約80%がスマホを保有し、オンラインショッピングを利用! シニアのスマホ&オンラインサービス利用実態とは?

今や生活必需品となっているスマートフォン(以下、スマホ)。総務省が行った「令和2年通信利用動向調査」によると、個人のスマホ利用率は69.3%、世帯利用率も86.8%と、いずれも過去最高を記録しています。スマホというと、通話やチャットだけでなく買い物や送金、電車の乗り降りなど、あらゆるシーンでスマホを使いこなす「スマホネイティブ」な若者たちのイメージが強いですが、シニア層の利用状況はどうなっているのでしょうか?東京メトログループの広告会社「メトロアドエージェンシー」が2021年9月と12月に公表した調査結果から紐解いていきましょう。

幅広いスマホ機能を使いこなすシニア層

同社が東京在住の65歳以上の男女2,288人にスマホの所有状況を聞いたところ、全体の79.2%がスマホを所有していることが分かりました。ガラケーの所有率16.1%を大きく上回っており、シニア層においても若者層と同じく、今や「携帯電話」といえば「スマホ」を意味するほど、スマホが広く利用されていることがわかります。また、スマホを所有しているシニアに「初めてスマホを利用した時期」を聞いたところ、「5年以上前」と答えた人が53.8%に上り、うち「2011年以前」と答えた人も25.8%に上りました。スマホが日本で初めて一般に販売されたのが2008年なので、かなり早い時期からスマホを使い始めた人が少なくないことがわかります。

では、シニア層はスマホを主に何に利用しているのでしょうか?同調査でスマホで行える18の機能について利用経験を聞いたところ、上位10位は次のような結果になりました。

1位 電話をする 87.5%
2位 メールをする 77.0%
3位 写真を撮影する 74.3%
4位 ニュースを見る 70.7%
5位 天気予報を確認する 67.8%
6位 検索する 63.3%
7位 ショートメッセージをする 59.2%
8位 メッセージアプリを使う 57.3%
9位 地図を見る 56.0%
10位 乗り換え情報を調べる 50.3%

「電話をする」「メールをする」「写真を撮影する」といったスマホの基本的な機能が上位を占めたものの、「検索をする」「乗り換え情報を調べる」など、スマホの幅広い機能を使いこなしているシニアも多いことが見て取れます。

シニアは「検索」もアクティブ!毎日スマホで検索する人が約半数

先ほどの調査で第6位にランクインした「検索」。シニア層は、どのくらいの頻度でスマホの検索機能を使っているのでしょうか?同調査で「毎日スマホで検索する人」の割合を確認したところ、全体のほぼ半数にあたる48.8%の人が毎日スマホでインターネット検索をしていることがわかりました。

さらに「スマホで検索経験がある」と回答した人に限って見てみると、84.7%の人が毎日スマホで検索をしていることがわかりました。スマホでのインターネット検索は、予想以上にシニアにとって身近な情報収集方法として定着しているようです。調査を行ったメトロアドエージェンシーでは「能動的な検索をアクティブに行っていることから、シニア層においても、リスティング広告や検索につなげる広告コミュニケーションも有効」と分析しています。

シニアの大半はスマホ利用に前向き

また、シニアにスマホを利用するときの感情について聞いたところ、「スマートフォンを使うのは便利だ」「スマートフォンをもっと使えるようになりたい」「スマートフォンを使うのは楽しい」など、スマホの利用に好意的な回答が上位を占めました。また、「スマートフォンを使うのに苦労している」と回答した人が31.7%に上っている一方で、「スマートフォンをもっと使えるようになりたい」や「スマートフォンを使いこなせて嬉しい」との回答も多いことから、スマホの利用スキル向上に前向きな気持ちをもっていることもわかります。最初は四苦八苦しながら使い方を覚えていき、日常生活の中で楽しみながらスマホを使いこなしているシニアの姿が目に浮かびますね!

