SEO(検索エンジン最適化)とは、GoogleやYahooなどの検索エンジンで御社に関連するキーワードが検索された際に、御社のサイトを上位に表示させるための戦術です。
その目的は、SERP(検索結果画面)の検索結果のリストから、オーガニックなトラフィックの流入を獲得することにあり、検索結果画面のトップに表示される有料広告とは違って、全くコストがかかりません。それだけに、SEOへの投資価値は非常に大きいと言えます。
SEO対策は、特に検索結果から流入する買い物客を狙う小売業者にとって、もはや必要不可欠です。たとえば生花店の場合、「花」という単語を対象にSEO戦略を立て、その単語を検索結果で1位に表示させれば、コンバージョンの大幅な増加が期待できます。
現在、多くのEコマースプラットフォーム(WooCommerce、Shopifyなど)はSEOフレンドリーなものですが、それでもSEO対策を行って検索結果の順位をさらに改善できる余地は十分にあります。SEOで重要なのは「キーワード」であり、「キーワード」からすべてが始まります。
Eコマース向けSEO対策:キーワードの調査
キーワードはSEOの構成要素です。キーワード御社の商品を表すキーワードを設定し、それがGoogleで検索されたときに、御社の商品が検索結果の上位に表示されるのが理想的です。したがって、ウェブサイトの最適化を行うにあたっては、まず、検索キーワードのリストを作っておく必要があります。
キーワードを選択する際のガイドライン
- 御社のビジネスに関連性の高いキーワードを選ぶ。広範な意味を含むキーワードをカテゴリーレベル用に、より具体的なキーワードをページレベル用に選びましょう。その際、意味の範囲が広すぎるキーワードは選択しないようにしましょう。検索上位の獲得が難しくなって、トラフィックの質が落ちてしまいます。
- 購入意欲が高い人が検索しそうなキーワードを選ぶ。たとえば、「台所用品 レビュー」と検索するユーザーはまだリサーチの段階にいますが、「新居 アパート 台所用品」のように検索するユーザーは購入する可能性が高いと考えられます。
- キーワードの検索ボリュームを確認する。過去1ヶ月間にそのキーワードが検索された回数を「検索ボリューム」と言います。検索ボリュームが0に近いキーワードに対して最適化を行っても意味がありません。一方、検索ボリュームが極端に多いキーワードも考えものです。競争率が高過ぎて、検索結果の1ページ目に表示される可能性がほぼゼロに等しいかもしれないからです。関連性、検索ボリューム、競争率のバランスをよく考慮して、キーワードを選択することが重要です。
- 競合他社が使用しているキーワードを調べる。ただし、その際には注意が必要です。というのも、競合他社が最適化の対象としているキーワードが、御社に当てはまるとは限らないからです。また、それらのキーワードが検索ボリュームや購入意欲を入念に調べて選んだものであるかもわかりません。
キーワードの調査に役立つツール
Eコマースサイトを検索エンジンに最適化させるためのツールは、数多く出回っています。キーワードの調査に役立つ業界標準のツールを、いくつかご紹介しましょう。
- Google キーワードプランナー:キーワードを入力するだけで、関連する用語、月間の検索ボリューム、競合率、CPCを簡単に調べることができます。
- Moz Keyword Explorer:月間の検索ボリューム、キーワードの難易度、オーガニックCTRのほか、キーワードの候補なども提案してくれます。また、ドメイン別に検索して競合他社が使用するキーワードの現状も調査することができます。注:無料版では調査できるクエリ数に制限があります。
- Serpstat:Mozと似ていますが、Serpstatではクリック課金に関する調査も可能で、競合他社が配信している広告やCPCを調べることができます。
Eコマース向けSEO対策:オンサイト最適化
御社のウェブサイトを検索エンジンに最適化するには、タグやコンテンツ、構成に変更を加え、サイトおよび各ページの内容を検索エンジンに明示する必要があります。御社のウェブサイトのページが検索クエリに最適なページであることを検索エンジンに認識させて、検索結果の上位に表示されるようにしましょう。
そのためには、御社のウェブサイトが以下の5つの必須条件を満たしているかどうかを確認してください。
