あのエルメスもマンガを顧客とのコミュニケーションツールに
世界に誇る日本文化の1つ、マンガ。社会現象と言えるほどの大ヒットとなった「鬼滅の刃」のように、最近ではマンガとして誕生した作品が映画化やアニメ化されて多媒体で展開されるようになっていること、企業とのコラボレーションが盛んに行われるようになっていることにより、その経済効果はますます大きくなってきています。ちなみに、第一生命経済研究所の試算によると、「鬼滅の刃」の経済効果は、なんと2700億円を超えるとみられているのだとか。
マンガの魅力は、なんといっても読みやすく、ぱっと見ただけで内容が頭に入ってきやすいこと。そして登場人物が絵として視覚化されていることで、文字だけの小説などよりも感情移入がしやすい点だと言われています。最近ではアイドルの追っかけのようなノリで、好きなマンガのキャラクターを「推し」として崇拝する熱心なファンも現れ、キャラクターグッズやラインスタンプなどの関連商品やコラボカフェなどが続々登場、マンガの市場規模は広がり続けています。
こうしたマンガ人気の高まりを背景に人気を集めているのが、広告などにマンガを使う「マンガ・マーケティング」です。ここ最近、マンガを広告や顧客とのコミュニケーションツールとして使用する企業が増えており、2021年3月にはフランスの人気ブランドHERMESが、自社の社史を綴るマンガ「新版 エルメスの道」をWEB上でリリースしたことが話題を集めました。
※エルメスの道(以下のサイトから無料で読めます)
マンガ広告が好きな理由1位は「ストーリー性があるから」
SNS広告でのマンガの活用も広がっています。約30年前からマンガ広告の政策を手掛ける「トレンド・プロ」が行ったSNSの広告形態に関する調査で、「SNS広告において、あなたはどれを最も見たいと思いますか?」という質問に対し、全体の21%がマンガ広告と回答。動画投稿サイトやアプリの人気が勢いを増す中にあっても、SNS広告では実写動画広告よりもマンガを好む人が多いことがわかりました。
また、同調査でマンガ広告が好きな理由を尋ねたところ、「ストーリー性があるから」(35%)が最も多く、次いで「理解しやすいから」(24%)、「キャラクターがいるから」(15%)、「インパクトがあるから」(12% )と続きました。
商品やサービスについて、文字や写真での説明に終始するだけの広告ではなく、その活用シーンや開発秘話などをストーリー性のあるマンガで描く広告に人気が集まっていることがわかります。
では、実際にマンガを広告に活用した企業は、どのような手ごたえを得ているのでしょうか?マンガ・マーケティングを数多く手掛ける株式会社シンフィールドのウェブサイト(https://mangamarketing.jp/category/success/)では以下のような成功事例が紹介されています。
- 一般社団法人秋田犬ツーリズム
→キャラクターを主人公にした4コマ漫画をSNSで配信したところ、インプレッション約2.7倍、エンゲージメント数約5.5倍、エンゲージメント率約2倍を達成。
- 日総工産
→求人募集を目的にマンガランディングページを採用したところ、CPAが約2分の1に大幅改善。
商品やサービス内容により向き・不向きはあると考えられるものの、今後、マーケティング施策の1つとして「マンガ」の可能性を探ってみる価値は大いにあると言えそうです。