「食費節約を意識」が7割超!値上げラッシュで消費者の行動はどう変わる?

更新日 2023年10月31日

ガソリン価格は10週連続値上げ

いよいよ今年も夏休みシーズンがやってきました。コロナが第5類に移行して始めての夏休み。記録的な猛暑が続く中、海や山へのレジャー、帰省や観光旅行を計画している人も多いことでしょう。そんな楽しい夏休みに水を差しているのが、昨年から続く値上げラッシュ」です帝国データバンクの調べによると2023年に入ってから値上げされた飲食料品の数は7月12日現在で3万品目超。そして、最近ではモノだけでなく、光熱費や各種サービス利用料についても値上げの波が押し寄せています。 

そんな中、今年に入ってから特に目立っているのがガソリン価格の高騰。20237月24日(月) 時点のレギュラーガソリンの全国平均は、171.1円で先週から1.2円の値上がり。値上がりは10週連続で、170円台になるのは昨年の3月以来1年4か月ぶりです。高騰の原因と指摘されているのは、OPECプラスによる原油の減産措置と、サウジアラビアが独自で行っている追加減産措置。これらの措置は今後もしばらくは続く見込みで、夏休み本番の8月以降もガソリン価格高騰は続くものとみられています。このまま高騰が続けば、夏休みの旅行や帰省の計画に少なからず影響を与えそうです。 

レジャー施設の3割が値上げ

また、遊園地やテーマ―パーク、水族館や動物園等のレジャー施設の入場料も値上げが相次いでいます。帝国データバンクが全国のレジャー施設約190施設を対象に行った調査によると、全体の43%にあたる82施設が2022年以降、入場料などの「チケット代」を値上げしていることがわかりました。このうち、2023年に入ってから値上げを行ったのは61施設と、全体の31%を占めています。チケットの値上げは見送ったものの、駐車場代や場内でのフード・ドリンクサービスを値上げしたり、24年以降に値上げ計画を打ち出している施設も少なくありませんなお、2023年に値上げする施設のうち、最も値上げする施設の割合が大きいのは「遊園地」で、主要76施設のうち約4割にあたる28施設が値上げを行うことになります。 

楽天インサイトが2023年2月に行った調査では、最も利用するテーマパークにおいてチケット代が値上がりした場合、利用意向が「低下すると回答した割合が約6割に上っています。食品や日用品の値上げラッシュが続く中、今年の夏休みはテーマパーク内の有料施設の利用回数や、施設内の飲食代などを抑えるなど節約志向が強まるかもしれません。 

節約対象NO.1は食費。ランチ代の平均は・・・?

こうした値上げラッシュの夏を乗り切るために、あるいは夏休みを少しでもリッチに楽しむために節約を心がける人が増えています。株式会社エデンレッドジャパンが全国の会社員300名を対象に行ったアンケート調査値上げの影響で節約を意識するか聞いたところ、9割もの人が「とても意識する/やや意識する」と回答。また節約を意識する項目を聞くと、1位は光熱費やレジャー費を抑え、「食費(72.6%)」という結果に。家計の中でも比較的コントロールしやすい「食費」が真っ先に節約の対象となっていることがうかがえます。その影響は如実に表れているのがランチ代です。同じくエデンレッドジャパンの調査で勤務日に使えるランチ代に変化があったかを聞くと、約4割(38.3%)が「減った/やや減った」と回答。2022年9月の調査では、33.7%であったことを鑑みるとランチ代節約志向がますます顕著になっていることがわかる結果となりました「。 また、ここ最近の勤務日のランチ代平均は、なんと400円であることが判明。前回の同社による調査のランチ代平均436円から大きく下がって物価高騰下の厳しいランチ事情が浮き彫りとなりました 

 食品を買う場所に変化も

このほか、興味深い傾向としては食品を購入する場所の変化です。食品購入=スーパーマーケットが定番でしたが、値上げラッシュを受けて存在感を増しているのがドラッグストアです。食品の相次ぐ値上げを背景に、日常的に食品をドラッグストアで購入する人が増えているのです。ドラッグストアは食品以外の商品(薬品など)の利益率が大きいため、その分、食品を安く販売できるのが強み。確かに、スーパーよりも格段に安い価格でレトルト食品やお菓子、調味料や飲料などが売られているのを、よく見かけますよね。株式会社インテージの調査によると値上げが本格化してきた2022年以降は食品の販売金額でもドラッグストアの伸び率がスーパーマーケットを大きく上回っており、20236月はスーパーマーケットの伸び率が104%に対し、ドラッグストアは132%も伸びています。 

出典:株式会社インテージプレスリリース 

 食費節約をサポートするサービスも続々登場

「少しでも食費を安く抑えたい」という消費者のニーズを受けて、食費節約をサポートするサービスも続々と登場しています。例えばレシートを撮影するだけで支出管理ができるサービス「LINEレシート」では、購入したい商品の安いお店がすぐわかる「商品検索機能」の提供をスタート。「LINEレシート」上部にある検索窓から商品カテゴリーや商品名を入力すると、他のユーザーがレシート登録した最新の販売価格や平均価格が店舗ごとに表示され購入したい商品の安いお店や買い時がすぐわかり、お得に買い物ができるようになります。 

 消費者の節約意識が高まっている今は売り手側である企業やブランドにとっては非常に厳しい時期ではありますが逆に見ると企業からのセール情報やお買い得情報がいつも以上に届きやすい時期でもあります。実際、値上げラッシュを逆手にとって「値上げに負けるなキャンペーン」「節約応援セール」などを開催する店舗やECサイトも目立ちます。こういったキャンペーンでは「値上げをする側の立ち位置」ではなく、「消費者と一緒に値上げラッシュを乗り切る」という姿勢を大切にしたいもの。昨年までは原材料費高騰によるモノの価格の高騰が続いていましたが、足元では人件費や物流料金高騰によるサービスの価格高騰が本格化しています。財布のひもが固くなり、価格のもたらす価値をより厳しく見極める今だからこそ、消費者に商品やサービスの価値を正しく、最適なタイミングで伝える広告戦略を展開しましょう。