「イライラ」の第1位は、ページ読み込みの遅さ
デジタルマーケティングにおいて、ユーザーのエクスペリエンスがますます重視される時代。カスタマージャーニーをスムーズに進めてもらうためには、Web閲覧中のユーザーに不快感を与える要素を極力、排除することが求められます。では、ユーザーの皆さんは具体的にどのようなことに不快感を覚えることが多いのでしょうか?
株式会社ニュートラルワークスが2022年9月に行った意識調査で、Webサイト閲覧時の〝イライラすること〟について聞いたところ、次のような結果にとなっており、ユーザーの多くが「表示速度の遅さ」と「広告の出稿」によって、自身の閲覧行為を「邪魔」「妨害」されているような気持ちになっていることがわかりました。
1位 ページの読み込みが遅い 42.8%
2位 アダルトやスパムまがいの広告が出る 19%
3位 広告が急に出てくる 17%
4位 スキップできない動画CMが流れる 5.3%
5位 コンテンツの検索性が悪く、欲しい情報までに時間や手間がかかる 3.5%
6位 記入ドームでブラウザの戻るボタンに対応しておらず、押すとすべてやり直しになる2.8%
7位 コンテンツの内容が薄い 2.8%
8位 コンテンツの内容のクオリティー(文章やイラスト、画像など)が低い1.5%
9位 サイトのデザイン性が悪く見づらい 1.0%
10位 自動で映像や音声が再生される 1.0%
最も多かったのは、ページの読み込みの遅さ。インターネット環境の問題ではなく、サイト側の問題で読み込みが遅いことについては、以下のような意見が寄せられました。
- ページの読み込みが遅く、表示しきれてないのにクリックしてしまい、押したいボタンとは別のボタンをクリックしてしまって別のページに遷移してしまった。
- 写真や動画のせいでページが重く、遷移が遅いことにとてもイライラします。
- 通販サイトで商品のページ表示が遅すぎて。買う気をなくす時があります。
- こだわりすぎて動きのある個性的なページ作りになっており、読み込むのに時間がかかりすぎる
Webページ制作者側としては、自社のこだわりを表現するため、もしくは他社サイトとの差別化のために、ついつい凝ったコンテンツを作成してしまいがちですが、そのせいで読み込みが遅くなり、ユーザーの離脱を招いてしまっているケースが多いようです。調査を行ったニュートラルワークスでは「サイトの表示速度に関しては近年、Googleからも注目をされています。サイトを閲覧したときのページ表示速度を改善させることで、ユーザビリティーを向上させることができ、それがGoogleの評価にも繋がるためSEO上でも優位になることが明らかになっています」と指摘しています。サイトと途中離脱が多い場合、SEOがなかなか上手くいかないという場合は、今一度、ユーザー視点で自社サイトを確認し、表示速度を確認してみたほうがよさそうです。
サイトへの信頼感を下げる広告も
読み込みの速度に次いで、「イライラする!」という回答が多かったのが、「アダルトやスパムまがいの広告が出る」、「広告が急に出てくる」でした。回答者から寄せられた意見を見ても、皆さんのイライラ&困惑ぶりが良く伝わってきます。
「アダルトやスパムまがいの広告が出る」について
- 家族とWebサイトを閲覧していたら、突然アダルトな広告が流れてきて気まずい雰囲気になった。
- 美容サイトを見ているとき、突然汚い歯や脂肪のアップの広告が表示されて嫌な気持ちになった。
- アダルトで興味のない広告がサイトの中で複数出てくるため、記事が読みづらい上に不快な思いをする。
- 調べものをしていて、コンテンツは良さそうなのに、押したら広告が全部アダルト漫画系で、不快になり見るのをやめた。
「広告が急に出てくる」について
- 広告を閉じる作業が面倒に感じる。
- 調べ物中に急に広告が出てきて誤ってタップしてしまい別のサイトに飛ばされてイライラしました。
- 広告を消すボタンが小さくわかりにくい。
- 誘導広告で、わざとクリックしやすいところに突然広告が出てくることが本当に不愉快。
- コンテンツの上に広告があり、読めない・見づらい時があります。
広告の表示方法として特に嫌われがちなのが、メインコンテンツに割り込むように表れて、閲覧を妨害する「ポップアップ広告」や、ユーザー自身は何の操作もしていないのに急に音声が流れる「動画広告」、コンテンツを読み込む前にカウントダウン付きで表示され、スキップできない「プレスティシャル広告」などが挙げられます。
イラっとしたユーザーの取る行動は?
では、読み込み速度の遅さやスキップできない広告の出現で「イラっと」してしまったユーザーは、どんな行動をとるのでしょうか?同じくニュートラルワークス社の調査で「Webサイト閲覧時にイライラした場合、どのような行動をとりますか?」と聞いたところ、次のような結果となりました。
1位 イライラしながらも、そのサイトを閲覧し続ける 43.5%
2位 そのサイトの閲覧を中止し、別のサイトを探す 43%
3位 サイト閲覧もしくはデバイス使用自体を中断する 12%
予想どおり、半数以上の人がイラっとした直後にそのサイトから、離脱していることがわかります。せっかく数多くのサイトの中から御社のサイトを探して訪問してくれたユーザーを、コンテンツの内容と関係ない要因(読み込み速度や広告の内容・配信方法)によって半数以上も失ってしまうのは、大変もったいないこと。出稿側であるブランドや企業にとってのみならず、配信先であるサイトにとっても広告の最適化がいかに重要か、改めて実感させられる結果となっています。
エクスペリエンス・ドリブンの時代、ブランドに求められるのは、「カスタマーエクスペリエンスの変革」です。つまり、「顧客に売ること」がゴールだった時代から、「顧客に売って、どう感じてもらうか」がゴールになる時代へと変化しているのです。売り手側の企業や広告会社はユーザーに購入を促すだけでなく、購入後の顧客からポジティブなフィードバックを得られるようなカスタマーエクスペリエンスをデザインする必要があります。まずは、今一度顧客のペルソナになりきってカスタマージャーニーを体験してみてください。そして、カスタマージャーニーに潜むペインポイントを発見・解消し、そして、ユーザーにイライラされないデジタルコンテンツの構築、広告戦略の策定に繋げていきましょう。