- Googleは、URLにhttpsを使用するセキュアなウェブサイトを優遇します。まだ移行していない場合は、早急にhttpsに切り替えるようにしましょう(httpのサイトをhttpsサイトに転送させる301リダイレクトを設定する必要もあります。御社のウェブチームやホストプロバイダーに依頼するか、「(プラットフォーム名)の301リダイレクト設定方法」などで検索して、設定方法を調べましょう。
- モバイルフレンドリーに。モバイルデバイスの普及に伴い、Googleはモバイルファーストインデックス(MFI)の登録を徐々に進めています。つまり、検索結果が御社のモバイルサイトをベースにランキングされるようになるということです。御社のウェブサイトがすでにレスポンシブデザインになっていれば、問題ありません。また、御社に「m.yoursite.com」のようなモバイル版サイトがある場合には、コンテンツがモバイル版でも適切に表示されるようにしましょう。御社のサイトがまだモバイルフレンドリーでないのであれば、早急にレスポンシブデザインに切り替えることをおすすめします。
- ウェブサイトの読込速度もランキングのアルゴリズムに影響します。こちらで御社のサイトの読込速度を確認することができます。スコアが85/100以上であれば問題ありません。
- シンプルに。御社のウェブサイトはシンプルでわかりやすい構造になっていますか?トップページから3クリック以内で、すべてのページにたどり着けるようにしましょう。
- コンテンツは独自のものを。Googleは重複コンテンツを歓迎しません。そうしたコンテンツが御社のウェブサイトにあるなら、検索結果の順位に悪影響を及ぼしている可能性があります。商品のバリエーション、同一商品の複数カテゴリーへの掲載などは、重複コンテンツと見なされる原因となります。検索エンジンに重複ページと判断されないように、canonicalタグを使ってURLを正規化して、つまり最も重要なURLを指定して評価を集約させましょう。
これらの5大要素に対処できたら、次はカテゴリーと商品ページの最適化に着手します。カテゴリーページや商品ページにキーワードを指定していきますが、主要なキーワードは各ページに1つのみに絞ります。あれもこれもと詰め込むことはやめましょう。そして、可能であれば、以下のすべてにキーワードを入れてください。
- URL:URLは簡潔で読みやすく、不要な文字や数字、記号が含まれていないことが理想的です。
- タイトルタグ:タイトルタグに記述された文言は、ブラウザ上部のタブに表示されます。キーワードはなるべくタイトルタグの冒頭に入れるようにし、SERP機能による切り捨てを防ぐためにも70文字程度に収めましょう。
- H1タグ:H1タグにはページの見出しを記述します。ここにキーワードを入れても違和感がなければ、ぜひ含めてください。
- 画像の代替テキスト:代替テキストには画像の内容が記述され、これは視覚障害者の方への情報提供や、検索エンジンスパイダーの情報収集に利用されます。画像との整合性がとれる場合には、ここにもキーワードを含めましょう。
- メタディスクリプション:SERPでリスティングされたページタイトルの下に表示される、ページの概要説明によく利用されます。検索結果の順位そのものに影響するわけではありませんが、ユーザーは検索したクエリとサイトの内容の関連性をここで確認するため、説明の内容が充実していればクリックを促すことができます。
- 本文:一般的に、200~300ワードの本文中にキーワードを2~3回使用するのが理想的とされています。またキーワードを使いすぎても、検索エンジンにスパム判定されてしまいます。キーワードを無理に詰め込んだような印象を与えない、自然な文章に仕上げるようにしてください。検索エンジンは関連した言葉を相互連携するのが得意なため、キーワードのバリエーションを利用するのもおすすめです。
商品ページに関するその他のSEO対策
商品ページの最適化には、上記すべての場所にキーワードを使用するとともに、以下も検討しましょう。
- レビューの追加。買い物客が購入を決める際には、購入者によるレビューが大きな役割を果たします。またSEOの観点からも、レビューの投稿によってページ内のコンテンツが増え、キーワードも多く含まれるようになるというメリットがあります。商品ページにまだレビューを導入していないのであれば、YotpoやPowerReviewsなどのサービスを使って簡単に導入できます。
