世界的な個人情報保護規制の強化が加速される中、Googleなど大手企業は相次いでサードパーティー・クッキーのサポート廃止を表明、デジタル広告業界ではアドレサビリティへの新たなアプローチの方法を確立することが、喫緊の課題となっています。
そこでcriteoでは、このほど、世界各国の幅広い業界で活躍するマーケティング担当者500人以上を対象に、アドレッサビリティの未来についてのアンケート調査を実施しました。今回のブログでは、その結果の概要を簡単にご報告します。
約8割がアドレッサビリティの未来に楽観的。でも現実は・・・?
まず、サードパティ―・クッキー廃止後のオンラインターゲティング広告の未来について、どう思っているのかを聞いたところ、「希望を感じる」(61%)、「嬉しいことだと感じる」(36%)、「安心する」(21%)など、楽観的な見方をしている人が多く、不安やストレスを感じている人は、むしろ少数派だということがわかりました。
また、「覚悟が必要だと感じる」と回答した人は「希望を感じる」に次いで多く、多くのマーケターが、この大きな変化を前向きに受け止め、果敢に課題解決に取り組んでいこうとしている様子がうかがえます。
しかし、その覚悟に具体的なアクションが伴っているかというと、必ずしもそうではないようです。同調査で「アドレッサビリティの変化への準備ができているかどうか」を聞いたところ、「十分に準備できている、準備万端」と回答したのは全体26%、全体の4分の1に止まっており、58%は「準備はしているが、まだ十分ではない」と感じていることがわかりました。
アドレッサビリティ確保のために実践していることは?
では、サードパーティー・クッキー廃止後の未来に備えて、具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか?本調査で、アドレサビリティ確保のための代替手段について準備しているかどうかを聞いたところ、約半数が「自社で代替手段のテストを実施している」と回答。アドレッサブルな未来に向けて、着実に準備を進めているようです。しかし、その一方で約35%は「自社ではテストを実施していない」と回答しており、迅速に準備を始めている企業とそうでない企業との間に対応力の格差が生じつつあるようです。
続いて、具体的にどのようなアプローチをしているのかを聞いたところ、最も多かったのが「オンライン顧客データやファーストパーティーの属性を活用したエンゲージメントの改善(リマーケティングなど)(53%)。次いで「オフラインの顧客データ(実店舗のデータなど)と、ファーストパーティーの属性を活用したエンゲージメントの改善」(51%)と続き、「コンテクスチュアルターゲティングによるエンゲージメントの改善」を試みている企業も全体の39%に上りました。
信頼できるテックパートナーのサポートが不可欠
なお、自社で代替手段のテストをしていると回答した企業に、その担当者を聞いたところ、約半数が「社内のチームが実施している」と回答。その一方で、「外部のテクノロジーパートナー(ベンダー)と協力して行っている」と回答した企業も約半数に上っています。
デジタル広告を取り巻く環境の変化は目まぐるしく、今回の調査に参加したマーケターの実に71%が「今後、数年間でデジタル広告はますます複雑化するだろう」と予測しています。また、個人情報の保護規制についても、今後ますます強化されると見込んでおり、政府当局やGAFAなどの大企業に「個人情報保護規制について、自分たちの意見が聞き入られることはないだろう」と回答したマーケターは半数以上に上っています。こういった変化に迅速に対応していくためには、自社の努力だけでは不十分であり、外部の優れたテック企業とのパートナーシップのもとで課題解決に挑もうと判断する企業が増えているようです。
本調査でも、全体の78%が「パートナーがアドレッサビリティの未来を切り開くカギになる」と回答。また、77%が「パートナーが個人データ活用の非推奨化を乗り越えるカギとなる」と回答しました。
Googleは2022年7月、当初2022年中に行うとしていたサードパーティー・クッキーのサポート廃止を、「2024年後半に延期する」と発表しました。この延期に安堵したマーケターも多いかもしれませんが、あくまでも「延期」であり、廃止が撤回されたわけではありません。日本でも、個人情報保護法が改正され、アドレッサビリティを取り巻く状況は着実に変化しています。明るいアドレッサビリティの未来を迎えるためにも、信頼できるテックパートナーとともに戦略を練り、与えられた約2年間の猶予をフルに生かして、準備を始めましょう。