キーワードは「コスパ・タイパ」と「丁寧な暮らし」~新生活トレンド2024

更新日 2024年04月17日

春は別れと出会いの季節。進学や就職を機に新たな環境で新生活を始める人も多いのではないでしょうか?新生活は、何かと物入りなもの。特に一人暮らしを始める場合は、家具や家電など高額商品を買う人が多く、その買い物の内容がその後のライフスタイルに大きな影響を与えるものです。そこで今回は、いわゆるZ世代と言われる若者が新生活を前にどんな商品を、どうやって購入しているのか、パナソニック楽天が行った興味深い調査結果をもとに紐解いていきましょう。

新生活のお買い物、どこで情報収集する?

新生活の買い物といえば家電や家具など高価なものがメインなだけに、買い物前の情報収集はとても大切ですよね。膨大な商品の中から予算と好みにぴったりの商品に出会うために、若者たちはどこで情報を集めているのでしょうか?

パナソニックが首都圏(1都3県)に住む18歳~35歳の学生・社会人に対し、「初めて一人暮らしを始めた際の家電購入のきっかけ・参考にしたもの」について聞いたところ、回答全体では、「親のアドバイス」(52.7%)が最も多く、次いで「家電量販店の店員のアドバイス」(39.5%)と続く結果に。費用を負担する親の意見や、実際に商品を見ながら説明してくれる店員のアドバイスに影響を受けやすいことが見て取れます。

また、事前の情報収集はWEBで行う人が大半ですが、情報収集に使うWEBサービスの種類については世代間で違いが見られました。30代では「口コミ」が、Z世代(18~29歳)ではSNSを参考にしていることが読み取れ、特にZ世代前半は「インスタグラム」「X(旧Twitter)」(ともに11.8%)、Z世代後半では「YouTube」(12.5%)の回答が多くなっています。

出典:パナソニックプレスリリース

インフレ対抗消費か?リユース品・アウトレット品の需要増!

昨年来続くインフレの波は、新生活の買い物にも大きな影響を及ぼしています。物価上昇が続く中、少しでも安く良いものを探したいという人たちが注目するのは、リユース品やアウトレット品です。「楽天市場」によると、家電やスマートフォン・タブレットなどリユース商品の需要はここ数年拡大傾向で、2023年の楽天市場における流通総額は、リユース家電が2019年比で約1.3倍に伸長しています。同社がリユース家電をどのような理由で購入または購入検討したいか聞いたところ、Z世代、30代〜40代ともに「お得に購入できるから」が最も多い結果となりました。同時に、箱つぶれや旧型番などのインテリアや家電などアウトレット商品の需要も拡大しており、2023年の流通総額は、2019年比で約1.2倍に伸長しています。

また、必要な家電をすべて購入するのではなく、サブスクリプションやユースを上手に活用して、「欲しいときだけ使う」スタイルを好む人も増加傾向。パナソニックが「サブスクであったらよいと思う家電」を聞いたところ、全世代通して「美容家電」「空気清浄機」や「加湿器」が挙げられ、自己投資商品(美容家電・カメラ)や、生活環境を整える商品(空気清浄機・加湿器・浄水器)の需要が集まる結果に。Z世代前半では「テレビ」や「アイロン」「カメラ」など、以前は所有しているのが当たり前だったアイテムがランクイン。30代では、美容家電に次いで「浄水器」という回答が多くなりました。

家事に前向きなZ世代は、長く使える「コスパ&タイパの良い商品」が好き

若者たちが求めるのは「安さ」だけではありません。よく指摘されるように、Z世代は「コスパ」が大好き。ただ前述のパナソニックの調査では、安いだけでなく「長く使えるものがほしい」という回答も39.4%に上っています。この傾向は年齢層が低いほど顕著で、「高価でも自分に必要だと思えば取り入れたい」という回答はZ世代前半(18~22歳)が最も高く(23.7%)、次いでZ世代後半(23~29歳、18.8%)、30代(17.8%)と差が見られました。この背景にあるのは、求める生活の違いです。調査では年代が若いほど、上質で丁寧な暮らしを求める傾向が顕著に。「掃除・洗濯・料理など基本的な家事について、自分の気持ちに近いもの」を選ぶ問いでは、Z世代前半は「すべて自分で行わなければ」(33.5%)「家事を丁寧に行うことも自分の楽しみだ」(31.1%)と回答しており、約3人に1人が家事を前向きにとらえている様子が分かります。

