新型コロナウイルス感染拡大の影響で、いつもとは全く違う夏を迎えています。本来なら今頃は夏の旅行やおでかけの予定が楽しみな季節ですが、今年は旅行やレジャーに関しても自粛傾向が継続。政府が鳴り物入りで打ち出した「GO TO」キャンペーンも二転三転した結果、東京都民を対象から除外したことなどから、期待されていたほどの経済効果は見込まれない様相を呈しています。
そんな中、感染リスクが比較的低く、しかも近場で楽しめるレジャーとして注目を集めているのがキャンプです。特に気軽に楽しめるオートキャンプは年々人気が高まっており、一般社団法人日本オートキャンプ協会の発表によると、現在、国内のオートキャンプ人口は約850万人と7年連続の増加を記録しています。
当然、外出自粛要請期間前後の利用者数は落ち込んでいたものの、多くのオートキャンプ対応のキャンプ場では、新型コロナウイルス感染予防のために検温や消毒の徹底、3密を避けるための利用組数の制限など様々な対策を講じており、子どもたちの夏休みが始まる7月下旬からは、利用客の回復が見込まれています。
もう1つのトレンド「家キャンプ」に注目
一方、外でのキャンプに抵抗を覚える人たちの間で、密かな人気となっているのが「家キャンプ」です。家キャンプとは、外に出かけずに、家の庭やベランダでキャンプ用アイテムを使って食事をしたり、テントを張って天体観測を楽しむもの。最近では家キャンプを意識した食事の宅配サービスや家キャンプ用アイテムのレンタルサービスなども登場して、思わぬ需要を生み出しています。キャンプ用品大手のスノーピークでは2020年5月、キャンパーに人気のチタン製マグカップが前年同月比で25%、ローチェアが同22%、小型のダッチオーブンは同34%増を記録するなど、キャンプ場だけでなく家でも日常使いできるアイテムの販売が好調です。
一部ではベランダにキャンプ用のローチェアとテーブルを置いて休憩スペースを設け、在宅ワークの合間の息抜き用のスペースとして活用する「ベランピング」(※グランピングをもじった造語)を楽しむ人たちも増えています。
今後もしばらくの間は感染拡大の懸念が続く中にあって、レジャー先として人が密集する観光地やテーマパークを避ける傾向は続き、その反動もあってキャンプに代表されるアウトドアレジャーに興味を持つ人は今後、ますます増えるものと考えられます。
本格的なキャンプでなくても手軽にキャンプ気分を楽しめるアイテムや旅行プランの提案が、この夏、コロナ禍で低迷するレジャー・旅行産業にとって強力な救世主となるかもしれません。