2019年のブラックフライデーには、世界中でかつてないほどの売上増加が見られました。そこで、Criteoでは月間19億人に上るアクティブな買い物客のデータを分析し、そのハイライトをまとめました。今回、ショッパーグラフから取得した取引データの処理方法を大きく変更したため、商品カテゴリーごとの売上にまで掘り下げた詳細な考察が初めて実現しました。
以下で詳しくご紹介します。
1.今年のブラックフライデーの売上は前年比26%増
Criteoは昨年、ブラックフライデーが世界的な現象になった理由やそのトレンドについて、膨大な時間をかけて調査・分析しました。国別の売上については、Criteoのホリデーシーズンのインタラクティブ・ダッシュボードで確認することができます。
今年のブラックフライデーは昨年よりも1週間遅い開催となりましたが、それでも売上とトラフィックは11月初旬には上昇を始めました。消費者の大半が「ホリデーモード」にシフトし始めたのは、このタイミングと考えてよさそうです。その後、ブラックフライデーの1~2週間前にはコンバージョン率の低下が見られました。ブラックフライデー当日の特別価格を見計う消費者の心理が反映されたものとみられます。
結果として、今年のブラックフライデーの売上は平均336%増、トラフィックは170%増となりました。昨年のブラックフライデーの売上が310%増だったことを考えると、今年は昨年をさらに26%も上回る大幅な売上増を記録したことになります。
2.売上トップは健康&ビューティー関連
今年のブラックフライデーで最も好調な売上を記録した商品カテゴリーを調べたところ、健康&ビューティー関連が他のカテゴリーに大きく差をつけてトップでした。売上は464%増を記録しました。これにスポーツ用品の426%が続き、PCなどのハイテク関連のカテゴリーも379%の伸びを示しました。
衣類やジュエリーなど、ファッション&高級ブランド関連の売上は343%にとどまり、子ども用品の320%をわずかに上回る結果でした。
3.期待のカテゴリー
売上が好調なカテゴリーを数字から判断し、そのカテゴリーの成功事例をみつけるのは簡単です。一方、大きな売上成長が見られないカテゴリーを調べてみると、別の事情やストーリーを垣間見ることができます。たとえば、リフォーム&インテリア用品の伸び率は144%、また教育(家族&若者向け)は109%、カルチャー/メディア/チケットは56%でした。
一般的に、これら3つのカテゴリーはギフトとして考えられていないことから、そもそもホリデーシーズンに注目を集める可能性が低いカテゴリーなのかもしれません。しかし、それを逆手にとって、年末商戦で特定のオーディエンスをターゲットにした販売や独自のキャンペーンを展開することもできるはずです。
たとえば、ブラックフライデーのスペシャル企画として、イベントチケットを提供する広告キャンペーンを展開してみてはどうでしょうか?あるいは、美術館の入場チケットなどを提供しても良いかもしれません。まずは、こういったキャンペーンに興味を持つ可能性が高いターゲットを把握するには、どうすればいいのか検討してみてください。
4.サンクスギビングデー(感謝祭)も期待できる?
食事会やお祝い事など、家族が集まって過ごしたイベントの後は、スマートフォンでショッピングする人が増えるようです。こうした売上増加のパターンは特にモバイル経由の販売で顕著に見られるものであり、その背景には心理的な要素が関係していると思われます。今年のサンクスギビングデーのデータを見ても、取引の59%がモバイル経由のものでした。
人々は家族との時間を楽しみつつも、暇をみつけてはお買い得商品を調べているのかもしれません。多くの場合、商品探しはスマートフォンで行われています。
5.ますます高まるアプリの人気
前述のとおり、サンクスギビングデーのモバイル経由取引は全体の59%に上り、わずかではありますが、ブラックフライデーの数字(57%)よりも高い結果となりました。これもやはり注目すべきポイントであり、2019年はデジタル購入の大部分がモバイル経由の取引が占めていたことになります。
特に、アプリ経由の取引の増加は著しく、今年のブラックフライデーには10月に比べて146%も増加しました。
消費者の意見と実際の行動
Criteoはこれらのデータに加え、アメリカの消費者を対象に行ったブラックフライデーのショッピング計画に関する調査結果も分析しました。
アメリカの消費者は、ビューティー関連商品の購入を前々から考えていたのでしょうか?
答えは「イエス」です。調査ではZ世代の31%、ミレニアル世代の32%が、他のカテゴリーよりも優先してビューティー関連商品の購入を予定していたと回答しています。
国別または世代別の数字の詳細は、以下のグラフを参照してください。
さらにCriteoでは、2019年のブラックフライデー期間中に購入を検討していた商品についての調査を各国で実施しました。
商品カテゴリー間でどのような違いがあったのか、非常に興味があったのです。というのも、需要そのものではなく、広告に関わる問題を知りたいと考えたからです。健康&ビューティー関連の商品が最もよく売れたのは、ブラックフライデーの週末に、誰もがこのカテゴリーの商品のことを気にかけていたからです。スポーツ用品の売上増加も予想外の結果でした。おそらくこれはブラックフライデーがフットボールのシーズンと重なったこと、サンクスギビングデーの期間中にウィンタースポーツについて考えた人が多かったことが影響したと思われます。
規模を問わず、ブラックフライデーはあらゆるカテゴリーの小売業者に絶好の商機をもたらしますが、その裏にある数字を分析してみると、より興味深い発見が得られます。企業はこうした情報をもとにオーディエンスの行動について理解を深め、今後に向けてより戦略的な計画を練ることができます。
Criteoのレポート「ホリデーシーズンのトレンド 2019」では、昨年の動向や過去のデータをもとに導き出したCriteoの提案など、今年のホリデーシーズンの成功に役立つインサイトを掲載しています。