秋の旅行、行先は都市圏が人気
記録的な猛暑に見舞われた夏が去り、やっと過ごしやすい季節がやってきました。極端に暑くも寒くもないこの時期は観光旅行に最適なシーズン。コロナ禍期間中の旅行自粛の反動もあり、日本でも旅行市場が活気を取り戻しています。旅行大手近畿日本ツーリストでは、2023年秋(9月~11月)の国内旅行販売高は、全国旅行支援がスタートした昨年と比較しても約178%と好調に推移していることを発表。行先ランキング1位は「東京ディズニーリゾート®」が人気の千葉県、2位はショッピング、観光、レジャー施設など見どころが尽きない東京都、3位は「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」への観光客が多い大阪府が続きました。
【国内人気旅行先ランキング】
出典:近畿日本ツーリストプレスリリース
秋の旅行の行先として、大自然やグルメで魅力の北海道や伊勢神宮のある三重県などを抑え、東京や大阪などの都市圏が上位を占めた理由について、同社では以下のように分析しています。
- コロナ5類移行後は、大都市を中心に各地でイベント・祭り・大規模コンサートなども本格復活し、人が多く集まる場所や首都圏への旅行の抵抗感が薄れてきていること
- インバウンドの回復に伴い、都市圏で大規模ホテルの開業が増えてきていること
- 猛暑の影響で紅葉の時期が遅れていること
特に③については、紅葉の見ごろが平年並みもしくは平年より遅いと予想されているため、紅葉狩り需要が高い京都などのエリアは動きが鈍い傾向に。昨年の秋冬の国内旅行先ランキングで2位にランクインしていた京都も、今回は7位となっています。日本気象協会では10月から11月も気温は高めに推移するため、京都の紅葉の見ごろは11月下旬。首都圏は11月下旬~12月初旬と予想されており、紅葉とクリスマスのイルミネーションを同時に楽しむ・・・という旅もできそうです。
見出し:円安の影響甚大。海外旅行のトレンドは?
一方、海外旅行についてはコロナ禍に比べると徐々に回復傾向にはあるものの、その勢いは国内旅行には遠く及ばない状況です。その原因は、記録的な円安とインフレ。特に欧米では物価高が著しく、渡航先で外食やショッピングを楽しめないことから、旅行をあきらめる人も多いようです。そんな中、少しでもリーズナブルに海外旅行を楽しみたい人たちから支持を集めているのが、安くて近いアジア圏。近畿日本ツーリストの調査による海外旅行人気行先ランキングでも1~3位をアジアの都市が占めました。
1位には今年GWの人気ランキングではランク外だった「台北」が急浮上。安くて近いだけでなく、親日国である安心感から久しぶりの海外として行きやすいため、幅広い世代から人気となっているそうです。そして2位が「香港」。「香港」もGWのランキングでは8位でしたが、2位に大きくランクアップ。11月に注目の観光スポット「香港ディズニーランド」がオープン予定となっていることもあり、これまで政情不安で旅行者が減っていた香港の人気が復活し始めているようです。そして第3位は「ソウル」。コロナ禍以降の韓国ブームが牽引し、20・30代の若年層からの予約も多く見られています。
見出し:旅行費用が世界的に上昇傾向。関連商品の売れ行きも好調
旅行市場急回復のトレンドは、世界各地で起きています。Criteoが2023年第3四半期の旅行トレンド調査でも、2023年9月の旅行予約はグローバルで前年同月比プラス5%増加、旅行関連商品の売上も伸びていることがわかりました。例えば、かばんの売上は前年比+22ポイント、スーツケースはプラス6ポイントの伸びを示しています。荷物整理用品は16ポイント、旅行用ボトルや容器の売上は、なんと82ポイントもの上昇を記録しました。旅行用品がたくさん売れているということは、旅行意欲の表れでもあり、新たな旅行用品を手に入れた人は1回のみならず何度も旅行に出かける可能性が高いため、今後ますますの旅行市場の成長が予測されます。
このほか、Criteoの旅行トレンド調査ではチケットの予約方法や今後の展望について、興味深いトレンドを分析しています。調査リポートの日本語版は近日中にCriteoのHPで公開する予定です。お楽しみに!