新たな消費の主役・Z世代の心をつかむ「ダイバーシティ」と「インクルージョン」

更新日 2021年01月13日

新たな主役Z世代。ミレニアル世代との違いは?

まさに今、消費の主役が交代しつつあります。これまで消費の主役といえば、1980~1990年代初めくらいの間に生まれたミレニアル世代の人々でした。高いデジタルスキルをもつ彼らは、その政治観やキャリアの選択、さらには商品選びから購入に至る方法まで、それ以前の世代とは大きく異なっていたため、マーケターの多くがこの若い世代に注目、リーチしようと奔走していたものです。

しかし、すでに消費の主役の座は、ミレニアル世代に続く新たな世代・Z世代に取って代わられようとしています。Z世代は、現在10代半ば~20代半ばの若者たちの世代。彼らは今、世界で最も影響力のある購買層として、大きな注目を集めています。

ミレニアル世代は、2000年代に登場した検索エンジンやモバイル、インスタントメッセージの台頭を目の当たりにしてきた「デジタルパイオニア」とも言える存在です。一方、Z世代は、生粋のデジタルネイティブ世代です。彼らは、高速インターネット、スマートフォン、ゲーム機器、そしてSNSの存在が当たり前のように存在する世界に生まれ、それらに大きな影響を受けながら育ったのです。その結果、彼らは従来のどの世代とも違う、価値観や特徴をもつ購買層へと成長しました。では、マーケターがこうしたZ世代についての理解を深めるためには、何から始めればよいのでしょうか?その答えを探るために、ここではZ世代の生活や考え方の軸となっている4つの価値観をご紹介します。

Z世代の4つの価値観

1.ダイバーシティとインクルージョンを重視する

Z世代は最も多様性に富み、また多文化的な背景を持った世代です。メディア企業「Awesomeness」と、調査会社「Trendara」が行った調査では、Z世代は自らの世代を示す最も的確な表現として、「流動的なアイデンティティを持つグローバル市民」「既存のルールにとらわれない人々」といった言葉を挙げています。また、自分たちの世代に最も影響を与えるものは、SNS、テクノロジー、そして「ネットいじめ」であると考えていることもわかりました。

SNS普及の影響もあり、Z世代はミレニアル世代に比べて社会問題について仲間と意見交換する傾向が強いと指摘されています。実際、Criteoが2018年に発表したZ世代についての調査レポートでは、Z世代の半数以上がSnapchatやInstagram、FacebookといったSNSを1日に複数回利用しており、動画コンテンツに至っては週に23時間も利用していることが明らかに。つまり、Z世代はコネクティビティを最大限に活かしつつ、常に新しい情報を吸収しているということです。

さらに同調査によると、Z世代の3分の1が、「自分たちは人間の平等を最も強く信じている世代である」と回答しています。Z世代の半数以上は、黒人の権利を主張する国際的な社会運動である「ブラック・ライヴズ・マター」運動(80%)、トランスジェンダーの権利(74%)、フェミニズム(63%)といった活動について、現代社会が受け入れるべきものだと主張しているのです。

2.複数のチャネルからのアクセスビリティを重視する

SNSへの投稿やツイートを通じて自己表現することが、すでに習慣となっているZ世代は、日々の出来事を複数のオンラインプラットフォーム上(InstagramやFacebook)で共有しています。それはつまり、Z世代はお気に入りのブランドとつながる場所として、実店舗だけでなくスマートフォン、SNSといった媒体を活用しているということです。したがって、デジタル化とSNS、さらにはリアルなオフラインでの体験も提供しながら顧客と双方向のコミュニケーションを確立できるブランドは、より多くのZ世代とエンゲージできるようになります。

たとえば、ここ数年で急成長を遂げた化粧品ブランドのGlossierは、SNS上で熱狂的なブランドアドボケイトを持っていますが、数百万ドルに上る収益の90%は主に口コミ、つまり複数のチャネルでファンの声に耳を傾けながら彼らの要望に対応した結果生み出されたものです。

3.完璧を求めない

ミレニアル世代は、将来に対する楽観的な考え方をする人が多いことが特徴でした。一方、Z世代はより現実的な視点を持っています。たとえば、彼らは真っ白な木製のフェンスに囲まれた家に住み、子どもが2~3人いて、マイカーを所有し、安定した職業に就くといった典型的な「アメリカンドリーム」に興味を示すことはほとんどありません。彼らが関心を抱いているのは「完璧な生活」ではなく、「リアルな生活」を映し出した商品やメッセージです。

したがって、完璧で、幸福で、悩みのない生活といったイメージの広告やプロモーションは「リアル」ではないため、彼らの共感を得ることはできないでしょう。これまでの世代と違い、Z世代が従来の「美」に対する考え方に反応せず、「簡単で手間がかからない」といったイメージを嫌うのも、このためです。

近年、「完璧ではない世界の中で、問題意識を持って生活すること」をミッションとして掲げる「ミッションドリブン」なスタートアップが台頭しています。たとえば、化粧品企業のRimmelでは#LivetheLondonLookキャンペーンをスタート。このキャンペーンでは4人の美容系トップインフルエンサーを起用し、個性を称えるショートフィルムを作成して、「Bebold, be you.(大胆に、そして自分らしく)」というメッセージを発信。「誰もが目指すべきスタイル」など存在しないこと、そしてユニークであることを恐れるべきではないと主張し、見事にZ世代の心をつかみました。

4.「自分独自のスタイル」を発信したい

独立心が強く、唯一無二のスタイルを重視するZ世代は、服やアクセサリーなどを斬新かつ自分らしい方法で使うことに長けています。しかも、それを実際に着こなして他人に見せることをためらいません。ミレニアル世代は職場における「ビジネスカジュアル」の定義を塗り替えましたが、Z世代はファッション業界に次なる進化をもたらしています。

Criteoの「Z世代についての調査レポート」によると、 Z世代は周りと同じように見られることを嫌い、その49%がウェブサイト上にあるユニークな商品を重視していることがわかっています。つまり、ブランドはZ世代が個性的な商品を求めていることを理解した上でマーケティングを行う必要があるということです。Z世代が独自の方法でさまざまな要素や物事を融合し、それらのプロセスや結果を楽しめるようにサポートすることによって、彼らが重視する「個性の尊重」という価値観により近づくことができるでしょう。

カギは「個性」と「インクルージョン」

さらに、Z世代を対象にマーケティングを行うにあたって、忘れてはならない大原則が2つあります。それは、「個性」と「インクルージョン」です。つまり人と違っていることが「クール」であり、完璧なものなど存在しないということを前提に、お互いの違いを受け入れようという考え方こそが、「デジタルネイティブ」として完成された最初の世代、つまりZ世代の価値観です。

Z世代はこの価値観をSNS上で公言し、自身の購買活動にも反映させています。Z世代の心をつかむには、ブランドの商品や製造過程のほか、マーケティングキャンペーンを通じて、彼らの信念を尊重・支持する姿勢を示すことが重要となります。

Z世代についてさらに詳しく知りたい方は、Criteoによる「Z世代についての調査レポート」をダウンロードしてお読みください。