話題のリテールメディアについてCRITEO Japanのリテールメディア事業担当者が解説する「シリーズ リテールメディア解説」。
今回はリテールメディア広告のうち「オフサイト広告」の特徴、オンサイト広告と相乗効果について、CRITEO Japanでリテールメディア事業を推進する牧野臨太郎と松尾友直が解説します。
「シリーズ リテールメディア解説」その他の記事はこちら:
(1)『リテールメディアの基礎知識 』
(2)『日・米リテールメディア市場の現状』
(3)『CRITEOリテールメディアの概要~オンサイト広告』
(4)『CRITEOリテールメディアの概要~オンサイト・オフサイト広告の相乗効果』
サイトトラフィックを増やし、売上増を実現する「オフサイト広告」
―リテールメディア市場の成熟が進むアメリカではオフサイトでのリテールメディア広告が増えていると聞いています。オフサイト広告にはどのような特長があるのですか?
松尾:オフサイト広告(オープンウェブ広告)は小売業者のウェブサイト(ECサイトなどのオウンドメディア)から離脱したユーザー等が閲覧中のオープンウェブ上に表示される広告のことを指します。クリエイティブについては、個別の商品情報が含まれるダイナミックバナー(ロウアーファネル対象)から、ブランディング効果の高い動画広告(アッパーファネル対象)まで、広告主のニーズに応えるさまざまなフォーマットを提供しており、広告の内容やフォーマットをターゲットごとに変えることにより、フルファネルでのアプローチをすることができます。
【オフサイト広告配信の仕組み】
- 買い物客がECサイトを訪問し、商品を検索または閲覧したものの購入せずに離脱
- 離脱した買い物客が他のウェブサイトを見ているときに、そのサイト上に買い物客の興味・関心に基づいてパーソナライズしたダイナミック広告またはスタティック広告を配信
- 買い物客が広告をクリックすると、小売業者のウェブサイトの商品詳細ページまたは設定された任意のページに誘導、購入を促す
―オフサイト広告には、どのようなメリットがありますか?
松尾: まず小売業者にとって最大のメリットは、自社の予算を使わずに自社ウェブサイトへのサイトトラフィックを増やせることです。しかも、オフサイト配信を始めるにあたって、大規模な開発は不要。すでにウェブサイトで使用中のOne Tagで対応が可能であり、タグの追加や修正は必要ありません。商品フィードにセラーの商品を追加するだけで、キャンペーンを始めることができます。また、小売業者・広告主双方にとってのメリットは、オンサイト広告との相乗効果が得られること。海外の事例から、オフサイト広告とオンサイト広告を併用することでコンバージョン率(CVR)やクリック率(CTR)だけでなく、ユーザー当たりの広告収益も増加することがわかっており、CRITEOの調査ではオンサイト・オフサイトの両方の広告に接触したユーザーは、オンサイトのみに接触したユーザーと比べCVRは317%、ユーザー当たりの広告収益は228%高いパフォーマンスを示しています。
リテールメディア広告は、オンサイト・オフサイトの併用が主流に
―なるほど。オンサイト広告とオフサイト広告は併用したほうが、より大きな効果を見込めるということですね。
牧野:そうです。それこそが、CRITEO リテールメディアが高く評価されている理由でもあります。一般的なソリューションではオンサイトとオフサイトの配信は別々のプラットフォームで行わねばなりませんが、CRITEOリテールメディアの場合は同じプラットフォームでオンサイトとオフサイト、両方を見ることができます。これにより、ユーザーの動きをウェブサイト内だけでなくウェブサイト外でも追うことができるので、効果測定の際のアトリビューション分析をより正確に行うことが可能になりました。結果としてブランドはより正確に広告効果を把握できるようになり、次のマーケティング施策をより有効なものとすることができます。一方のリテーラー側も、オンサイト・オフサイトを1つのプラットフォームで見せることによって、自社のファーストパーティーデータやメディアを使ったマーケティング効果をより魅力的に広告主にアピールできるというメリットがあります。このように、オンサイト広告とオフサイト広告の併用による相乗効果が大きいので、近年、海外では2つの併用がスタンダート化しつつあります。実際、CRITEO が2024年3月に発表したリテールメディアに関する最新調査「THE GREAT DEFRAG (ザ・グレート・デフラグ)~2024年、コマースメディアが断片化する広告を一つに~」によると、 同調査に回答した全世界の約半数のブランド・広告主(56%)や代理店 (47%)が、リテールメディアにおいてオンサイト配信とオフサイト配信の両方に投資していることが明らかになりました。一方、まだリテールメディア黎明期である日本ではオンサイト 配信のみを行っているケースがほとんどで、両方に投資していると回答した割合は、ブランド・広告主および代理店ともに35%にとどまっています。しかし今後は、日本でもリテールメディア市場が拡大・成熟していくに伴って、オンサイト・オフサイトの併用が進んでいくのは間違いないでしょう。
―現在、日本でも幅広い業種でリテールメディアへの参入が進んでいますが、リテールメディアと相性の良い業種や業態はありますか?
牧野:昨年、アメリカでお会いした大手小売業社のリテールメディア責任者の方が指摘していたのは、「リテールメディアの成功には①デジタル(EC)のデータ、②実店舗のデータ、③ロイヤルティプログラム、この3つが欠かせない」ということ。つまり、オンライン・オフラインに関わらず豊富な顧客データを有し、ロイヤルティプログラムで既存顧客とのつながりを維持している小売業者が強いということですね。実際、CRITEO リテールメディアでも、オムニチャネルで事業展開しており、かつEC比率が高い小売業者、特に日用品や食品を扱っていてサイトトラフィックが大きい小売業者での成功事例が多く見られます。そもそも日本にはロイヤルティプログラム(ポイント制や友の会など)を大切にする商習慣が根付いているので、リテールメディアで成功する素地は十分整っています。顧客データと自社プラットフォームを活用して事業拡大を図りたい小売業者の皆さまには、CRITEOリテールメディアを使ったオフサイト・オンサイトでのリテールメディア事業に、ぜひチャレンジしていただきたいですね。CRITEOはグローバル市場で培った技術とノウハウ、そしてオフサイト・オンサイト配信を並行できる優れたプラットフォームを駆使して、小売業者の皆さまのリテールメディア事業の参入・加速を力強くサポートして参ります。
CRITEO リテールメディアにご興味のある方は、ぜひCRITEO担当者までお気軽にお問い合わせください。