自販機からカーブサイドピックアップまで。 非対面・非接触ニーズに応えるショッピングサービスが人気

更新日 2021年12月29日

長引くコロナ禍で大きく変わった消費活動。感染者が減少傾向にある地域では、少しずつ日常を取り戻しつつはありますが、まだ混み合う実店舗での買い物や対面での買い物を控えたい・・・というニーズは根強く残っています。今回はそんな「非対面・非接触」のニーズにこたえる新たなサービスをピックアップしてお伝えします。

多様化する自販機サービス~触らず買えるアプリが人気

日本は世界でも有数の「自販機王国」。ドリンクの自販機だけで全国に210万台以上が設置されていると言われています。ドリンクの自販機の多くは観光地や繁華街に設置されていることが多いので、コロナ禍による外出自粛に加え、「不特定多数の人が触るボタンを押したくない」「おつりで出てくるコインを触りたくない」という声もあり、売り上げは減少傾向に。そんな中、「触りたくない、でも非対面で飲み物が買いたい!」というニーズに応えて支持を集め、すでに3000万ダウンロードを達成しているのが、コカ・コーラ社の公式アプリ「Coke On(コークオン)」です。

非接触で飲料が買える「Coke-ON」出典:日本コカ・コーラプレスリリース

キャッシュレス決済機能「Coke ON Pay」対応の自動販売機で、「Coke ON」アプリからクレジットカード等の決済カード情報を登録、もしくはPayPay、LINE Pay、楽天ペイ、au PAYなどの電子決済サービスと連携することで、キャッシュレス決済が可能に。スマートフォンを「Coke ON Pay」対応のステッカーが貼ってある「スマホ自販機」に接続、アプリを操作するだけで、自動販売機本体に触れることなく製品を購入することができます。

また、これまで自販機で売られることのなかった商品を販売する自販機が続々登場し、注目を集めています。

牛丼大手の松屋では、対面での購入や店舗での飲食に抵抗のある客層をターゲットに、2021年11月、東京都江東区内の店舗前に初の冷凍自動販売機を設置、牛丼やカレーのレトルト商品、冷凍とんかつや「牛めしバーガー」の販売を開始しました。

出典:松屋フーズホールディングスプレスリリース

出典:アルファクラブ武蔵野プレスリリース

また、意外性で注目されているのが、「ケーキの自動販売機」です。2021年12月24日に埼玉県大宮市内のベルヴィ 大宮サンパレス/GLANZ前に設置された販売機で購入できるショートケーキ缶「シュシュ」もその1つ。ショートケーキを透明の缶型ボトルに入れることによって、「型崩れ」の問題をクリアするとともに、いわゆる「インスタ映え」する見た目を実現、販売前から話題を集めました。ちなみに価格は1個850円~950円と、一般的なショートケーキに比べると少々高めの設定となっています。

店に入らずに実店舗を利用する「カーブサイドピックアップ」

一方、ECショッピングでも新たなサービスが登場しています。その1つがアメリカで昨年来一気に広まった「カーブサイドピックアップ」です。

一般的なECサイトでは、オンラインで注文後、翌日以降に商品が自宅に配送されてくる方式がとられており、注文から商品到着までの間のタイムラグがどうしても生じてしまいます。したがって、「今日使いたいもの」や「今すぐ欲しいもの」を手に入れるには、実店舗に行かざるをえません。とはいえ、感染が怖くて混雑する実店舗にはなるべく行きたくない・・・という人も多いはず。この「すぐに商品を手に入れたい。でも、店には入りたくない」という消費者心理に響いたのが「カーブサイドピックアップ」です。

カーブサイドピックアップは、小売店のECショップで選び、オンラインで注文した商品を実店舗の駐車場で受け取れるサービスのこと。オンライン注文後に所定の時間に駐車場まで行けば、すでにパッキングされた商品をスタッフが車に積み込んでくれるので、実店舗に入らずに商品を受け取ることができます。また、決済もオンラインで済ませているため、レジに並んで対面で支払いをする必要もありません。つまり、カーブサイドピックアップは、注文と商品受け取りの間のタイムラグを埋めると同時に、なるべく非接触・非対面で買い物をしたいというニーズをも満たす、今の時代にぴったりのサービスなのです。

アメリカではすでに多くの小売店が、カーブサイドピックアップなどオンライン注文品を実店舗で受け取れるサービスを導入しており、Criteoが2020年10月にアメリカのマーケティング担当者を対象に行った調査では、全体の53%が「導入している」と回答しています。

カーブサイドピックアップは、店舗側にも「事前に注文してもらえるので、在庫管理がしやすい」「最低利用料金を設けているため、客単価が上がる」「店舗内の営業時間に制限がかけられている期間中も、一定の売上が期待できる」といったメリットがあるため、今後もコロナの感染状況に関わりなく、ショッピングの1つの選択肢として定着していくのではないかとみられています。

日本でも無印良品やカインズが一部の店舗で、オンライン注文の商品を受け取れるロッカーを設置するなど、オンラインと実店舗を融合させた非対面・非接触サービスを提供する企業が増えつつあります。withコロナの時代はもちろん、afterコロナの時代にも実店舗とオンラインにまたがる非対面・非接触サービスを充実・継続させることで顧客の選択肢を増やすことは、顧客満足度の向上につながり、ひいてはファーストパーティデータの拡充、オムニチャネル戦略の充実など大きな成果をもたらすと言えるでしょう。