9月20日は敬老の日。今どきの60代は何にお金を使ってる?

更新日 2021年09月15日

そもそも、「高齢者」って何歳から?

今年の敬老の日は9月20日(月・休)。祖父母や身近な高齢者に日ごろの敬意や感謝の気持ちを伝える祝日ですが、最近は昔に比べて若々しい60代、70代も多いので、うかつにお祝いすると気分を害されてしまうかもしれないので、要注意ですね。そもそも、「高齢者」って、何歳以上の人のことを言うのでしょうか?

何歳からを「高齢者」とするかに明確な定義はありませんが、一般的には、世界保健機関(WHO)が定めた基準に従って「65歳以上」が高齢者とされることが多く、65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼びます。

内閣府が発表した令和3年(2021年)版「高齢社会白書」によると、2020年10月1日現在の日本の総人口は1億2571万人。そのうち65歳以上の高齢者は3619万人と、全人口の約28.8%を占めています。ざっくり言って、約3.6人に1人が高齢者ということになります。周知のとおり、日本では今後ますます少子高齢化が進むと見られており、内閣府の予想では2065年には、なんと2.6人に1人が65歳になるとのこと!今後、あらゆるマーケットにおいて高齢者の存在感はますます増していきそうです。

一方、厚生労働省の調べによると、2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳で、いずれも過去最高を更新しています。平均寿命から見ると、たしかに60代はまだまだ若い!と言えそうです。そう言われてみると、周囲の60代の皆さん、元気ですよね。働いている方も多いですし、特にコロナ以前は外食に旅行に・・・とアクティブに人生を楽しむおしゃれな60代、70代の姿があちこちに見られました。特に女性はオシャレやメイクにも熱心で、購買意欲も盛んです。

「素敵なあの人 2021年10月号」(宝島社)出典:株式会社宝島社プレスリリース

宝島社では、そんなシニア女性にターゲットを定めた日本初の月刊誌「素敵なあの人」を2019年に創刊、雑誌の発行部数が低迷する中にあって、創刊号から完売する人気を博しています。「素敵なあの人」の1番人気の企画は「ファッション」で、「自然体」をコンセプトにしたファッションを紹介するページは、誌面の5割を占めています。創刊当時から「雑誌に載っていた服を購入したい」という問い合わせが相次いでおり、紹介した服をすべて購入した読者もいるのだとか!

ここからは「素敵なあの人」が敬老の日を前に公表した「60代女性の実態」の調査結果を見ていきましょう。

自由に使えるお金は月6万円。興味があることは「おしゃれ」

「素敵なあの人」が2019年の創刊号から2021年3月号まで受け取った読者アンケートの結果をもとに発表した「60代女性の実態」調査によると、「興味があること」の1位「おしゃれ」、2位は「健康」と、60代女性は健康よりもおしゃれに関心を持っていることがわかりました。また、月に自由に使えるお金は平均で6万円。お金の使い道は、3割がファッションと美容でした。美しくありたい・・・という女心は60代に入っても衰えることはないようです。洋服や服飾品の購入先は1位が百貨店。ネットショッピングが台頭する今の時代においても、彼女たちにとってデパートは今もなお、大切な場所であるようです。

この調査で興味深かったのが、習い事をしている60代女性が全体の50%以上にも上っていること。習い事別に見ると、最も多いのはヨガ、2位は書道、3位はジム、4位はフラダンス、5位はフラワーアレンジメントでした。体を動かしてスタイルを維持し、書道やフラワーアレンジメントで感性を磨く・・・そんな女性たちの姿が目に浮かびます。

そして「シニア女性はITに弱そう」という予想を良い意味で裏切る結果も。アンケート回答者のうち85%がスマートフォンを使いこなし、約60%がネットショッピングを楽しんでいることがわかりました。

結局、敬老の日には何を贈ればよい?

アンケートの結果を見ると、予想以上にファッションや習い事を楽しんでいる60代女性の暮らしぶりが目に浮かびます。この雑誌の読者が特別ファッション好きなのかもしれませんが、おそらく「おしゃれをしたい」「美しくありたい」という気持ちは多かれ少なかれ、多くの女性が年齢にかかわらず持ち続ける「願い」なのかもしれません。

では、彼女たち「シニア女性」に、何を贈れば喜ばれるのでしょうか?

参考までにデパートの敬老の日ギフトのラインアップを見てみると、その多くが「お花」や「お花」とカステラなどの「お菓子」のセットでした。カタログを見ていると、カステラには「おばあちゃんありがとう」のような定番のフレーズが焼き抜かれているものが多いようです。これはこれで良いのですが、「素敵なあの人」のアンケートから浮かび上がってくるオシャレでアクティブな60代女性のイメージとは、かけ離れていると言えそうです。では、いったい何を贈れば、シニア女性に喜んでもらえるのでしょうか?

そのヒントは「素敵なあの人」の編集長のコメントから読み取ることができます。

「50代はまだ仕事や子育てなどコミュニティを意識して、服装を選ぶ必要があります。しかし60代は、純粋に自分の“好き”の基準でおしゃれができ、これまでの自分が築いてきたセンスを思い切り楽しめる世代。子どもの手が離れ、経済的にも時間にも余裕ができたことで、美術館や旅行、習い事などお出かけの機会が増えるので、自然とおしゃれにも興味がでてきます」(「素敵なあの人」編集長 神下敬子氏)。

職場では「女性らしさ」、結婚・出産後は「ママらしさ」を基準に身に付ける物を選び、行動してきた女性たち。すべての「役割」から解放された60代からは本当に自分が好きなおしゃれを楽しんでいるようです。そんな彼女たちに「おばあちゃん」のステレオタイプを押し付けるようなプレゼントではなく、日ごろの彼女たち自身のファッションや趣味から読み取れる「好きなもの」をちゃんと選んで贈ってあげるのが良いのではないでしょうか。