機械学習をクールに使いこなす3ブランド

更新日 2021年01月13日

ますます競争が激化する昨今の小売業界では、情報検索の関連性をいかに高めるかが最重要課題です。この課題の解決策として、近年各ブランドが注目するのが機械学習です。機械学習テクノロジーを活用すれば、膨大なデータセットから流行や消費者の好みを把握できるだけでなく、今後、消費者とどのようにコミュニケーションを図るのが最も効果的かについても、予測することができます。

そこで今回は、機械学習を効果的に活用して買い物客とのつながりを深めることに成功している3つのブランドをご紹介します。これらの3ブランドは、ビッグデータをどのように利用して、あらゆるチャネルでのショッピング体験をパーソナライズしているのでしょうか?

1. Under Armour

アパレルブランドのUnder Armour(アンダーアーマー)は、自社のフィットネスアプリである「Record」に、機械学習を導入しています。このアプリは、さまざまな情報源(サードパーティのアプリ、スマートウォッチ、ユーザーが直接入力したデータなど)から得たデータをもとにユーザーの健康状態を記録し、食事や運動についてパーソナライズされたアドバイスを提供します。

写真提供:Under Armour

Business Insiderによると、このアプリは「健康や運動に関するプロフィールが似ている人のデータ、さらには栄養のデータベース、生理学、行動データにもとづいてアドバイスを作成」できるほか、歩数、栄養、睡眠パターンに加え、心拍数、ペース、距離、消費カロリーといった運動データを把握することも可能です。

まさにユーザーのモバイル型パーソナルトレーナーとして機能するこのアプリですが、使い方は簡単。カスタマイズもしやすく、数回タップするだけで使うことができます。さらに、このアプリは使えば使うほどユーザーを深く理解するようになり、ユーザーの目標達成のためにより的確なアドバイスをしてくれるようになります。

2. Mazda

自動車メーカーのマツダは、米国テキサス州オースティンで開催されるSXSW(サウスバイサウスウエスト)のイベントで、同社の新型車「CX-5」のプロモーションを行うにあたって、インフルエンサーとしてふさわしい人物を機械学習で探すことにしました。

マツダは、Infulential社と提携し、同社のIBM’sWatson AI technologyを活用して、アートの分野で影響力のある人物(つまり、SXSWファン層へのPRに適した人物)をSNS上で見つけることにしました。

写真提供:Mazda

機械学習テクノロジーを駆使してSNS上の投稿をスキャンし、感嘆符や絵文字などを手がかりに適切な人物を探したのです。

最も影響力がある人物として選ばれた4人が、イベント開催時に同社のCX-5に乗ってオースティン市内を回り、さらにMazda Studioを訪れ、その様子をツイッター、インスタグラム、Facebookに投稿、話題を呼びました。

こうしたデータ中心のインフルエンサーマーケティングのアプローチによって、マツダは特定のオーディエンス層に的を絞ったコンテンツのパーソナライズに成功しました。SXSWが世界最大級の音楽、映画、テクノロジーのイノベーションの祭典であることを踏まえ、一般的なオーディエンスよりもクリエイティブな人々に照準を合わせたパーソナライズを実践したのです。

(追加情報:「テクノロジーレス」の世界で生き残れるか?Criteoのインタラクティブクイズ(英語)で試してみましょう

3. The North Face

The North Face(ザ・ノース・フェイス)では、オンラインショッパー向けのデジタルパーソナルアシスタントである「Fluid Expert Personal Shopper(XPS)」を活用して、おすすめ商品の紹介やユーザーの興味・関心に基づいたプロフィール作成、パーソナライズされたユーザーエクスペリエンスなどを提供しています。

XPSを使うことによって、同社は多くの顧客から「親切で好印象」と高く評価されている実店舗での接客をオンラインショッピングでも顧客に提供するとともに、機械学習を克央してウェブサイト上でのやり取りや商品開発に役立つデータも同時に収集しています。

写真提供:The North Face

またThe North Faceは、ウェブサイトのユーザーに「Shop with IBM Watson」という高度にパーソナライズされたショッピング体験も提供しています。

これは買物客が同社のモバイルアプリをダウンロードし、スマートフォンに話しかけて利用するアプリです。実店舗で販売員が自分のニーズに合わせて最適な商品を選んでくれるのと同じように、バーチャルアシスタントがユーザーに質問を投げかけ、その回答を参考に、ユーザーの好みに合った商品を提案してくれるのです。

機械学習のROI

機械学習がEコマースのマーケターを支援するパワフルなツールと言える理由の1つは、その優れた予測能力です。機械学習を使えば、ブランドは過去と現在の顧客データをもとに、将来の消費行動や流行を予測することができます。

販売に関しても、機械学習モデルは商品を提案するのに最適なタイミング、例えば季節のアイテムが売れる可能性が最も高い時期などを予測してくれます。さらにオペレーションに関しても機械学習モデルは非常に有益で、例えばブラックフライデーやサイバーマンデーなど、1年で最も売上が多い時期にどれくらいの在庫を用意しておけば良いのかについてを事前に把握することも可能です。

機械学習モデルを活用すれば、無駄な広告出費や売れ残りを抑えることができ、同時に顧客のニーズを予測してマーケティング活動を最適化することもできます。つまり、機械学習はブランドの収益や利益率向上に貢献してくれる素晴らしい技術なのです。

機械学習が小売業界にもたらすメリットについてさらに詳しく知りたい方は、CriteoのEブックをダウンロードしてご利用ください。