ファーストプライス入札への移行が加速
従来、プログラマティック広告のオークションではセカンドプライス入札が一般的でしたが、ここにきて、ファーストプライス入札への移行が加速しています。OpenXやインデックス・エクスチェンジといったメジャーエクスチェンジ各社ではすでに数年前から、セカンドプライス入札との併用という形で、ファーストプライス入札のテストを進めています。
こういった流れを受け、2019年3月6日には、ついにあのGoogle Ad Managerも「2019年末までに、ファーストプライス入札方式に移行する」と発表、業界に反響が広がっています。
セカンドプライス入札からファーストプライス入札への移行が始まった直接的な理由としては、セカンドプライス入札の仕組みが必要以上に複雑化したことが挙げられます。
ご存知のとおり、セカンドプライスオークションは2番目の値をつけた入札者によってインプレッションの価格が決まる仕組みですが、勝手に最低価格を引き上げたりオークションを偽装したりする悪質なSSP業者が出現、オークションの透明性の欠如が指摘されるようになっていました。
また、Googleが指摘するように、オークションが増えてルールが複雑化したことによって、広告主や代理店がプログラマティック広告の広告枠を正確に評価できなくなっていること、収益化のプログラム自体が複雑かつ難解になったことで専門家ですら運用が困難になってきていることも問題視されています。
Google Ad Managerでは、今回のファーストプライス入札方式への移行の目的を「プログラムの簡略化」としており、同社のGroup Product Managerを務めるSam Coxは「単一のファーストプライス入札に切り替えることで、複雑さを軽減し、公平で透明性の高い市場を皆に提供することができるようになります」と述べ、「サイト運営者やアプリ開発者は自身の広告枠を管理し、公正な対価を受け取ることができるようになるでしょう」と予測しています。
移行は2019年末までに完了予定。準備すべきことは?
Google Ad Managerのファーストプライス入札方式への移行は、現在のところ2019年末までに完了する予定です。この大きな変化に備えるため、Amazon Ad Managerでは移行テスト開始までに数ヶ月間の猶予期間を設けており、
その期間中に、売り手側・買い手側ともにプログラマティック広告についての戦略を変更するよう促しています。また、Sam Coxは「パブリッシャーとアプリ開発者は最低価格の設定を再考する必要がありますし、テクノロジーパートナーはGoogle Ad Managerインベントリへの入札方法を調整する必要があるでしょう」と指摘しています。
いずれにせよ、今回の変更はGoogle Ad Managerを利用中のパブリッシャーや広告主に大きな影響を及ぼします。直前になって慌てないように、しっかりと準備をしておきたいものです。
なお、本件に影響を受けるのは、あくまでもGoogle Ad Managerを介して販売されるディスプレイ広告枠と動画広告枠のみである点に、ご注意を。Google検索、検索向けAdSense、YouTube、およびその他のGoogleプロパティの広告に関するオークションには影響しないので、Google AdsまたはDisplay&Video 360を使用している広告主は、特に何もする必要はありません。