転職の最新トレンドをリサーチ! いつ・どうやって情報収集?成功者の共通点は?

更新日 2024年05月15日

20代の6割超「社会人になる前から転職を視野」

新年度が始まり、街に研修中と思われるフレッシャーズの姿を見かける季節になりました(なぜか一目でわかりますよね!)。

一般的にはこれから数カ月間の研修を経て、配属先で本格的なキャリアをスタート・・・となるはずですが、ここ数年はGW明けくらいの時期になると「4月に入った新人がもう辞めた」、「新人と連絡が取れなくなったと思っていたら、退職代行業者から連絡が・・・」といった驚くべき話を耳にするようになりました。もちろん、これらは極端な事例ではありますが、株式会社学情が20代の転職希望者を対象に行った「転職意識調査レポート2023」によると、20代の6割超(61.8%)が「社会人になる前から転職を視野に入れていた」と回答していることから、時期や頻度に個人差はあるものの、20代の若者にとって転職はごく普通の出来事となりつつあるのは間違いなさそうです。

入社3年未満か否かで転職目的に違い

では、若者たちはなぜ、転職をするのでしょうか。

同調査で実際に転職をした20代にその目的を聞いたところ、職歴3年以上の「ヤングキャリア」と職歴3年未満の「第二新卒」とでは、結果に若干の違いが見られました。

転職の理由として最も多かったのが、ヤングキャリアでは「給与・年収をアップさせたい」が1位(54.2%)だったのに対し、第二新卒では「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」が最多で全体の約36.2%に。入社間もない第二新卒は、給与や年収よりも達成感や「やりがい」をより重視して転職活動を始めるケースが多いようです。入社3年未満では自分で仕事を選べない、責任ある仕事を任されることが少ないので、そこに不満やジレンマを感じて転職に踏み切るケースが多いのかもしれません。

同様の違いは「求職活動で重視するポイント」についても見られました。入社3年以上のヤングキャリアでは「給与」が過半数(51.4%)を占めているのに対し、第二新卒では「職種・仕事内容」が61.8%にも上りました。

さらに調査の結果を見てみると、ヤングキャリア・第二新卒に共通する興味深い傾向として、「キャリアアップ」ではなく「キャリアチェンジ」、つまり異業種・異業界への転職を重視する傾向が見られました。ヤングキャリアでは全体の54.3%が、第二新卒では60.6%が「キャリアアップ」ではなく「キャリアチェンジ」を希望、現在の業種や業界にこだわらず、心機一転、新たなフィールドでの挑戦に意欲的な人が多いことがわかります。そして「キャリアチェンジによって実現したいこと」として最も多かったのが、ヤングキャリアでは「給与・年収を挙げたい」(61.7%)、第二新卒では「興味をもっていた仕事に挑戦したい」、「残業時間や休日のとりやすさなど労働条件を改善したい」がそれぞれ57.1%で最多となりました。やはり、就労年数を重ねるにつれて「その他<給与」という意識が高くなっているのは間違いないようです。

情報収集で使いたいコンテンツは「動画」

では、若者たちは転職のための情報を、どのように集めているのでしょうか?

同調査で応募する企業の雰囲気を知るために活用したいものを聞いたところ、最も多かったのは「動画」で45.5%。20代は「会社の雰囲気」を知るために「動画」での情報収集をしたいと考えていることが分かりました。まお、「応募したい」と感じる動画の内容は「社員の一日を知ることができる動画」が最多で、「働く環境(オフィスや立地)の紹介」が続きました。企業の雰囲気がわかる動画を見て、実際に働くイメージが湧く情報を得られると、若者たちの応募意欲は高まりやすいようです。また、求人に応募する上で求人情報以外に収集する情報は、ヤングキャリア・第二新卒・既卒とも、「企業の採用HP」が最多で、「口コミ」2番目に続きました。ネットショッピングや外食のお店探しと同様に、転職活動においても口コミをチェックするのは、もはや常識。企業側は自社が転職希望者にどのような口コミを書き込まれているのか、随時チェックしておく必要がありあそうです。

職場見学とカジュアルな面談を望む人、多数!

