2023年以降を見据えた広告の未来について、さまざまな意見が飛び交う中、1つだけ明らかなことがあります。それは、これからのデジタル広告を成功に導くには、社会的責任を踏まえたアドレサビリティに関する新たなアプローチが不可欠だということです。アドレサブル広告においては、IDに基づくデジタル広告のプランニングの改善、エンゲージメントの強化、効果の測定、最適化が図られます。たとえば、消費者がショッピングジャーニーのどの段階にいるかを特定し、適切なチャネル、適切なメッセージでターゲティングできれば、広告キャンペーンの成果を高めることができます。これまでのアドレサブル広告では、オーディエンスの大半はIDではなく、サードパーティーCookieをもとに構築されてきました。
しかし、サードパーティーCookieのサポート終了後は、別の手法でスケーラブルかつアドレサブルなオーディエンスを構築し、リーチを拡大していくことが大きな課題となります。これには、ファーストパーティーデータ、ユニバーサルID、ブラウザベースのオーディエンスによるマッチングといったさまざまな手法がありますが、現時点においてはそれぞれの手法に課題があり、解決には至っていません。
こうした状況を考えても、サードパーティーCookieが廃止されるまでの期間に、代替となるソリューションをテストしておくことが極めて重要になります。すでに独自のファーストパーティーデータを蓄積して、アドレサブルオーディエンスを構築・アクティベートする効果的な手法を見つけようとしているマーケターは、2023年以降も優位なポジションを維持することができるでしょう。
①大規模でエンゲージメントの高いオーディエンスの構築、②ファーストパーティーデータへのアクセス、③Cookieに依存しないコンテクスチュアル・ターゲティングのアプローチ。この3つのタイプのキャンペーンが、デジタル広告の未来を模索する上での絶好の出発点となるのは間違いありません。
1:オンライン動画広告(OLV)
オンライン動画(OLV)は、タイプを問わずデジタル動画全般を指す総称です。たとえば、動画配信サービス(NetflixやDisney+などの有料サービス、Pluto TVやCrackleなどの無料サービス)のほか、ソーシャルメディアの動画、パブリッシャーサイトやアプリのオンデマンド動画などが含まれます。CTVやOTT環境以外のオンライン動画広告には、ウェブ、モバイルウェブ、モバイルアプリ内で配信されるインストリーム広告(動画コンテンツ内)とアウトストリーム広告(動画プレイヤー外)があります。
消費者の間で、オンライン動画の人気はすでにピークに達しています。しかし、マーケティング担当者が動画広告への投資を加速する理由はそれだけではありません。というのも、動画はカスタマージャーニーの中でも最も重要なタッチポイントになりつつあるからです。
最近では、購入意欲が旺盛な消費者があらゆるタイプの動画コンテンツを視聴し、ブランドを発見するやいなやファネルのさらに上部で商品を購入するようになっています。実際、Criteoが実施した最近の調査では、動画広告で表示された商品・サービスを検索する視聴者は半数を上回り、52%が広告主のウェブサイトを訪問、45%がその商品・サービスを購入することが明らかになっています。1
このデータからもわかる通り、新しい機能やフルファネル対応の測定機能のおかげで、広告主はオンライン動画(OLV)広告を高いパフォーマンスを備えたソリューションとして評価すると同時に、ブランド認知度の向上にも効果があると考えるようになっています。「デジタル疲れ」によって消費者が集中力を持続できる時間がさらに短くなる中で、動画広告はすべてのチャネルとデバイスで消費者の関心を喚起し、彼らの背中を押して購入へと導くことができます。
OLVがもたらすメリット
CTV広告には、広告主が動画視聴中の消費者に魅力的なフォーマットでリーチできるという明白なメリットに加え、次のようなアドバンテージをも広告主にもたらします。
成果の証明:広告主はOLVにディスプレイやリターゲティングを組み合わせたフルファネル・ソリューションの成果を、コンバージョン・売上・ROASといったビジネス目標に直接結びつけることができます。
支出の多様化:デスクトップやアプリ、オープンインターネット全体をカバーするビデオ・インベントリは、マーケティング・ミックスを強化し、広告主にとって、ウォールドガーデンに代わる測定可能でスケーラブルな代替手段となります。
オムニチャネル戦略:信頼できる動画パートナーは、広告主が動画キャンペーンを新たな商品の検討やコンバージョンを促す他のキャンペーンと連携させ、消費者に一貫したショッピング体験を提供できるようサポートしてくれます。
オンライン動画(OLV)のチェックリスト
ここでは、OLVを開始するにあたり、確認すべきチェックポイントを説明します。
- 豊富なインベントリとフォーマット:プレミアムパブリッシャーや動画ストリーミングサービスとの直接的な関係を通じて幅広い在庫ソースにアクセスでき、さらにアプリのインストリーム、アウトストリーム、インタースティシャルを活用して動画視聴を最大化できる動画広告ソリューションを探してください。
