10年以上の実績を誇るCriteoのリテールメディア戦略~Criteo担当者に聞く! 「リテールメディア」の波に乗り遅れてはいけない理由(2)

更新日 2023年10月31日

Criteoの日本におけるリテールメディア事業をリードする神武秀一郎が、Criteoのリテールメディア戦略について解説する本連載、第2回はCriteoのリテールメディア戦略について詳しくお話しします

5倍以上のROASを実現。リテールメディア分野をリードするCriteo

―Criteoでは10年以上前からリテールメディア事業を展開しているとのことですが、現在、どの程度の実績を上げていますか?

神武:Criteoのソリューションを利用して収益を得ている小売事業者パートナー様(小売業者のお客様)は、現在グローバルで100社以上。昨年2021年の実績でいうと約700億円以上のリテールメディア収益を、パートナーの皆様にもたらしています。

また、リテールメディア広告出稿をされているブランドは1500以上、実際のキャンペーンの運用などをサポートしている代理店は175社以上に上り、同じく昨年の実績では4000億円弱の収益を広告主の皆様にもたらすことができています。700億円の広告費で4000億円の収益をあげているわけですから、単純計算すると5倍以上のROAS(Return on Advertising Spend, 広告の費用対効果) を実現していることになります。この実績を見ていただくと、Criteoはリテールメディア分野におけるリーディングカンパニーの1つであるといっても、過言ではないと自負しております。

―どのような体制でリテールメディア事業を展開しているのですか?

神武:リテールメディアプラットフォーム専任のチームメンバーはグローバルで約450人。今後さらに採用を進めて、より大きなチームとする予定です。また、これとは別に約人のエンジニアがリテールメディアプラットフォームの開発や保守管理に携わっています。なお、2022年9月現在、Criteoがリテールメディアプラットフォーム事業を展開しているのは約20カ国。このうち、専任チームが常駐しているのが日本を含む10カ国です。

ここで少しCriteoのリテールメディア分野での歴史を紐解いてみますと、Criteoは2016年にHookLogicを、2018年にはSTORETAILを相次いで買収しました。そして、この2社が2010年以前から培っていたリテールメディアのテクノロジーをベースに、2020年に独自のリテールメディアソリューションである「リテールメディア・プラットフォーム」をリリース。さらに2021年にはMABAYA社を買収、これによってマーケットプレイスに出店している各店舗が広告主になって広告を配信できる仕組みを実現できるようになりました。さらに、2022年夏にはIPONWEB社を買収、リテールメディアを通じた動画広告の配信を可能とする体制を整えることができました。いまや、リテールメディアはCriteoのコマースメディア・プラットフォーム戦略に欠かせないソリューションとなっています。

サードパーティ・クッキーを使わない、「ファーストパーティ・データ」を活用した広告配信

―Criteo のファーストパーティ・データ活用戦略とはどのようなものですか?

神武:従来のデジタル広告は、サードパーティークッキーなどの識別子を活用してWeb上に広告を配信する手法を活用して発展を続けてきました。しかし、ここにきて個人情報保護強化の動きを背景に、業界全体がサードパーティ・クッキーの使用を制限する方向に舵を切ることになり、従来の手法では広告配信が難しくなるだろうという見方が有力になっています。

そこでCriteoが着目したのが小売業者様の保有するファーストパーティ・データ(小売業者の顧客の購買履歴や閲覧履歴など、小売業者のサイトで直接採集されたデータ)です。

Criteoが提供するソリューションは、オンサイト領域のものとオフサイト領域のものに分けられます。オンサイトというのは、簡単に言うとECサイトのことを指し、オフサイトはそれ以外の領域を指すと考えてください。Criteoリテールメディアは一言でいうと、オンサイト(ECサイト)で収集したファーストパーティ・データを活用して、オンサイトとオフサイトの一部で広告を配信していくソリューションです。

―オンサイトとオフサイトでは、それぞれ具体的にどのような広告配信が行われるのですか?

神武:まず、オンサイトではECサイトを訪問している買い物客にターゲットを絞って広告を配信し、ブランドの認知を高めたり売り上げを向上させます。一方のオフサイト(ECサイト外)では、ECサイトを離脱して他のサイトに移動していった人に対してECサイトの広告を配信し、ECサイトで買い物をしていたことを思い出させ、ECサイトへの再訪を促します。

具体的には、オンサイト、オフサイトでそれぞれ次のようなソリューションを提供しています。

オンサイト

  • コマースディスプレイ/ミッド&アッパーファネル(検討層)向けソリューション

ECサイトのトップページや検索結果のページにバナー広告を出せるソリューション。ブランドのストーリーやイメージを伝えることによってユーザーの興味関心を惹きつけ、「検討」の状態に誘導することを目的としています。

  • スポンサード広告/ローワーファネル(購買層)向けソリューション

ユーザーが閲覧中の商品の中に、「スポンサード」と表示した広告を一緒に表示して広告主の商品を提案、購買を促します。

オフサイト

  • オフサイトターゲティング/フルファネル向けソリューション

ECサイトを離脱して外部のニュースメディアなどを閲覧中のユーザーにECサイトで閲覧していた商品の広告を表示して、商品の存在やECサイトを閲覧中だったことを思い出させ、ECサイトへの再訪を促します。

オンサイト広告とオフサイト広告の両方に接触したユーザーは、コンバージョン率が4倍以上に!

―ユーザーによっては、オンサイト広告とオフサイト広告の両方を見る可能性もありますよね?

神武:はい、それについては、すごく興味深いデータがあるんですよ。今年の3月にある小売事業者さんの広告パフォーマンスを計測させていただいたのですが、オンサイト広告とオフサイト広告を組み合わせることによってコンバージョン率の著しい向上が確認できました。すなわち、単純にスポンサード広告(オンサイト広告)に触れただけ、もしくはディスプレイ広告とスポンサード広告(いずれもオンサイト広告)に触れただけのユーザーよりも、オンサイト・オフサイト両方の広告にも触れたユーザーの方が、コンバージョンする確率が高いことがわかったのです。

この結果が表す通り、複数のソリューションを組み合わせることで、リテールメディア広告からより大きな効果を引き出すことができるものと考えています。

次回は、各ソリューションの詳細(仕組みや効果)について解説します。

Criteo担当者に聞く!

「リテールメディア」の波に乗り遅れてはいけない理由(3)に続く