- コンテンツの拡充。商品ページのコンテンツが充実しているほど、検索結果の順位も有利になります。競争力を高めるためには、商品説明、特徴、メリット、仕様、素材、使用例などを盛り込んだ500~1000ワード程度の商品ページに仕上げるようにします。また、写真や動画などのリッチメディアを使えば、さらに高い効果が期待できます。
- コンバージョンに向けた最適化。Criteoのショッパーストーリー調査レポートによると、買い物客の23%が「人の目をひく写真」、33%が「360度の商品イメージ」と回答しています。言うまでもなく、送料無料や割引オファー、レビューなども、購入意欲を引き出す重要なポイントとなります。
Eコマース向けSEO対策:ローカルSEO対策
実店舗を持つ小売業者であれば、検索エンジンで各店舗の存在を最適化したいと考えるはずです。ローカルSEO対策は、以下のステップで行います。
- 各店舗をGoogleマイビジネスのリスティングに登録します。登録すると、検索結果画面の地図の下に店舗名が表示されます。
- Googleマイビジネスのリスティングに、画像、ウェブサイトのURL、営業時間など、できる限り詳しい情報を登録します。
- オンライン上の主要なディレクトリ(Yelp、YellowPages、SuperPages等)で、御社の店舗が参照されていることを確認します。
- その際、掲載されている名称、住所、電話番号が一貫している必要がありますが、BrightLocalやMoz Localなどのサービスを使えば、これらを効果的に管理できます。
Eコマース向けSEO対策:リンクの最適化
検索エンジンのアルゴリズムにとって重要なのは、御社のウェブサイトにつながるインバウンドリンクの量と質に加え、サイト内部のリンクの量も重要になります。
「インバウンドリンク」とは、外部のウェブサイトから御社のウェブサイトにつながるリンクで、検索エンジンは、これをもとに御社サイトの信頼性を判断します。つまり、外部からのリンクが多ければ多いほど、御社のサイトは信頼性が高いとみなされるのです。
一方、「内部リンク」は御社のウェブサイト内のページ同士をつなぐリンクです。内部リンクの構造を強化すれば、信頼性の高いページからの「リンクジュース」が御社のウェブサイトに広まり、検索エンジンが関連するコンテンツを見つけやすくなります。
リンクプロフィールを強化する方法を、以下に示します。
- 商品ページ同士を相互リンクさせます。また、ブログがある場合には、ブログ記事に関連したカテゴリーページや商品ページをリンクさせます。
- キーワードや説明は、「詳細はこちら」「ここをクリック」のように記載するのではなく、アンカーテキストに指定します。
- 御社の商品に対する理解を深められるようなコンテンツを作成しましょう。たとえば、商品の使い方のヒントやガイドをシリーズ化することなどが考えられますが、読者がリンク/シェアしたくなるような、有意義で興味深いコンテンツを作成しましょう。
- ソーシャルメディアへの投稿にキーワードを使用すれば、御社のウェブサイトのコンテンツへのアクセスを促すことができます。
- 提携パートナー、加盟団体、支援しているチャリティー団体なども有効に活用しましょう。彼らのサイトに御社へのリンクがまだ掲載されていないなら、リンクの掲載を依頼してください。
- 御社のビジネスに関連性のあるソーシャルメディア上のトップインフルエンサーと連携すれば、より広範なオーディエンスにリーチできるようになります。
検索上位に躍り出る準備はできましたか?最後に、今回の4つのSEO戦術をおさらいしておきましょう。
- キーワードを特定する。関連性、検索ボリューム、競合率のバランスを考慮してキーワードを選択します。
- オンサイト最適化を行う。セキュア、モバイルフレンドリー、高速、シンプル、ユニークの5つの必須条件を整え、さらにカテゴリーページや商品ページの主要な6つの要素にキーワードを含めます。
- 実店舗のローカルSEO対策を行う。Googleマイビジネスのリスティングに登録し、オンライン上の主要なディレクトリで御社の実店舗が参照されるようにします。
- リンクプロフィールを最適化する。内部リンクを強化するとともに、高品質なウェブサイトからの外部リンクを構築します。