ジェンダー・ギャップ指数 日本は156か国中、120位
3月8日は、国連の定める「国際女性デー(International Women’s Day)」。
毎年、この日にはジェンダー平等を目指して女性のエンパワーメントを呼び掛けるイベントなどが、世界中で行われています。1975年に国際女性デーが制定されるきっかけになったとされているのは、1904年3月8日にニューヨークで女性労働者が婦人参政権を求めておこなったデモ活動でした。
制定から50年近くが経ち、日本でも少しずつ国際女性デーの認知度は上がってきていますが、日本の女性を取り巻く状況は、今、どのようになっているのでしょうか。
世界経済フォーラムが発表した2021年のジェンダー・ギャップ指数(その国の男女格差を示す指数、1が完全平等・0が完全不平等とする)を見てみると、日本は0.656と、世界156か国中120位にとどまっています。項目別に見ると、教育(0.983)と健康(0.973)のジェンダー指数は世界トップレベルの高さであるのに対し、政治参画(0.061)と経済参画(0.604)の指数の低さが目立ちます。特に政治参画の低さは世界的に見ても際立っており、実際、衆議院議員の数で見ると、日本は全議員中女性議員の占める割合は9.7%と、世界190か国中168位にとどまっているのが現状です。
「男性の方が優遇されている」が74.1%
次に女性の就業状況についてみていきましょう。
内閣府の調査によると、日本の女性の就業者数は2012年以降増加傾向にあり、2020年は新型コロナウイルスの影響で減少に転じましたが、2021年は2980万人と再び増加、2012年からの9年間で約320万人増となっています。また、民間企業の管理職(部長、課長、係長)の女性比率も上昇傾向にあり、2021年は部長が8.5%、課長が11.5%、係長は21.3%でした。上場企業の女性役員数も上昇傾向にあり、2021年は2012年(630人)の約4.8倍にあたる3055人でした。しかし、国際的に見ると日本の女性役員比率は低く、アメリカ28.2%、中国13.0%を下回る10.7%にとどまっています。
こういった状況の中、日本人は男女の地位の平等感をどうとらえているのでしょうか?
同じく内閣府の調査で「男女の地位は平等になっていると思うか」と聞いたところ、社会全体でみた場合には、「平等」と答えた者の割合が21.2%、「男性の方が優遇されている」とする者の割合が74.1%(「男性の方が非常に優遇されている」11.3%+「どちらかといえば男性の方が優遇されている」62.8%)となっています。
出典:内閣府「令和元年男女共同参画社会に関する世論調査」
分野別に見ると、「平等」と答えた者の割合は、それぞれ次の通りになっています。
- 学校教育の場:61.2%
- 自治会やPTAなどの地域活動の場:46.5%
- 家庭生活: 45.5%
- 法律や制度の上:39.7%
- 職場:30.7%
- 社会通念・慣習・しきたりなど:22.6%
- 政治の場:14.4%
背景に「アンコンシャス・バイアス」も
日本でジェンダー平等が進まない理由はいくつか考えられますが、「アンコンシャス・バイアス」、つまり性別による無意識の思い込みも、そのうちの1つです。内閣府の男女共同参画白書では、「性別役割に対する考え」について、次のような興味深い調査結果が紹介されています。
【男性上位10項目】
- 1位 女性には女性らしい感性があるものだ 51.6%
- 2位 男性は仕事をして家計を支えるべきだ 50.3%
- 3位 デートや食事のお金は男性が負担すべきだ 37.3%
- 4位 女性は感情的になりやすい 35.6%
- 5位 育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきではない 31.8%
- 6位 男性は人前で泣くべきではない 31.0%
- 7位 男性は結婚して家庭をもって一人前だ 30.3%
- 8位 共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ 29.8%
- 9位 家事・育児は女性がするべきだ 29.5%
- 10位 家を継ぐのは男性であるべきだ 26.0%
【女性上位10位】
- 1位 女性には女性らしい感性があるものだ 47.7%
- 2位 男性は仕事をして家計を支えるべきだ 47.1%
- 3位 女性は感情的になりやすい 36.6%
- 4位 育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない 30.7%
- 5位 共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ 23.8%
- 6位 共働きで子どもの具合が悪くなった時、母親が看病すべきだ 23.2%
- 7位 家事・育児は女性がするべきだ 22.9%
- 8位 組織のリーダーは男性の方が向いている 22.4%
- 9位 大きな商談や大事な交渉事は男性がやる方がいい 22.4%
- 10位 デートや食事のお金は男性が負担すべきだ 22.1%
これらの結果を見ていると、男性・女性ともに異性に対する思い込みだけでなく、自身の性についても無意識に思い込みを持っていることがよくわかります。
「男性は仕事をして家計を支えるべき」、「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先すべき」、「家事・育児は女性がするべき」といった思い込みで、無意識のうちに相手や自分自身を縛ってしまわないように気を付けたいものですね。国際女性デーを機に、無意識に性別による思い込みをしていないかどうか、皆さんもご自身のアンコンシャス・バイアスのチェックをしてみてはいかがでしょうか。
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