では、具体的にどのような商品が購入されているのでしょうか?楽天市場によるとロボット掃除機やオーブンレンジ、食器洗い乾燥機、布団乾燥機など「タイパ家電」の需要が高い傾向に。特に、外出需要が回復したことで、外出先からアプリなどで家電を操作できるスマートリモコンや、旅行先でも使用できるハンガー型乾燥機など、より細分化されたニーズにあわせた「専用タイパ家電」の注目が高まっています。「楽天市場」におけるスマートリモコンとハンガー型乾燥機の流通総額は、前年同期比でそれぞれ約2倍にも伸びています。また、タイパ家電として人気のオーブンレンジで調理できる冷凍食品の2023年の流通総額も、2019年比で約4.9倍と大きな伸びを示しました。

タイパ家電で得た「時間」は何に使う?

タイパが大好きなZ世代ですが、タイパ家電で得た自分時間を何に使おうとしているのでしょうか?パナソニックの調査で「家電を活用することで生まれる時間ではどんなことをしたいか」を聞いたところ、全世代を通して多かったのが「趣味」や「動画視聴」。Z世代前半では「SNS」(28.0%)、Z世代後半は「動画視聴」(44.9%)、30代「テレビ視聴」(35.8%)が多く、世代ごとに過ごし方に違いがあることが如実にわかる結果となりました。

出典:パナソニックプレスリリース

安全・安心な暮らしへのニーズも堅調

1人暮らしを始めるにあたって購入する家電のベスト3は1位:冷蔵庫、2位:洗濯機、3位:炊飯器とおなじみの家電がランクインしましたが、今の時代ならではのアイテムも需要を伸ばしています。たとえばパナソニックの調査では「一人暮らしで備わってほしい設備」について、女性回答では「カメラ付きインターホン」が21.0%と「エアコン」に次いで多い回答となりました。さらに、「宅配ボックス」も男女ともに15%前後に上っており、EC世代ならではの需要の高まりが感じられます。また、昨今の自然災害の頻発を受けて、非常時に備えるためのニーズも上昇傾向。「楽天市場」では防災関連商品の流通総額が2019年と2023年で比較すると約2.7倍伸長しており、直近では場所を取らない小型化や防水タイプなどユーザーの目的にあわせた防災グッズへの注目が高まっています。さらに、防災グッズをカタログギフトで贈る需要も拡大しており、引っ越し祝いとして活用する傾向もみられるようになっています。

Criteo データから見る新生活トレンド

全世界で7億超のデイリーアクティブユーザー、40億の商品SKUと1.4兆回を超える広告配信から得られCriteo のCriteoの膨大なコマースデータからも、新生活で活性化するカテゴリのトレンドを見ることができます。

新生活の準備に関連するカテゴリでは、収納関連用品、家具、その他家庭用品一般で、2月の終わりから3月いっぱいにかけてサイト訪問やコンバージョン数で有意な盛り上がりが確認されました。パソコンや家電なども、この時期にコンバージョンが増える傾向が見て取れます。また、オンラインバンキングなどの金融サービスもこの時期活発に新規顧客を獲得しています。

そのほか、例えば学習塾のような教育系のカテゴリでは、受験が一段落して新学年が始まる直前のタイミングでサイト訪問者数が大きく伸びる傾向が見られたほか、転職サイトなどの求人系も年明けから新生活シーズンにかけて上昇が見られます。

Criteo のコマースデータに基づくショッパーグラフの数十億件のトランザクションを継続的に分析したデータは、インタラクティブダッシュボードからいつでも自由に閲覧いただけます。最新の消費者トレンドを、的確なマーケティング戦略立案にお役立てください。

以上、2024年の新生活トレンド、いかがでしたか?新生活だからと言って新品にこだわらずリユース品やサブスクも上手に使いこなし、タイパ家電で丁寧な暮らしを実現する。そんな地に足のついた消費を好むZ世代が社会に出て、今や消費の主役になりつつあります。新生活に向けた彼らの購買行動からは、今後小売りやサービスの事業を拡大していくにあたって、たくさんのヒントを得ることができそうです。

出典:
パナソニックプレスリリース
楽天市場プレスリリース