コマースメディア 10の真実

「名は体を表す」と言いますが、最近、広告業界でよく耳にするようになった言葉「コマースメディア」は、いったい何を表しているのでしょうか?リテールメディアとの違いは?なぜブランド、代理店、小売業者、そして広告主はコマースメディアを活用すべきなのでしょうか?

本稿では、コマースメディアについて知っておくべき10のポイントをご紹介します。

まずはじめに、「コマースメディア」という言葉の定義を整理しておきましょう:

コマースメディアとは、物理的・デジタル的なタッチポイントを問わず、ショッピングジャーニーを通じて買い物客と商品やサービスを結びつけ、広告出資を商品やサービスの取引に直結させる広告のことです。ー 参考:コマースメディア完全ガイド

簡潔な定義は言葉が示す内容の全体像を把握するには有用ですが、言葉の裏にあるコンセプトや核となる原理原則をしっかりと理解しておくことも大切です。ここからは、デジタル広告で注目を集めているコマースメディアを理解する上で、押さえておきたい10のポイントをご紹介します。

  1. コマースメディアは、比較的新しく、現在進行形で進化を続けているコンセプトです。
    2022年2月にアマゾンの広告収入が310億ドルに達したことを公表したころから注目を集めはじめました。
    ブランド広告主にとってはこれまでアクセスできなかったコマースデータの利活用が、小売業者やコマース企業にとっては利幅の大きい全く新たな収益源が約束されたことで一気に人気を博しました。今日、コマースメディアの導入はかつてないほど進んでいますが、エコシステム全体がその恩恵をフルに享受するにはまだ早く、今からでも参入することで大きなチャンスをつかむことができます。
  2. コマースメディアは、トランザクションに関連したメディアです。
    オンラインとオフラインの販売取引に関連し、または帰属することができるすべてのメディアに加え、オーディエンス・ターゲティングを強化・最適化するためにコマースデータを活用するメディアを含みます。ブランド広告主は、小売業者やマーケットプレイス、大手Eコマースブランドのプラットフォームや実店舗、あるいはオープンウェブ上のパブリッシャーのプロパティ上で、自社の製品やサービスを宣伝することができるのが特徴です。
  3. コマースメディアは、コマースデータとAIなしでは機能しません。
    コマースメディアのターゲティングとオーディエンスは、コマースデータ(ファーストパーティのカスタマージャーニーやインテント・シグナルとトランザクション)に基づいて構築され、マーケティングの意思決定に必要な情報を提供し、ターゲティングを改善し、効率的で効果的な広告を作成し、より豊かな消費者体験を提供します。これは、コマースデータを分析して適用し、レコメンデーションや入札を改善する予測モデルを開発できる人工知能(AI)があって初めて可能になります。また、メディアオーナーが収益化のために自らのオーディエンスを強化するのにも役立ちます。
  4. コマースメディアは、広告主以外にとっての収益拡大装置です。
    マッキンゼーは、2022年のコマースメディアの事業価値を1兆3,000億ドルと見積もっています。パブリッシャーと小売業者が利益の大部分を占める一方で、広告主、代理店、プラットフォーム、データ、メディア、計測ベンダー、その他コマースメディア事業者のコマース成果の開発と推進を支援するテックベンダーなど、この巨大な利益を享受できる多くの種類の事業が存在し、それによって収益が倍増すると予測しています。
  5. コマースメディアの最大の成長阻害要因は断片化です。
    今日のコマースメディアには標準化されたアプローチが存在しないため、小売業者、マーケットプレイス、大手Eコマースブランドなどがそれぞれに独自の広告販売方法、オーディエンスやデータの定義、クローズドループのポリシーを持っています。そのため、ブランド広告主はターゲットとするオーディエンスにリーチし、これらのマルチコマース環境におけるキャンペーンの包括的なROIを測定することが難しくなっています。より多くの収益を上げるためには、コマースメディアの標準化と統一化が業界全体にとって最も価値のある取り組みとなりえます。
  6. コマースメディアはリテールメディアを含むコンセプトですが、二つは同じではありません。
    小売業者は、コマースメディアの分野に最初に参入した業種のひとつです。それゆえリテールメディアの知名度が高く、この2つの用語はしばし混同されがちです。リテールメディアはコマースメディアの先駆け的存在ですが、自動車メーカー航空会社ホテルライドシェアリングマーケットプレイスなど最近の新規参入企業は、小売業を上回る独自の手法とデータセットと、トランザクションの種類も異なります。
  7. コマースメディアでは、小売業の枠を超えたインサイトを活用できます。
    コマースメディアは小売業だけでなく多業種にまたがっているため、より広範な環境とオーディエンスからの行動データとトランザクションデータを有しています。このような小売業以外の豊富なインサイトは、ターゲティングとパーソナライゼーションをさらに改善し、より大規模なマーケティング・ミックス戦略に必要な情報を提供することができます。
  8. コマースメディアは、デジタルエコシステムにおけるビジネスチャンスを拡大します。
    コマースメディアは、サイト内のコンバージョンの瞬間やディスプレイ広告による体験と、オープンウェブや店舗内といったサイト外(オフサイト)の広告プレースメントを結びつけることで、従来のプログラマティック・チャネルを超えた成果をもたらすことができます。
    ノンエンデミック*なブランドにもユーザーにリーチする機会を提供し、パブリッシャーにはコマースに焦点を当てた収益化を可能にします。つまり、バイサイドとセルサイドの両方がファーストパーティデータの真の価値実現を可能にするのです。*当該小売サイト内で販売している広告主を「エンデミック」、小売サイト内で販売していない広告主は「ノンエンデミック」と言います。
  9. コマースメディアはオムニチャネルでフルファネルなマーケティング戦略を実現します。
    コマースメディアが消費者にリーチするのは、購入やコンバージョンの時点に限定されません。オンラインからオフラインまでのあらゆるチャネル、そして購買ファネル全体を通じて消費者にリーチできます。つまり、コマースメディアは、最初のリサーチ段階から最終的な購入に至るまで、認知、検討、コンバージョンのすべてを促進するために利用できます。
  10. コマースメディアは、マルチフォーマットで、マルチチャネルです。
    マーケティング・ファネルのどの段階でもで消費者とつながるために、ビデオ、ディスプレイ、コンテクスチュアル、ショッパブル、CTV、デジタルOOH、SMS、リテールメディアのスポンサード商品広告など、さまざまな広告フォーマットやチャネルに対応しています。
  11. (ボーナス!)コマースメディアはポストクッキーのターゲティングと計測に対応した、アドレサブルなデジタル広告です。
    コマースメディアはファーストパーティ・クッキーと、ログイン認証済みユーザーの大規模なデータに依拠しているため、サードパーティ・クッキーが廃止されても活用できます。また、すべてのコンバージョンを特定のSKUとユーザーに結びつけることができるため、メディア費用のROASを正しく理解し、広告投資の効果を評価し、それに応じて費用を再配分することができます。

ブランド広告主、代理店、小売業者、そしてパブリッシャーが、コマースメディアをどのように戦略の重要な要素として組み込んでいるのか、Criteo 独自の調査結果をまとめた「The Great Defrag/ザ・グレート・デフラグ:2024年、コマースメディアが断片化する広告を一つに」レポートの全文をダウンロードしてご確認ください。

Michelle Pruett

Criteoのコンテンツ担当グローバルヘッドであるMichelleは、優秀なマーケターで構成されるハイパフォーマンスなチームを率いています。 彼女の執筆した記事は、Entrepreneur、Business ...

コンテンツ部門長