2024年の夏は梅雨が長く、梅雨明け後は猛暑の予想
2024年の春はいわゆる花冷えが続き、桜の開花も例年になく遅かったですね。昨年は猛暑に苦しまされただけに、思わず「今年は、夏もそんなに熱くならないのでは?」と期待してしまいましたが、やはり現実はそう甘くはありません。気象庁が4月に発表した3カ月予報によると、① 地球温暖化やエルニーニョ現象の影響などによって、地球全体で大気の温度がかなり高くなっていること、② エルニーニョ現象の名残によってフィリピン付近から日本の南海上で太平洋高気圧が強く、日本付近には高気圧の縁辺を回る暖かく湿った空気が流れ込みやすいことから、日本付近は暖かい空気に覆われやすく、4月から6月にかけては、全国的に気温は平年より高くなる見込みとのこと!
さらに、今年は南海上の太平洋高気圧が強まりにくいため、6月は梅雨前線の北上が遅れ、梅雨入りが例年より遅れるため、厳しい暑さに見舞われる予想が出ています。そして7月に入ると梅雨前線が停滞して、梅雨明けが遅れ、西日本や東日本の太平洋側で長雨や一時的な低温のリスクが懸念されています。一方、梅雨明け後は太平洋高気圧の勢力が強まりやすい予想。予想どおり太平洋高気圧が強まれば、ここ10年の暑さを上回って、昨年(2023年)に匹敵するような猛暑になる可能性があり、残暑も厳しくなるものと見られています。6月から8月の平均気温が1898年の統計開始以降で最も高く、「過去最も暑い夏」だった2023年の夏と同じくらいの猛暑を、今年も覚悟しておいた方がよさそう。昨夏、国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化ではなく地球沸騰化の時代が来た」と警告したとおり、これからは猛暑の夏がデフォルトとなっていくのかもしれません。
夏物商材の売上は「最高気温23℃」に注目
暑さの到来が早まるということは、夏物商戦も前倒しになるということでもあります。冷たい飲料やアイスクリーム、制汗剤など夏物商材は春ごろからじわじわと売り上げを伸ばし始めますが、最高気温がある気温を超えると、売上が大きく伸び始めます。その気温とは、何℃だと思いますが??
正解は、23℃。最高気温が23℃を超えると、長袖から半袖に切りかえる人が増えます。そして飲料や冷たい麺類、日焼け止め関連の商材が大きく伸び、消費者マインドに本格的な夏へのスイッチが入ると言われています。ここでは気象庁が株式会社インテージSRIデータをもとに作成した京浜エリアのデータをもとに、気温と夏物商材の売り上げとの関係をご紹介しましょう。
出典:日本気象協会
【最高気温20℃(4月中旬ごろ)】
最高気温が20℃を超えるようになると、アイスクリームやスポーツドリンクなど冷たい食べ物、飲み物の売り上げが大きく伸び始めます。動くとじんわり汗をかき始める季節でもあるので、制汗剤の売上も伸び始めます。また、20℃を超えるとハエなどの昆虫の動きが活発になることから、殺虫剤の売り上げが伸び始めるのもこの時期です。
【最高気温23℃(5月上旬頃)】
最高気温23℃を超えると、汗をかきやすくなり水分補給の機会が増えることから、麦茶、炭酸飲料、ミネラルウォーターといったドリンク類の需要が大きく伸びます。そして、この時期から売り上げが伸び始めるのが、生麺・茹で麺やハム類。そう、冷やし中華を食べる機会が増えるのも、この時期ですよね!なお、23℃は長袖⇒半袖の衣替えの目安となる気温。半袖・薄着の機会が増えるにしたがって、日焼け止め対策アイテム(日焼け止めや日傘など)が売れ始めます。
【最高気温25℃(5月下旬頃)】
最高気温25℃を超える「夏日」が増えると、本格的な暑さの到来。夏バテ対策を意識して健康・栄養ドリンクの売上が伸び始めます。また脱毛剤などのエチケットアイテムの売上も伸び、ファッションも本格的な夏モードに。梅雨入りを前に湿度も上がり始めるので、浴室など水回りのカビ対策商品も売れ始めます。また、25℃を超えると蚊の活動も活発になるので、殺虫剤の売れ行きもピークを迎えます。
【最高気温28℃(6月中旬頃)】
最高気温28℃を超えるようになると、夏バテや食欲不振に陥る人が増えるためか、豆腐類やもずく・めかぶなど喉越しがよく食べやすいメニューの売り上げが伸び始めます。冷たい麺類を食べる機会が増えることから、乾麺やつゆ・煮物料理の素の売上が伸びる時期でもあります。
上記の時期はあくまでも目安であり、特に温暖化が著しい昨今では、目安として表記した時期の1か月前には、各最高気温を記録するのも珍しくありません。地域にもよりますが、最高気温23℃であれば4月上旬、最高気温が25℃以上の夏日であれば、ゴールデンウィーク前には突発的に出現する可能性も十分考えられます。熱中症や夏バテ、食欲不振など暑さは健康状態やQOL、仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えることから、暑さ対策となる夏物商材は幅広い年代から満遍なく高いニーズが望めるアイテムでもあります。売上が増える時期の目安を念頭に、日々の気象情報もこまめに確認して、貴重なビジネスチャンスを逃さないようにしましょう!
参考文献: 日本気象協会News