ECサイトを広告プラットフォームとして活用する新たな広告配信手法として注目を集めるリテールメディア。日本でも「リテールメディア元年」と言われた2023年を経て、一気に市場が拡大しつつあります。本ブログではCRITEO Japanのリテールメディア担当者がCRITEOのリテールメディア・ソリューションの活用法やその効果について解説、皆様のリテールメディア事業参入・活性化をサポートします。
第1回のテーマはリテールメディアの基礎知識と市場トレンド。リテールメディアになぜ注目が集まっているのか、その背景と日米の市場概況について、CRITEO Japanでリテールメディア事業の責任者を務める牧野臨太郎が解説します。
「シリーズ リテールメディア解説」その他の記事はこちら:
(1)『リテールメディアの基礎知識 』
(2)『日・米リテールメディア市場の現状』
(3)『CRITEOリテールメディアの概要~オンサイト広告』
(4)『CRITEOリテールメディアの概要~オンサイト・オフサイト広告の相乗効果』
小売業者・広告主・消費者、3者すべてにメリットをもたらす「リテールメディア」
―そもそも、「リテールメディア」とはどのような広告配信手法なのでしょうか?
牧野:実は、「リテールメディア」についてはまだ包括的な定義はなく、その解釈は事業者によってバラつきがありますが、Criteoではリテールメディアの先進地である海外での成功事例を踏まえ、リテールメディア=「小売業者の保有する顧客の属性情報や購買履歴情報などを活用して、パーソナライズした関連性の高い広告を小売業者のプラットフォーム(ECサイトやウェブサイト)で配信する広告手法」と定義しています。
分かりやすい例を挙げると、Amazonで商品を選んでいるときに商品一覧の中に「スポンサー」と表示された商品が入っていますよね?あれが、リテールメディア広告です。
―リテールメディアは、近年、特にアメリカで急速に市場規模を拡大しています。リテールメディアはなぜ、支持を集めているのでしょうか?
牧野:いくつか理由がありますが、一言でいうと、リテールメディアは「小売業者・広告主・消費者」の3者すべてに大きなメリットをもたらす広告手法だからです。
まず、小売業者のメリットは自社のプラットフォーム(ECサイトなど)に他社・他ブランドの広告を掲載することで収益(広告収入)を上げられるようになること。つまり、新規事業の創出ができることです。リテールメディアは在庫管理や配送費などのコストがかさむ「本業(小売業)」に比べて利益率が非常に高いので、小売業者にとってはかなり魅力的な事業。すでにリテールメディアに参入して成功を収めている米国の大手百貨店メイシーズやターゲットなどでは、社内にリテールメディアのエージェンシーを設立し、多角的にビジネスを拡大しています。大手小売業は将来的に社内でリテールメディアの知見が蓄積されれば、それを活用したエージェンシー事業やコンサルティング事業を立ち上げることも可能でしょう。
―なるほど。小売業者にとってリテールメディアは、ビジネス全体の底上げにもつながる可能性を秘めているのですね。
では、広告主にはどんなメリットがあるのですか?
牧野:最大のメリットは、小売業者が保有する極めて質の高いファーストパーティ―・データを使って、クローズド・ループ・メジャーメント(オンライン・オフラインの垣根を越えて、顧客が広告を見てから購入に至るまでの広告効果測定すること)ができるようになったことです。これによって、広告主はより精度の高い顧客情報を手にすることができ、それに基づいてより適正にパーソナライズされた広告を配信できるようになりました。これは広告業界にとって極めて画期的な進化であり、リテールメディアが急速に広まった要因の一つだと言われています。
―サードパーティー・データを使わずに配信できるので、ポストクッキー時代の切り札としても注目を集めそうですね。
広告を見るユーザーには、どのようなメリットが期待できますか?
牧野:やはり、自分の好みや興味・関心に合わせてパーソナライズされた情報を受け取れることですね。特にECサイトを訪問するのは購買意欲が高まっている(欲しい商品を探している、商品について調べている)ときですから、そのタイミングで役に立つ情報が提供されやすいというのは、消費者にとって快適な買い物体験になります。このように、小売業者・広告主・消費者にとってメリットの大きい「三方よし」の手法だからこそ、リテールメディアはこれほど急速に市場を拡大しているものと考えられます。
CRITEO リテールメディアにご興味のある方は、ぜひCRITEO担当者までお気軽にお問い合わせください。