どうなる?2022年の年末商戦~Criteoホリデーコマースレポート

更新日 2024年04月04日

今年も、いよいよ年末年始のホリデーシーズンが近づいてきました。

1年で最も売り上げが期待できるこの時期を最大限に活用できるよう、Criteoでは今年のホリデーシーズンのEコマースの動向を読み解くホリデーコマースレポートを作成いたしました。今回のブログではその概要や、その他の調査結果から得られたインサイトについて解説します。

存在感が薄れる「ブラックフライデー」

かつて、ホリデーシーズンはブラックフライデー(感謝祭の日=11月第4木曜日の翌日の金曜日))を機に始まるというのが通説になっていました。もちろん、今でもブラックフライデーは重要なセールの日ではありますが、2019年以降は、以前ほど急激な売り上げの増加は見られなくなっています。その代り、ブラックフライデーよりももっと前、11月の初頭から売り上げが上がり始め、11月の1カ月間を通じて上昇を続けるという状況が起きるようになり、11月は「サイバー月間」と呼ばれるようになっています。そう、人々はもはや「ブラックフライデー」の1日間だけのセールでは、あきたらなくなっているということです。

この点についてはアドビも、今年10月22日に発表したプレスリリースの中で、「ブラックフライデー(11月25日)のオンライン売上は前年比1%増の90億ドルにとどまり、感謝祭(11月24日)の売上は前年比1%減の51億ドルに落ち込む」と予想しています。そして、その理由について「Eコマースが日常的な活動として定着したため、消費者は大規模なショッピングデーでなくても値引きセールを期待するようになり、これらの主要なショッピングデーは目立たなくなりつつある」としたうえで、サイバーウィーク(感謝祭からサイバーマンデーまでの期間)全体の売上は348億ドル(前年比2.8%増)になると予想しています。

2022年は、オンライン・実店舗ともに売り上げ好調の見込み

では、買い物の場として消費者の支持を集めるのはどこでしょうか?2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響でECサイトの活用が急拡大しました。もちろん、その傾向は今も続いていますが、2022年に入って、実店舗への回帰も顕著にみられるようになっています。

Criteo が実施した消費者調査の結果によると、実店舗の利用は1年前と比べて増えており、商品の購入場所としてだけでなく、商品と出会う場、あるいは商品について知る情報源としての役割が大きくなっていることがわかります。

また、同じくCriteoの調査では、実店舗はECサイトでの購入頻度が2倍になることが明らかになりました。実店舗での経験が、顧客とブランドのロイヤリティ醸成に少なからぬ影響を与えているものと見られます。また、消費者を対象としたアンケート調査では、「オンラインで購入した商品を実店舗で受け取るBOPISサービスを利用する機会が昨年よりも増えた」との回答が目立ちました。

2022年のホリデーシーズンについて、Criteoでは、ガソリン価格の高騰を受けて実店舗に行く回数は減るが、1回当たりの購入額は増えると見込んでいます。また、長引くサプライチェーンの混乱と労働力不足を背景に、配送時間が伸びていること、特に年末年始は配送に大きな遅れが生じそうなことから、今年は例年よりも早い時期にホリデーシーズンの買い物を実店舗で始める人が増えるものと見られています。

こういった調査結果からもわかるのは、コロナ禍を経て、ECと実店舗のどちらかだけではなく、両方を上手く使い分ける人が増えているということ。これからは、オンライン・オフラインを問わず、商品の発見から好みのチャネルでの購入へと誘導する、強力なオムニチャネル戦略が、これまで以上に求められるようになるでしょう。

セール品の割引率が過去最大に?

なお、アドビでは今年のホリデーシーズンについて、供給過剰と消費の落ち込みを背景に、セール品の割引率が過去最高(32%)になるとの予測を示しました。最大の値下げは感謝祭とサイバーマンデーの間の数日間に起きると見られていますが、サイバーマンデー後の数週間も(11月29日〜12月31日)には、最大20%の値引きが見込まれ、お買い得感は年内いっぱい続くものと見られています。

同社ではECショッピングの3大カテゴリー(エレクトロニクス、アパレル、食料品)を合わせた今年のホリデーシーズンのオンライン消費額は1,038億ドルと予測しており、これは同社が予想する消費額全体(2,097億ドル)のほぼ半分を占めます。この中で最も大きく伸びると見られているのは食料品。今年も年末年始を自宅で過ごす人が多いとみられることから、アドビでは、食料品のオンライン売り上げは前年比10.5%増の約133億円に上ると予測しています。

日本市場で求められる戦略は?

もちろん、日本でも年末年始のホリデーシーズンは、年間でも1、2を争うビジネスチャンスです。昨年2021年も9月から年末にかけてオンラインでの売り上げが上昇傾向に転じ、特に11月は9月比+17%、12月は同比+20%を記録しました。海外の傾向にくらべるとその上昇率は穏やかですが、それは日本の消費者がセールシーズンだけでなく年間を通じて平均的に買い物をしていることの証左でもあります。しかも、日本の消費者は最初に商品を見てから購入に至るまでの期間が平均34日間と長いのが特徴。中には9週間あまりもかけて購入を決めた例もあります。このことから、日本ではセールシーズンだけでなく年間を通じて継続的に実施できる「オールウェイズ・オン」なマーケティング戦略を実施する必要があると言えるでしょう。