チャレンジはチャンスにもなり得ます。今こそ、コマースメディアの可能性を活かすべきです。消費者が積極的に閲覧・検討しているタイミングでリーチし、エンゲージし、さらにコマースの成果を正確に測定できれば、2023年だけでなくその先の将来においても広告の効果を最大化することができるでしょう。
本稿では、Criteoのコマースメディア関連のエキスパートチームに聞いた、新たな1年を成功に導くためにマーケターが注目すべきマーケティングと広告トレンドについてまとめました。貴社のマーケティング戦略立案の一助となれば幸いです。
1. 新しいメディア環境「リテールメディア」の力強い成長続く
リテールメディアなどの新たなデジタル広告がコマースメディアの中心的な存在になりつつあり、マーケターからの支持も勢いを増し続けています。。この傾向は特に米国で顕著ですが、欧州とアジア太平洋地域も同様に、他のメディアをしのぐ勢いで採用が続くと見ています。
eMarketerの予測によれば、広告支出の大部分が今なおソーシャルメディアが占めている一方で、今年はリテールメディアへの支出がソーシャルメディアの5倍のペースで増加するとしています。
リテーラーは引き続きメディア配信規模を拡大してエンド・ツー・エンドのショッピングジャーニーを確立しようとするでしょうし、マーケターは高い効果が実証されているリテールメディアへの投資を今後も継続していくでしょう。 Criteoの調査レポート「コマースの未来 – オープンウェブでのリテールメディアの台頭」によると、リテールメディアによる効果について、メディア代理店の上級管理職クラスの半数以上(51%)が「オーディエンス・ターゲティングの精度の向上」、「実際の購入との関連性」(58%)、「売上増加」(53%)を挙げています。 代理店とクライアント企業だけでなく、リテーラーも同様にリテールメディアの活用をさらに推し進め、成果を拡大させていくと考えて間違いなさそうです。
2. 本来のショッピング傾向がセール期間を凌駕
この3年間、Eコマースの利用拡大によって、消費者のオンラインショッピングの方法は完全に変化しました。これに伴い、割引セールに対するブランドとリテーラーのアプローチもまた、大きく変わっていくと考えられます。 かつては「独身の日」や「ブラックフライデー」といったセール期間に爆発的な売上が見込まれました。今でもこうした期間は大々的な商業イベントではあるものの、売上げは軟化傾向にあります。
たとえばアジア太平洋地域の今年のデータを見てみると、独身の日(11月11日)が近づくにつれて急激な売上増が見て取れますが、東南アジア地域の売上は1年前と比べて減少(-23%)しました。 また別のCriteoのデータでは、2015年以降のブラックフライデーの売上は鈍化しています。これはリテーラーや直販(DTC)ブランドがホリデーシーズンの初めから年末にかけて、独自のセールを開催したためと考えられます。 これらの企業は、消費者にはショッピングのスケジュールを自由に調整できる柔軟性と選択肢を提供しながら、年末商戦の真っ只中でも注目を集めやすくする戦略を採ったのです。マーケティング戦略を数日間のセールに限定してしまうのではなく、年間を通じて小規模なセール期間を設けながら継続的に価値を提供するように、ブランドとリテーラーは戦略をアップデートしているのです。
3. グロース戦略がマーケティングの新たなマインドセットを生み出す
マーケターの最終的なゴールは、収益目標の達成です。2023年もそれが変わることはありませんが、ゴールに到達するためには「オールウェイズ・オン」の成長戦略を導入する必要があると考えます。長期的な成長を目指すならば、コマースオーディエンス、つまり購入意欲の旺盛な「インマーケット」で高価値な買い物客とエンゲージする必要があります。つまり、こうした極めて関連性の高いオーディエンスへのアプローチを最適化することが不可欠となります。 マーケターにとって、これは単に有望顧客を見つけるだけでなく、商品・サービスを実際に利用して気に入ってくれる顧客を見つけ出すということでもあります。
2023年は、年末のホリデーシーズンに獲得したばかりの顧客を維持する戦略を立て、長期的な関係を築き、顧客生涯価値(LTV)を高めるためのアプローチを最適化しましょう。 こうした結果を受け、Cirteoは、「オールウェイズオン」の新規顧客獲得と、既存顧客維持のキャンペーンに的を絞った成長戦略に、マーケターや代理店が多くの予算を投入すると予測しています。
4. リテーラーとパブリッシャーのパートナーシップ強化
テールメディアに関して話題になるトピックの一つとして、リテーラーとパブリッシャーは対立関係にあるというものがありますが、これは誤解です。 コマースメディアは、リテールメディアモデルをベースに、オープンインターネット上の膨大なパブリッシャーネットワークを加えて完成するプラットフォームです。コマースメディアでリテーラーとパブリッシャーが連携すれば、パブリッシャーのサイト上でカスタマイズされたコマース体験を生み出すことができ、結果的に双方に利益をもたらすことができます。
パブリッシャーは、コンテンツ、コマース、ファーストパーティ・データを融合することで、商品・サービスと消費者が出会う新たな場を提供することが可能です。一方で、リテーラーは、パブリッシャーサイト上で消費者がより簡単にお買い物ができる新たなコマース体験を提供するとができます。これにより、メディア機能を強化するリテーラーと、ショッパブル広告、スポンサード・リスティング、そしてリテーラーと連携したデジタル店舗を通じてEコマースさらに推進しようとするパブリッシャーの双方に、win-winのシナリオを生み出します。 また、消費者に使いやすく簡潔なコマース体験を提供できるため、マーケターの収益目標の達成を後押しするとともに、ブランドの好感度を高める効果も期待できます。
5. コマースメディアがキャンペーン成果の測定を再定義
アトリビューション分析は長い間マーケターの悩みの種でしたが、コマースメディアの高度な計測機能はマーケターにより高精度な分析とインサイトの獲得をもたらすと考えています。 コマースメディアはリテーラーとオープンインターネットを横断してデマンドサイドとサプライサイドをつなぐため、広告キャンペーン全体で統合されたクローズループ型の計測結果を得ることができるからです。
これにより、媒体やプラットフォームごとに分断された計測結果ではなく、キャンペーン全体での実際のコマース成果(収益、売上高、リード獲得数を含む)を確認できるようになります。つまり、広告予算に対する直接的な効果を把握できるのです。最良の成果をもたらした要素は何か、詳細なインサイトを抽出できるため、戦略と広告支出に関する判断を最適化することができます。その結果、実行中のキャンペーンに加え、将来実施するキャンペーンでも、ショッピングジャーニー全体のパフォーマンスを向上させることができるのです。
2023年のキーワードは「インパクト」
ここまでに話を聞いた全員の予測すべてに共通するテーマは、2023年は「インパクト」にフォーカスすべきということです。 マーケターにとっても、消費者にとっても、この一年は行動や支出に伴うあらゆる価値を最大化することがカギとなります。 消費者にとっては、いかに自身の支出から最大限の利用価値を引き出せるの勝負です。一方マーケターは、広告活動からいかに投資対効果(ROI)を引き出せるかを目指すことになります。
そのためにマーケターは、精度の高い計測とオーディエンス・ターゲティングを駆使して、購入意欲の高まっている消費者に充実したコマース体験を提供する必要があります。 未来に「絶対」など存在しませんが、2023年がどのように大きく変わろうとも、コマースメディアを活用すれば、マーケターは消費者の行動と市場の移り変わりに適応できる手腕と俊敏性を手に入れることができるはずです。
2023年を見据えたコマースメディアの活用方法について、詳しくはCriteoのコマースメディアプラットフォームをご覧ください。