Seller Defined Audiences (SDA)は、IAB Tech LabのProject Rearcから生まれた最初のIDに特化したソリューションで、パブリッシャーがファーストパーティデータ戦略をよりコントロールできるようにし、サードパーティのIDへの依存を減らすことを目的としています。
SDAこれだけは押さえておこう!
- 2022年2月下旬、IAB Tech Labは「Seller Defined Audiences」(SDA)として知られる新しいアドレサビリティ仕様を発表しました。
- SDA は、パブリッシャーがファーストパーティのオーディエンスデータを関連するコホートにセグメントし、OpenRTB の入札リクエストでこれらのコホートのIDをDSPに渡して決定することを可能にします。
- SDAは、サードパーティのユーザー識別子や大雑把なコンテキスト・ソリューションへの依存を減らし、代わりに、パブリッシャーが自社の複数のプラットフォームにまたがるメディアのユーザーアクティビティに基づいて、自社のファーストパーティ・オーディエンスを関連するコホートにセグメントすることを可能にします。
Seller Defined Audiencesとは?
2022年2月24日、IAB Tech Lab は「Seller Defined Audiences」(SDA)として知られる新しいアドレサビリティ仕様を発表しました。これは、2023年に予定されているGoogle のサードパーティークッキー廃止に対するIABの対応策である Project Rearc から生まれた最初のイニシアチブです。
Seller Defined Audiences は、パブリッシャーが貴重なファーストパーティ・データを活用することを可能にします。さらに重要なことは、データ漏えいのリスクやサードパーティの識別子に依存することなく、それを拡張できる点です。また、PMP やディールベースの仕組みに依存せず、OpenRTB の入札リクエスト・メタデータとしてビッドストリーム内で動作します。つまり、SDA は OpenRTB がサポートするブラウザ、アプリ、CTV環境においてシームレスに動作することができるのです。
SDA では、パブリッシャーはユーザーを IAB の Audience Taxonomy カテゴリの1つ以上にセグメントすることが求められます。現在、3つの分類(購買意図、興味関心、人口統計)に基づく約1700の利用可能なカテゴリがあります。
Seller Defined Audiences は、3つの基本的なステップで構成されています:
- パブリッシャーは、ファーストパーティのオーディエンスを評価し、DMPとともに、ユーザーをIABの約1700のオーディエンス分類法のカテゴリーにマッピングします。これは、Data Transparency Standard(DTS)として知られる標準化された透明性スキーマを使用して行われます。
- パブリッシャーは、ORTB 2.6仕様を使用して、関連するタクソノミーのセグメントIDを入札リクエストに含めます。IABは現在、SDA値を渡すためにPrebid.orgのヘッダービディング・インテグレーションをを推奨していますが、(おそらく摩擦の少ない)他の方法も存在しています。
- DSP は SDA メタデータ(つまりタクソノミーのユニークID)と共に入札リクエストを受信し、入札判断を行います。
SDAコホートの仕組み
オーディエンスのコホートは目新しい概念ではありませんが、Seller Defined Audiences の背後にある実際の仕組みは新しいものです。
Google Topics のようなアルゴリズムで生成されたソリューションとは異なり、SDA は機械学習や確率論的なロジックに頼らず、ユーザー属性を推測します。その代わり、SDA はパブリッシャーにとっての宝の山ともいえる、保有するファーストパーティ・データとオーディエンス・インサイトを全プロパティでの活用を可能にします。さらに、Google Topics は、1700の SDA コホートデータベースが提供する粒度とは対照的に、(現時点で350あるコホートグループよりも)はるかに広い範囲のコホートグループに依拠しています。
つまり、ユーザーが単に「スポーツ」が好きだとプラットフォームが自動的に判断するのではなく、パブリッシャーは、興味>スポーツ>馬術>競馬のような非常に具体的な SDA コホートを割り当てることができ、広告主がはるかにきめ細かいターゲティングを行えるようになります。その結果、より多くの入札成功と収益増の向上が期待できます。
パブリッシャーにとって Seller Defined Audiences が意味するものとは?
パブリッシャーから見た SDA の最も興味深い点は、サードパーティのクッキーやID、技術パートナーに依存することなく、きめ細かいファーストパーティ・データを大規模に収益化する方法を提供している点でしょう。また、単一の技術環境に依存せずにこれを行うことができるため、ブラウザ、アプリ、CTVのユーザーを SDA コホートに含めることができます。さらに、パブリッシャーはデータを完全にコントロールすることができ、関連するセグメントIDをパブリッシャー側で割り当て、入札リクエストを通じてデマンドサイドの意思決定に利用することができます。
重要なのは、SDA が複数の既存のプログラマティック・テクノロジー(OpenRTB、Prebid、DTS(Data Transparency Standard)など)を利用し、プライバシー優先のコホートベースのターゲティング・ソリューションを実現していることです。これは、クッキーのない世界でアドレサビリティを維持する単一のソリューションは存在せず、むしろ各プログラマティック・プレーヤーに固有のソリューション・スイートが存在するという、現在の業界の傾向を反映しています。
IABはSDAの発表の中で、このことを非常に簡潔に表現しています。いわく、 「SDA は、業界のための切り札であるとまでは言わないが、我々が手にしている打ち手の中の貴重なツールです。」そして、業界の各プレイヤーが現在見極めようとしている他の多くのクッキーレス対応ソリューションのように、SDA はあなたのビジネスに合うかどうかは、一見の価値があると言えるでしょう。