Z世代の次の主役「α世代」とは?これまでの世代との違いは?

α世代は全員が21世紀生まれ

1990年代中盤~2000年代初頭に生まれの世代を指す「Z世代」。人類初のデジタルネイティブであり、幼少期からスマホやタブレットを操り、SNSに親しんで育ってきた彼らは、「モノ(商品)」よりも「コト(サービス・経験)」など娯楽や経験に価値を見いだす傾向が強い、「持つ」ことより「シェア」することを好む、競争に勝つことよりも自己実現や社会貢献への欲求が高いなど、上の世代とは明らかに違う価値観を持つ世代として常に注目を集めてきました。その消費動向も特徴的で、マイカー離れやサブスクリプション、シェアリングエコノミーやエシカル消費など、さまざまなトレンドを生み出しています。2020年代半ばにはZ世代の大半が社会に出ることになり、「消費の主役」として、Z世代はますます存在感を増していくでしょう。

しかし、Z世代も年長者はすでに20代後半。一概にZ世代=若者世代とは言えなくなる日も近づいています。そこで、Z世代に続く、新たな若者世代として注目されるα世代(ジェネレーションアルファ)です。α世代は、2010年以降に生まれ、全員が21世紀生まれの初めての世代で、ちょうどミレニアル世代の子どもたちに当たる世代です。2022年現在は、最年長でも12歳、小学校6年生なので、α世代が社会や経済の主役になるのはまだ先のことではありますが、彼らの価値観や習慣が家庭での購買動向にすでに影響を及ぼし始めています。α世代の子どもが欲しいものを親が買い与えたり、「やってみたい」という活動をさせてやったりすることによって、α世代はすでに社会や経済にとって間接的なインフルエンサーとなっているのです。

α世代の特徴は?

ではα世代には、どのような特徴があるのでしょうか?

同じ世代といえども個人差は大きく、その定義についても諸説あるので一概には言えないものの、α世代の特徴としては概ね次のような点が指摘されています。

親世代(ミレニアル世代)の影響を受けて育っている

α世代はまだ子供なので、自分のお金でショッピングを楽しむことはできません。したがって、彼らをターゲットにしたマーケティングを行うなら、まずは彼らの親のお眼鏡にかなう商品やサービスを打ち出す必要があります。α世代の親の多くはミレニアル世代(現在25歳~40歳代)。この世代は「サステナビリティ」「地球温暖化」「男女機会平等」といった社会課題への関心が高く、子どもたち(α世代)に買い与える物を選ぶ際には、これらの社会課題の解決に役立つものを選ぶ傾向があります。たとえばリサイクル可能なパッケージに入ったお菓子、非プラスチック素材のおもちゃ、オーガニック食品など。こういった親の影響を受けて育つα世代もまた、親世代と同じ価値観で物やサービスを選ぶ傾向が高くなると考えられます。

② Z世代の上を行く「デジタルネイティブ」

InstagramやiPadの登場よりも後に生まれたα世代は、Z世代よりも、さらに高度なデジタルネイティブです。早い子は幼稚園からプログラミングを学び、キャッシュレス決済やアプリ内課金など、デジタルでのお金のやり取りにも慣れています。修学旅行で京都に行く小学生が「現地で荷物が増えるのが嫌だから」という理由で、出発前にアマゾンで京都名物の「八つ橋」を自宅宛てに注文していた・・・というジョークのような話も。また、数々のウェブサービスを使いこなして育ってきた彼らは、広告を含むウェブコンテンツが「自分仕様」にパーソナライズされていることを違和感なく受け止め、むしろ当たり前だと感じているとも言われています。

③ withコロナの生活に慣れている

人格形成に大きな影響を与える幼少期の3年間を、withコロナの状態で過ごしているα世代。特にコロナ禍最初の2年間はα世代の多くが、在宅学習、学校行事の中止・縮小などイレギュラーな学校生活を送り、休日も家族旅行やレジャーの代わりに「ステイホーム」を強いられる生活を送っていたはず。この経験から、オンラインゲームやストリーミング配信の視聴など、外で人に会わずに楽しむレジャーやエンターテイメントとの接点が増え、余暇の過ごし方として定着したことが、α世代の将来の消費行動に一定の影響を与えるものと見られています。

2025年、α世代は世界に約20億人

先にも述べた通り、α世代はまだ子どもなので、ここに挙げたα世代の特徴は、あくまでも2022年時点での推測に過ぎず、彼らの特徴が具体的に消費行動に表れてくるのは10年ほど先になりそうです。

ただ、「α世代」という呼称の名づけ親である、オーストラリアのコンサルタント、マーク・マクリンドル氏は「2025年にはα世代は全世界に約20億人と、ベビーブーマー世代を超えて歴史上最大の世代になる」と指摘しており、彼らが社会・経済に大きな影響力を与える存在になることは間違いありません。α世代が消費の主役になるまでに、彼らがどんな物やサービスを好み、環境問題や社会課題に対してどのような意思表示をするのか、α世代の動向をしっかり見極めておく必要がありそうです。