキャンでは、IT知識が身につく国家資格「ITパスポート」の受講者が2倍、エクセルやワードのスキルが身につく「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト(MOS)」の受講者も同じく2倍に増えています。新型コロナの影響で、リモートワークを採用するなど業務のDXを推進する企業が増えていることを受けて、IT系のスキルや知識のブラッシュアップを図ろうとする人が多いようです。
厳しい受験シーズンが終わると、新しいスタートの季節がやってきます。成長する子どもたちに負けないように、通信講座やオンライン講座を活用して、学びの機会を見つけてみるのも良いかもしれませんね!
なお、ユーキャンのウェブマーケティング活動にはCriteoのプロダクトが採用されています。詳しくはこちらの事例をご覧ください。