1位 スマートフォンを使うのは便利だ 75.3%
2位 スマートフォンをもっと使えるようになりたい 61.3%
3位 スマートフォンを使うのは楽しい 45.2%
4位 スマートフォンを使いこなせて嬉しい 34.2%
5位 スマートフォンを使うのに苦労している 31.7%
6位 スマートフォンを使って社会とのつながりを感じる 31.0%
7位 スマートフォンがなくても困らない 18.7%
8位 スマートフォンが嫌いだ  6.5%

シニアはオンラインサービス利用もアクティブ!ショッピングも旅行予約もスマホで

続いて、シニアのオンラインサービス利用状況について見ていきましょう。同じくメトロアドエージェンシーが東京在住の65歳以上のシニアにオンラインサービスの利用経験を聞いたところ、次のような結果に。オンラインショッピングからオンライン診療まで実に幅広いオンラインサービスがシニアの生活に普及しつつあることが見て取れます。

オンラインショッピング 77.7%
旅行のオンライン予約手配 51.3%
新型コロナウイルスワクチンのオンライン予約 46.7%
ビデオ通話 41.8%
フードデリバリーアプリの利用 12.3%
オンラインセミナー 9.7%
オンライン診療 2.3%
上記いずれも分からない・やったことがない 12.0%

シニアが利用するオンラインサービスの中でも特に利用率が高かったのが、オンラインショッピング。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛を機にオンラインショッピングを始めたシニアも多いのではないでしょうか。では、シニアの皆さんはオンラインショッピングで何を購入していることが多いのでしょうか?同調査でシニアにオンラインショッピングで購入したことのあるものを聞いたところ、最も多かったのが「日用品」(75.3%)、次いで「食料品」(73.0%)、「家電」(71.0%)、「本」(58.6%)、「服」(56.4%)、家具(33.3%)、生鮮食品(32.8%)という結果に。日用品や食料品だけでなく、家具や書籍、衣類に至るまで実に幅広い商品をオンラインで購入するシニアの暮らしぶりが浮き彫りとなりました。

SNSやオンライン動画配信サービスも身近に

では、若者たちの間では当たり前のように利用されているSNSやオンライン動画サービスについて、シニアはどのように認知・利用しているのでしょうか?

まず、SNSについて東京在住の65歳以上のシニアの認知率と利用経験率を確認したところ、SNSの名称認知率は、YouTubeで96.3%、LINEで96.2%、Twitterで94.0%、Facebookで93.7%、そしてInstagramは90.0%と、9割を超える高いスコアを記録。TikTokに関しては若干スコアが下がるものの、それでも78.5%が名称を認知しており、シニア層は多くのSNSの存在を知っていることが明らかになりました。利用経験率を見てみると、LINEが73.2%、YouTubeが69.5%と、約7割が利用。予想以上に多くのシニアがSNSの存在を認識し、自ら利用しているようです。

SNS名 認知率 利用率
You Tube 96.3% 69.5%
LINE 96.2% 73.2%
twitter 94.0% 26.7%
facebook 93.7% 36.3%
Instagram 90.0% 18.3%
TikTok 78.5% 6.8%

また、日本でも利用者が急増している動画配信サービスについての認知度も高く、Amazon Prime Videoの認知度は84.7%にも上っています。Hulu(72.7%)、Netflix(67.5%)についても、それぞれ約7割のシニアが認識していることがわかりました。ただ、利用率はまだそこまで伸びておらず、利用経験率については、Amazon Prime Videoが30.2%で、それ以外のサービスは約1割にとどまっていますが、このまま動画配信サービスの認知度が上がれば、利用者も増えてくるものと期待されます。

今回の調査で浮き彫りになったのは、「シニア=デジタルが苦手」という昔ながらの固定概念を良い意味で裏切る、シニアのデジタルな生活実態。前向きな気持ちでスマホやオンラインサービスをアクティブに使いこなすシニアとの広告コミュニケーションにおいて、今後、デジタル広告がますます価値あるタッチポイントとなっていくことは間違いないと言えそうです。

出典:
メトロアドエージェンシープレスリリース(2021年9月)
メトロアドエージェンシープレスリリース(2021年12月)