変化の波をつかめ!2023年デジタル広告を変革する10のトレンド

2023年も折り返し地点を過ぎました。今年は何といってもコロナが第5類に移行したことで、ここ数年間続いていた閉塞感・停滞感が一気に払しょくされ、再び新しい生活が始まったこと。そして、それに伴う消費意欲の急激な回復です。しかし、同時に原油価格や人件費高騰による日用品の値上げラッシュで、消費に慎重な消費者心理も顕著に表れてきています。こういった一見両極端な消費傾向に対して、マーケターはどのように対処すればよいのでしょうか。そのヒントを皆様と共有すべく、Criteoではこのほど「コマースメディア・トレンド2023」を公開、Criteoが全世界の2万2000を超えるクライアントの会話の中から見出したデジタル広告の在り方を大きく変えるであろう10 のトレンドをご紹介しています。今回のブログではその概要をかいつまんでご紹介しましょう。

トレンド1:オムニチャネル抜きには語れない

オンラインとオフラインの境界がますます曖昧になる中、小売業者やブランドにとってオムニチャネルは今や唯一の戦略と追っても過言ではありません。

加えて特に意識したいトレンドワードは以下のとおりです。

① ROPO(Research on-line Purchase off-line)

オンラインでリサーチし、オフライン(実店舗)で購入する人が増えています。商品や店舗を知ったきっかけがオンラインであっても、売上が実店舗で上がってしまうとデジタル投資に対するリターンが把握できなくなります。これを防ぐために、コンバージョンをオンライン・オフラインで分けず総合的にとらえることが大切です。

②フィジタルの誘引力

実店舗を訪問する前にオンラインをチェックすることは、もはや当たり前になっています。消費者のリアルな生活に即したレコメンドを送ることができるフィジタルなウェアラブル技術にも注目が集まっています。※フィジタル=Physical(フィジカル)とDigital(デジタル)をかけ合わせた造語で、リアル世界とデジタル世界を融合させること。

トレンド2:小売業者のデータが、プログラマティック広告を進化させる

自らのECサイトをメディア化して広告予算を得る手法「リテールメディア」に取り組む小売業者が増えています2022年のアメリカのリテールメディアの広告支出は2019年のパンデミック前に比べて3倍以上に伸び、さらに成長を続けています。リテールメディアは実店舗への売上に貢献し、デジタルの垣根を越えてAmazonと競争を繰り広げることになるでしょう。さらなる進化のためには小売業者が自ら持つデータを最大限に活用することが不可欠です。

トレンド3:ブランド予算のゴールドラッシュ

認知からコンバージョンまでの時間が劇的に短縮し、商品を見てからものの数秒でクリックする消費者が増えています。つまり、「ファネル」はもはや崩壊しつつあり、ブランディングしながら販売し、販売しながらブランディングする必要が生じているのです。こういった動きを受けて、大企業では早くもマーケティングなどのサポート部門が売り上げ部門直轄になるように大規模な組織改革が始まっています。ブランド広告とパフォーマンス広告の一体化が加速する中、マーケターは全ての売上獲得に直結できる成果を求められるようになっており、将来を見据えた意思決定を可能にするSKU別の収益や需要予想などがKPIの主軸となっていくでしょう。

トレンド4:コマースを極めるためアップデートする代理店

代理店はプラットフォーム頼りの方針を転換する時期を迎えています。というのも、今の代理店はメディアとEコマース双方を理解する二刀流のコマーススペシャリストとしての役割を期待されるようになっているからです。メディアプランニングが複雑化する中、求められているのはリテールや新たなメディア環境を横断して包括的なプランニングができるコマース機能。代理店には、これまでのように人間の勘や経験に頼ることなく、AIとオートメーションを活用してマルチチャネルキャンペーンに包括的に取り組む姿勢が求められているのです。効率的なパフォーマンスマーケティング、もしくは企業によるメディアプランニングと購入機能の設定支援を通じた広告代理店の収益ポテンシャルは2026年までで50億ドルにのぼるとみられています。

トレンド5:新しい有力チャネルの台頭と普及

メディアバイイングの成功やビジネスの成長を目指すなら、予算の再編成は不可欠です。成果が振るわず、効果が測定しづらいチャネルに充てている広告予算をファネル上流でポジティブ、かつ計測可能なチャネルに充てる必要があります。そのチャネルこそ、リテールメディアです。GroupMによると、2022年のリテールメディアプラットフォームへの投資は世界総額で1,107億ドルに達しており、2023年は1,219億ドルにまで増加する見込みです。