- 柔軟なクリエイティブ:そしてブランド認知以降の段階については、御社の動画広告パートナーが、下位ファネルの目的(検討、コンバージョン、リピート購入など)に応じた動画クリップとディスプレイ広告の要素を組み合わせるクリエイティブフォーマットを提供できるかどうか、確認してください。
- 動画視聴がもたらす成果:動画広告によるファネル下部への影響を把握して、動画視聴から購入までを確実に結びつけます。
OLVキャンペーンの詳細については、Criteoまでお気軽にお問い合わせください。
2:コネクテッドTV(CTV)/OTT
オンライン動画の一部に含まれる、極めて好調なチャネルがコネクテッドTVです。コネクテッドTV広告とは、コネクテッドTV(インターネット接続を内蔵したテレビ)やストリーミング機器(Apple TV、Amazon Firestick、Rokuなど)で視聴中の番組や映画の途中に、オーバー・ザ・トップ(OTT)サービスを介して配信される広告のことです。OTTは、ケーブルテレビのセットトップボックス経由で配信されるあらゆる動画コンテンツです。コネクテッドTV(CTV)とオンライン動画(OLV)の両方を含む総称で、Netflix、Hulu、Slingなどのサービスもこのタイプに含まれます。
Statista Market Forecastでは、今年中に世界人口の30%がOTT動画を視聴するようになると予測しています。特にオーストラリア、カナダ、ドイツ、イタリア、英国、米国の各国では、ユーザー普及率は70%を超えることが見込まれています。2
スマートなマーケターは、ストリーミング配信オーディエンスの増加に着目し、すでにコネクテッドTVの広告に対する投資を始めています。
CTV/OTTがもたらすメリット
CTV/OTT広告の最大のメリットは、そのアドレサビリティですが(詳しくは後述します)、CTVをテストするメリットは他にもあります。
アドレサブル:動画配信サービスの多くは、メールアドレスでのログインが必要なため、広告主はファーストパーティーデータを使用して、オーディエンスに確実にターゲティングすることが可能になります。Criteoが実施した「動画&コネクテッドTVの利用状況に関する調査」では、米国では5人に4人が、動画配信とオンラインショッピングの2つのサービスで同じメールアドレスを使用していることが明らかになりました。1マーケターにとって、これはプライバシー保護されたハッシュ化済みのメールアドレスを使用して、あらゆるデバイスとチャネルを横断して動画視聴とショッピングを結びつけられる貴重なチャンスとなります。
支出の多様化:利用者のエンゲージメントが極めて高い、新しいチャネルのターゲットオーディエンスにリーチします。さらに、ケーブルテレビを解約したオーディエンスや、ケーブルテレビを利用したことのない(従来のテレビCMを観ない)オーディエンスにもリーチします。
ブランドセーフティ:大手のテレビネットワークや映画スタジオが提供する高品質なストリーミングコンテンツに広告を配信して、ブランドの評価にかかわるリスクを最小化します。
コネクテッドTVのチェックリスト
ここでは、CTVを開始するにあたり、確認するべきチェックポイントを説明します。
- CTVとOTTの大規模なインベントリを活用:シェアの大きなパートナーを見つけて大手のサプライサイドパートナー(SSP)にアクセスし、すでに動画コンテンツを消費しているオーディエンスにリーチしましょう。パートナーが直接どのデバイス(スマートテレビ、インターネットに接続したデバイスなど)やサービス(認証アプリ、SVODなど)、アドエクスチェンジと連携できるのかを確認してください。これにより、消費者が選択するストリーミング形態を問わず、広範なターゲットにリーチできるようになります。
- 高精度なオーディエンスターゲティング:CTVデバイスやストリーミングサービスから収集したファーストパーティーデータに、すでに社内で保有している、または広告パートナーから提供されたファーストパーティーデータを組み合わせることで、御社が提供する商品・サービスにエンゲージまたは購入する可能性が最も高いオーディエンスにターゲティングすることが可能になります。
- フルファネル対応の管理:コネクテッドTV、動画、およびディスプレイ広告キャンペーンの運用をパートナーに依頼し、コネクテッドTVでの広告配信による下部ファネルへの影響を把握します。これにより、広告主は動画クリエイティブを拡張して、投資利益率を最大化することも可能です。効果的な動画クリエイティブを1つ制作するだけで、ストリーミング用のデバイス、OTTサービス、デスクトップとモバイルのウェブサイト、アプリ内など、すべてのチャネルにおいてブランド認知度を高めることができます。
CTVキャンペーンの詳細については、Criteoまでお気軽にお問い合わせください。
3:コンテクスチュアル・ターゲティング
