Criteoの日本におけるリテールメディア事業の担当部長を務める神武秀一郎が、Criteoのリテールメディア戦略について解説する連載、第3回はCriteoのリテールメディア・ソリューションの仕組みや、その事例について解説します。
3つのソリューションでフルファネルをカバーするCriteoリテールメディア
―Criteoリテールメディアの各ソリューションについて、それぞれ、どんな仕組みで、どんな効果が期待できるのかを教えてください。
神武:前回お話したとおり、Criteoリテールメディアのソリューションには、オンサイト(ECサイト)で配信する(1)スポンサード広告(ローワーファネル向け)、(2)コマースディスプレイ(ミドル&ハイファネル向け)と、オフサイト(ECサイト以外の場所)で配信する、(3)オフサイトオーディエンス・エクステンションの、計3つのソリューションがあり、フルファネルをカバーしています。ここでは、簡単に3つのソリューションの仕組みや期待できる効果を解説します。
(1)スポンサード広告(オンサイト、ローワーファネル向け)
仕組み
- 買い物客が商品カテゴリーを検索、閲覧する
- Criteoのアルゴリズムによりスポンサード広告に最適なSKUが決定される
- 検索結果の商品の中にまぎれて、スポンサード広告が表示される
- 買い物客がクリックすると商品詳細ページに直接遷移し、コンバージョンが行われる
期待できる効果
- ネイティブ広告での売上と知名度を上げる。
- ECサイト上でのコンバージョンを促進する。
従来の広告はクリックするとブランドのサイトに遷移して、そこでコンバージョンすることが前提でしたが、スポンサード広告の場合は、あくまでもECサイトの中の商品詳細ページに遷移し、そこでコンバージョンができる仕組みになっています。また、CriteoのAIがクリック率やコンバージョン率を予測する機能が備わっており、その数値の高いブランドの広告が優先的に配信される仕組みになっていて、各ブランドが何を求めるのか(例えば、クリック率を稼ぎたいのか、コンバージョン率を上げたいのかなど)に応じて設定を変え、広告を最適化して配信することができます。
(2) コマースディスプレイ(オンサイト、ミドル&アッパーファネル向け)
仕組み
- ブランドは小売業者のリアルタイムおよび過去のデータに基づいて、ターゲットにするオーディエンスを選択
- CriteoがECサイト上にリッチメディア広告を配信(バナー広告など)
- 買い物客が広告を閲覧、クリック
期待できる効果
- インパクトのあるダイナミックな広告フォーマットで戦略的に買い物客の興味関心を惹く。
- ECサイトやアプリでのリーチを拡大し、商品購買意欲を高める。
検索結果の表示されるページやサイトのトップページなどにインパクトのあるバナー広告を貼ることによって、ブランドのイメージを買い物客に印象付けて興味関心を惹きつけ、「検討」の段階に導く効果が期待できます。また、スポンサード広告と同様にコンバージョンまですべてECサイト内で完結するように設計されており、事前にブランドがターゲットにしたいオーディエンスと配信したいクリエイティブを設定しておくと、該当するオーディエンスの買い物客がそのページを訪問した段階で、リッチメディアの形で広告が配信されます。そして興味をもった買い物客が広告をクリックすると、そのままECサイト内の商品詳細ページに遷移して、そこでコンバージョンまで終えることができます。コンテクスチュアル(特定のページを閲覧中の買い物客にターゲットを絞る)、キーワード検索(キーワード検索している買い物客にターゲットを絞る)など、さまざまなターゲティングをシームレスにサポートできるのも、強みの1つです。
クリエイティブについても、フラッグシップ型、バタフライ型、ショーケース型をご用意しています。加えて「ショップ・イン・ショップ」というメニューも提供しています。これはECサイトの中にブランドの特集ページを作る手法です。広告をクリックするとそのブランド特集ページに遷移して、そこで買い物をすることができます。
(3)オフサイトオーディエンス・エクステンション(オフサイト、フルファネル向け)
仕組み
- ECサイトを閲覧していたユーザーがサイトを離脱する
- 離脱後に訪れたメディアサイト(Yahoo!ニュースなど)で記事を読んでいるタイミングで、離脱したECサイトの広告を配信し、クリックを促す
- 配信された広告をクリックしたユーザーがECサイトに戻る
期待できる効果
- 離脱したユーザーに閲覧していたECサイトや商品を思い出させる
- ECサイトに呼び戻してコンバージョンを促す
現在、オフサイト広告はダイナミックディスプレイやブランデッドディスプレイがメインですが、来年からは動画を使ったオフサイト広告の配信も可能になる予定で、現在準備を進めているところです。もともとCriteoはヤフージャパンを始め、トップレベルのメディアと強固なパートナーシップを築いていますので、リテールメディア広告についても、その強みを活かして多くの消費者がコンテンツを消費している人気メディアにリーチし、効果的な配信をすることができます。