トレンド6:オープンウェブでオフサイト広告を展開

オフサイト広告は小売業者にとって新たなフロンティアです。小売業者はブランドや広告主がオープンウェブでオーディエンスにリーチできるようにすることで、収益拡大のチャンスを増やしていくでしょう。eMarketerによると、2023年のリテールメディアのオフサイト広告の支出予想額は65億4000万ドルで、リテールメディア収益全体の14.5%を占めるようになると予想されています。2020年のオフサイト広告の支出が18億3,000万ドルだったことを考えると、その成長ぶりには目を見張るものがあります。

トレンド7:ジェネレーティブAI

大きな話題となっているChatGPTや、その他の新アルゴリズム戦略により、検索や広告などの幅広いデジタル・インタラクションに対して、人間にきわめて近い人工的な能力が適用され始めています。これらは近い将来、アドテク分野で不動の地位を確立するでしょう。ChatGPTはすでに、従来のコピーライティング、デザイン、コーディング、編集方法を変革しつつあり、コンテンツの更新、3Dモデルや画像のモックアップの作成、パーソナライゼーションなどを行っています。リテールメディアの分野においては、リテール専用のジェネレーティブ(生成)AIが小売業者やブランドによるショッピング体験の変革を大きく後押しし、加速していくでしょう。

トレンド8:Z世代を解読せよ

Z世代=若者の印象が強いですが、実はアメリカのZ世代の約58%はすでに成人していて、経済的に自立しています。大人になったZ世代は意図的な消費をする人たちで、サステナビリティ、手頃な価格、ダイバーシティ、インクルージョンは、Z世代のショッピングの基準や価値観の中に根深く組み込まれています。たとえば地球環境の保護に配慮した商品により積極的に支出する人の割合はZ世代では42%に上ります。この特殊な消費傾向を持つZ世代が消費の主役になることによって、その購買力がコマースを変えつつあるのです。戦術とプラットフォームを上手く活用すれば、世界で最も良心的な消費者=Z世代の心をつかみ、売上を増やすことができるでしょう。

トレンド9:商品SKUの精度が成果型の新たなメディアを生み出す

Googleが2024年末までにサードパーティ・クッキーのサポートの段階的な廃止を予定していることを受け、「SKU」や「店舗」は非常に重要なターゲティング基準になりつつあります(※SKU=Stock Keeping Unit:受発注や在庫管理を行う場合の最小管理単位広告主は商品単位)。広告主は商品単位の売上を詳細に把握することによって、プライベートラベルやその他のDTCブランド(オンラインで顧客と直接関係を築いて製品やサービスを提供するブランド)との共創に拮抗していくようになるはずです。商品SKUの精度が成果型の新たなメディアを生み出す可能性も大いにあります。

トレンド10:広告分野におけるサステナビリティ

業界を問わず、ビジネスのあらゆる面において地球環境に配慮した取り組みは最優先事項の1つとなっています。広告業界にできる取り組みとして効果が高いのは、質の悪い広告を排除すること。アテンションモニタリング技術を使った調査によると消費者が注意を向ける時間が0.5秒未満の広告を排除することによってCO2排出量は62%も減少、一方でアテンションは40%も上がることがわかりました。業界関係者は今後も環境負荷低減のための活動を加速させ、この課題により真剣に取り組むようになると見られています。

以上、コマースメディアを取り巻く10のトレンドをご紹介しました。すでにご自身でも気づいていた・実感していたトレンドがいくつかあったという方、すでに何らかのアクションを起こしている方もいれば、まったく実感がないという方もいるかもしれません。これら10のトレンドについてより詳細な内容をお知りになりたい方は、Criteoのリポートをご覧ください。

また、このトレンドをどうやって貴社のマーケティング戦略に活用すべきかをまとめたミニブックもご用意しています。Criteoではこれらのトレンドに対応するためのソリューションを各種ご用意しています。

ご興味のある方はCriteoまでお気軽にお問合せください。エキスパートが貴社の業種や状況に合わせて最適なソリューションをご提案させていただきます。お問い合わせはこちらから

Michelle Pruett

Criteoのコンテンツ担当グローバルヘッドであるMichelleは、優秀なマーケターで構成されるハイパフォーマンスなチームを率いています。 彼女の執筆した記事は、Entrepreneur、Business ...

コンテンツ部門長