コンテクスチュアル・ターゲティングは数十年前から存在していましたが、オンライン上の消費者にデジタル広告でエンゲージする効果的なソリューションとして再び脚光を浴びています。コンテクスチュアル・ターゲティングとは、ウェブページのコンテンツに広告をマッチングさせる手法です。ここでフォーカスするのは消費されるコンテンツであり、コンテンツの消費者ではないため、IDに依存することはありません。現在だけでなく今後もオーディエンスにリーチする方法として、マーケターはコンテクスチュアル・ターゲティングの可能性に大きな期待を寄せるようになっています。
今日のCookieベースの広告に匹敵する成果が見込めるコンテクスチュアル広告キャンペーンを構築するために、業界では現在、従来のキーワードターゲティングを超える取り組みが進められています。ファーストパーティーデータを「コンテクスチュアル・シグナル」と組み合わせて活用することで、購入意欲の高い消費者へリーチする、新たなタイプのコンテクスチュアル・ターゲティングへと進化させています。ここでは、その理由について説明します。
次世代のコンテクスチュアル・ターゲティングがもたらすメリット
現在のコンテクスチュアル・ターゲティングは、その精度が従来よりも大幅に向上しています。テクノロジーの進化によって、これまでよりもはるかにスマートかつ正確になりました。コンテクスチュアル・ターゲティングがマーケターにもたらすメリットについて、別の側面からも見てみましょう。
機械学習:機械学習と自然言語処理(NLP)の進化によって、広告主はこれまでのようにキーワードや包含リストに頼ることなく、最も関連性の高いコンテンツを瞬時に識別できるAIを利用して、キャンペーンでリーチを拡大できるようになっています。AIはコンテンツのカテゴリーを丸ごと除外してしまうのではなく、各ウェブページ内のセンチメントまで理解し、広告を配信すべきページ、もしくは配信すべきではないページを推測することができます。さらにテキスト解析に加えて、画像や動画、音声を機械学習がスキャンして、意味を理解します。こうしてページに関する総合的な理解が深まり、広告主は動画、コネクテッドTV(CTV)、OTTでの広告配信など、他のインベントリも選択できるようになります。
コマースシグナル:Criteoのコンテクスチュアル広告ソリューションは、このタイプのソリューションでは初めて、最近の取引に関するファーストパーティーデータを分析し、その取引が発生する前に閲覧していたウェブページとコンテキストカテゴリーを特定することができます。これらが「コマースシグナル」と呼ばれるものです。コマースシグナルをコンテキストシグナルと組み合わせることで、最大のパフォーマンスが期待できるメディアを特定し、ウェブページごとに広告で表示する最適な商品を割り出します。
メディア類似:Criteoのコンテクスチュアル広告ソリューションでは、ファーストパーティーデータを利用して、広告主のカタログ内の商品と、パブリッシャーのドメインやカテゴリーとの親和性スコアを作成し、効果を上げる可能性が最も高いメディアを特定、ターゲティングします。
ブランドセーフティ:ブランドセーフティの確保には、高度なテクノロジーが不可欠です。ウェブページのあらゆる要素を機械学習で分析すれば、関連性のあるコンテンツの近くにのみ広告が表示され、不適切なコンテンツへの表示を回避することができます。そうすることで、広告主は安心して広告インベントリやキャンペーンのリーチをさらに拡大することができます。
プライバシー:コンテクスチュアル・ターゲティングは特定のユーザーをターゲティングするわけではないので、サードパーティーCookieは不要です。
コンテクスチュアル・ターゲティングのチェックリスト
ここでは、コンテクスチュアル・ターゲティングを始めるにあたり、確認すべきチェックポイントを説明します。
- ファーストパーティーデータによる強化:ファーストパーティーデータをもとにコンテンツに対するオーディエンスの関心を把握し、コンテクスチュアル・ターゲティングの精度を高めることができるソリューションを選択します。
- パブリッシャーネットワークの活用:パブリッシャーネットワークを持つパートナーと連携し、広範なリーチと大規模なキャンペーン展開を実現します。
- 高度なテクノロジー:機械学習と自然言語処理(NLP)を活用して、ページ全体のコンテキストやセンチメントをより深く理解します。これには、テキストや画像だけでなく動画と音声も解析して、ウェブページ全体のコンテキストを理解することも含まれます。
- ブランドセーフティ:機械学習を活用して、不適切なコンテンツを回避しながらキャンペーンのリーチを拡大することができます。
コンテクスチュアル・ターゲティングのキャンペーンの詳細については、Criteoまでお気軽にお問い合わせください。
デジタル広告に関する具体的なアドバイスについては、消費者トレンドと広告戦略についてまとめたCriteoの最新レポート「ショッパーストーリー2022」をダウンロードしてご覧ください。
1出典:「動画&コネクテッドTVの利用状況に関する調査」(Criteoが米国において2021年第2四半期に実施。回答者数:1,001人)
1 Statistaの市場予測、「世界のOTT動画」(コロナ禍の影響を考慮した予測)