続いて、応募後の選考過程で実施して欲しいことについて聞いたところ、職歴3年以上のヤングキャリアは「職場見学」が54.6%で最多、カジュアルな面談」54.1%が続きました。一方。職歴3年未満の第二新卒は、「カジュアルな面談」が56.4%で最多、次いで「職場見学」44.5%と、ヤングキャリアとは逆に結果に。ヤングキャリアは「自分の目で見て確かめたい」意向が強く、第二新卒や既卒は、「人事担当者などの話を聞いて理解を深めたい」意向が強いことが推察できます。また、前述のとおり、この年齢層では「キャリアチェンジ」に肯定的な人が多いことから、選考過程で得られると志望度が上がる情報については、「未経験者でもやっていけるか(研修や資格サポートについて)」が最多でした。

ちなみに、「カジュアル面談」とは合否判定の出ない、文字通りカジュアルな雰囲気の中で行われる面談で、お互いに本音ベースで話せるのが特長。今回の調査で「カジュアル面談があれば参加したい」と答えた人は全体の約83.4%、「カジュアル面談に参加したことで志望度が上がったり、企業理解が深まった」と回答した人は実に69.5%にも上りました。中途採用を進めたい企業は、カジュアル面談を設けると応募数を増やすことができるかもしれませんね!

休日よりも平日が求人サイトの閲覧増!転職活動の時期やタイミングは?

続いて、若者たちが転職活動をする時間やタイミングについて見ていきましょう。同調査によると就職・転職希望時期について、「直近3ヵ月以内」と回答した人の割合は、職歴3年以上の「ヤングキャリア」では55.1%、職歴3年未満の「第二新卒」では62.6%。ヤングキャリアや第二新卒の4割前後は3ヵ月以上先を見据えた長期的な視野に立って転職活動をしていることが明らかになりました。なお、求人サイトを閲覧するタイミングは、意外にも時間がたっぷりある土日祝よりも平日に閲覧する傾向に。午前中よりも午後~夜に閲覧する傾向が見られました。中でも、就業経験のあるヤングキャリアや第二新卒では「月~金 19:00~22:00」が最多。既卒では「月~金 12:00~17:00」でした。休日にまとめて・・・というよりは、就業時間中や終業後の隙間時間に、こまめに求人情報をチェックしている人が多いようです。

転職の主役は「ミドル世代男性」

ここまで20歳代の若者の転職意識について見てきましたが、今や転職に前向きなのは若者だけではありません。マイナビが2023年に転職した20~50代の男女を対象に行った「転職動向調査2024年版」によると、2023年の正社員の転職率は7.5%過去最高水準が続いており、コロナ禍で落ち込んでいた2020年の4.9%を2.6%も上回る結果に。そして転職者のうち、約半数は30~50代のミドル世代男性であることも明らかになりました。なんと、転職の主役はミドル世代の男性だったのですね。転職を決めた理由については全体では「給与が低かった」が11.5%で最多。男女別にみると、男性は「給与が低かった(12.1%)」、女性は「職場の人間関係が悪かった(13.7%)」がもっとも多く、男女で違いがあることがわかりました。同じく転職先を決めた理由についても男女差があり、全体と男女別ともに「給与が良い」が最多ではあるものの、女性は「休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる(13.3%)」、「希望の勤務地である(11.2%)」も比較的高く、女性は男性と比べ人間関係やプライベートとの両立を考えて転職活動を行う傾向があるようです。

転職組の4割が年収増を実現

では、転職の結果はどうだったのでしょうか?マイナビの同調査によると、転職の結果、年収が上がった割合は39.1%。最も年収が上がったのは男性40代で、全体の45.4%が転職によって年収が増加しています。一方女性は男性に比べて年収が上がった割合が低い傾向にあり、最も上げ幅が大きかった30代でも+38.5%にとどまりました。女性は転職にあたって男性よりも年収UPを重視しない傾向にあることが主な要因と考えられます。なお、転職後の平均年収額は489.6万円で、転職前の平均年収472.5万円より17.1万円も増加!転職後の差額が大きかった性年代は男性40代(+26.5万円)と男性20代(+26.1万円)。一方差額がもっとも低かった性年代は女性20代(+3.3万円)でした。

転職による年収UP、成功率を高めるには?

しかし、転職による年収UPの成否を左右するのは、年齢や性別だけではありません。今回の調査ではリスキリングの有無が成否に大きく関わっていることがわかりました。転職後の平均年収額をリスキリング有無別にみると、リスキリング経験がある人は559.3万円、経験がない人は419.5万円で、なんと139.8万円もの差がみられました。男女別にみても、男性はリスキングありが591.9万円・なしが461.8万円、女性はリスキリングありが457.2万円・なしが351.9万円と、それぞれ100万円以上の差がみられました。これはすなわち、リスキリング=「転職して年収を上げる」という目的を達成するためのかなり確実な手段だということになります。もちろんリスキリングには時間や労力、コストがかかるので、リスキリングで自分の市場価値を上げるためには、より長期的な視野に立って計画的に転職と向き合うことが必要になります。逆にいうと、今は転職を考えていなくても、将来的に転職がしたくなったときに自信を持って臨めるように普段からリスキリングを習慣にしておく必要があるということです。その意味で「転職が当たり前の時代」というのは、つまり「リスキリングが当たり前の時代」だということなのかもしれません。