旅行者の65%が秋に国内旅行を計画
新型コロナウイルスの影響で世界的に大きな打撃を受けている旅行業界。しかし、9月以降は全世界的に国内旅行が回復傾向にあり、トリップアドバイザーがホテル検索、及び2020年9月から2020年11月までの期間の宿泊予約のデータより算出したところ、全世界の旅行者のうち約65%が秋の休暇に国内旅行を計画していることがわかりました。
日本でも、7月に国内旅行の費用の2分の1相当額を国が支援する「Go To トラベル」事業がスタートしたこともあり、9月以降観光地に少しずつ旅行客が戻り始めています。では、この秋、日本人旅行客は国内旅行の旅先として、どのエリアに向かっているのでしょうか?
日本の国内旅行、人気の行き先トップ10は?
同じくトリップアドバイザーが国内宿泊予約の前年度比率に基づいて発表した「2020年秋の日本人旅行者による国内行き先トップ10」は以下の通りでした。
- 白馬(長野県)
- 熱海(静岡県)
- 志摩(三重県)
- 伊東(静岡県)
- 軽井沢町(長野県)
- 箱根町(神奈川県)
- 白浜町(和歌山県)
- 石垣(沖縄県)
- 神戸(兵庫県)
- 日光(栃木県)
ご覧の通り、トップテンにランクインしたのは、ほとんどが自然豊かなエリアや温泉地。この結果についてトリップアドバイザーの牧野友衛代表取締役は、「日本人旅行者の今秋の旅行傾向をみると、賑やかな市街地で過ごす休暇より、温泉やアウトドア・自然散策のようなリラックスしてリフレッシュできる場所の人気が高まっています。今後もしばらくは、ドライブ旅行やアウトドア・自然を楽しむ旅行が増えてゆくと考えられます」との見解を述べています。
直前予約が増加。68%が宿泊施設の安全性と清潔さを最も重視
その他のこの秋の旅行に関する世界的な傾向としては、以下の点が顕著に見られました。
- 宿泊日数:日本人を含む世界の旅行者のうち、55%の人が2〜5泊、36%が1泊で予約を検討していることがわかりました。1泊2日の慌ただしい旅行よりも2泊以上の比較的ゆったりとしたペースの旅行が人気のようです。
- 直前の予約:旅行者の多くが、出発予定日まで1週間を切った段階で旅の予約をしています。海外旅行と違って、思いついたら、すぐに出かけられるのも国内旅行の魅力の1つ。コロナの影響で宿泊施設が比較的空いているので、直前でも予約が取りやすいのも、思いつきの旅に出かける人が増えている理由の1つかもしれません。
- 安全第一:世界中で、安全であることが依然として重要視されています。世界の旅行者の68%は、施設の安全性と清潔さが最も重要であると述べています。
そして、特に日本の旅行者についてはこの秋、次のような傾向が見られるそうです。
- 最も回復が見られるのは、ラグジュアリーホテルや海の見えるホテル
- ペットと泊まれるホテルや周囲にハイキングコースやビーチがあるホテルも、人気の回復が早い傾向が見られる
- 国内旅行をする際、昨年よりも滞在費を抑える傾向が見られる
GoToトラベル、オンライン旅行業者に予算追加配分
アウトドアや温泉を中心に客足が戻りつつある日本の国内旅行ですが、この流れは今後も続いていくのでしょうか?
その鍵を握るのが、政府のGoToトラベルキャンペーンです。7月22日のキャンペーンスタートから9月15日までの利用は1689万人、政府支援額は735億円に。Travel、Eat、Event、商店街を合わせた「GoTo」キャンペーン全体の令和2年度補正予算額には1兆6794億円が割り当てられています。
また、給付枠上限に達したことを理由にGoToトラベルの割引販売を停止したり、割引枠を縮小したりする業者が相次いだことから、政府は10月13日にオンライン旅行業者に対する支援額増額を発表。今後の新型コロナウイルスの感染状況が見えない以上、秋の紅葉シーズンやクリスマス、年末年始の旅行がどの程度の盛り上がりを見せるのか未知数ではあるものの、「旅行に行きたい」という消費者は確実に存在しています。お得なGo Toキャンペーンがその消費者の背中を後押しする材料になることは間違いなさそうです。