感染者が減少し、やっと収束の兆しが見えたかにみえるコロナ禍ですが、12月に入ってから新たに「オミクロン株」の感染が日本国内でも確認される事態に…。残念なことに、この年末年始も昨年と同様に「with コロナ」な状態で過ごさざるを得ない状況が続きそうです。
となると、2022年のデジタルマーケティング戦略も引き続き「with コロナ」が前提となることは間違いありません。そのヒントを探るべく、テクノロジーを駆使したデータ駆動型のカスタマー・エクスペリエンス・マネジメント(CXM)のリーディングカンパニーであるMerkleが発表した2021年第4四半期のデジタルマーケティング・レポート(DMR)をもとに、最近のデジタルマーケティングにおけるトレンドを読み解いていきましょう。
トレンド1:市場への新規参入増加による競争の激化
コロナ禍によるEコマース需要の急拡大を背景に、これまで以上に多くの企業が市場に参入し、ますます多くの消費者が日常的にオンラインショッピングやBOPIS(Buy Online Pick Up In Store)などを利用するようになりました。新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから2年近くが経った今でも、この傾向は続いており、結果としてチャネル間の競争は激化しています。DMRによると、検索連動型広告のCPCは前年同期比で41%増加し、GoogleやMicrosoftも増加を免れませんでした。Amazon Sponsored ProductsのCPCは前年同期比43%増、Sponsored BrandsのCPCは76%増となっています。ペイドソーシャルでは、FacebookとInstagramのCPMがそれぞれ46%、11%増加しました。
トレンド2:トラフィックの前年比は厳しい状況に
2020年第3四半期は、まさにコロナウイルスの感染が急拡大していた時期だったこともあり、ほとんどのプラットフォームが2桁のトラフィック増を記録しました。このため、前年比で見ると今年のトラフィック成長率は低調であり、有料検索のクリック数は前年同期比で10%減少、オーガニック検索の訪問数は前年同期比で3%減少しています。Amazon スポンサープロダクトのクリック数は前年同期比 61%減、スポンサーブランドは同 11%減となりました。ペイドソーシャルでは、Facebookのインプレッションが前年同期比で15%減少し、Instagramは2019年初頭以来、前年同期比でのインプレッション増加率が最も低くなりました。このようにあらゆるデジタル広告チャネルでトラフィックが減少しているにもかかわらず、CPCとCPMは上昇、その結果、ほとんどのチャネルで全体の支出が前年を上回っています。
トレンド3:引き続きCOVID-19の感染状況はショッピングに大きな影響を及ぼす
消費者のショッピングは今もなお、COVID-19の感染状況に大きな影響を受け続けています。ご存じの通り、2020年のオンラインショッピング動向は、COVID-19の感染者数の増減に相関する傾向がみられました。感染者が増えると、より多くの消費者がオンラインショッピングをするようになり、小売業者の業績も伸びました。この傾向は、2021年の第3四半期にも見られ、オーガニック検索、検索連動型広告、Amazonスポンサープロダクトにおいて、小売業者のサイトトラフィック(前年比)は7月に悪化し、8月と9月に改善しました。一方、旅行に関するオーガニック検索の訪問者数は、7月が最も良く、9月に最も悪くなるという逆の動きを見せました。
トレンド4:外出自粛解除に伴い、モバイルからのアクセスが過去最高に
2021年の夏以降、COVID-19の感染者が減少した地域では、外出自粛ムードが和らぎ、仕事やレジャーで外出する人が増えました。その結果、2021年の第3四半期、消費者はかつてないほどモバイル検索を利用するようになりました。DMRによると、第3四半期のオーガニック検索では、携帯電話とタブレットを合わせたモバイル端末からのアクセスが64%を占め、過去最高を記録しました。また、有料検索では、モバイルでのクリックシェアが72%となり、過去最高を記録しました。なお、GoogleとMicrosoftはともに前四半期比で増加したのに対して、Microsoftはクリック数に占めるモバイルの割合では、まだ大きく遅れをとっていることも明らかになりました。
オミクロン株の影響は無視できないものの、2021年のホリデーシーズンは、2020年に比べ、実店舗での買い物を楽しみたいと思う消費者が増えることが予測され、オンラインのクリック率にも少なからぬ影響が出ると思われます。いずれにせよ、今後もマーケターにはCOVID-19の感染状況に合わせて、柔軟な対応ができる体制の整備が求められることは間違いなさそうです。