旅行業界のロイヤルティプログラムで知っておきたい5つのポイント

更新日 2019年08月29日

旅行業界で、顧客をロイヤルカスタマーにするにはどうすればよいのでしょうか?そもそも、旅行業界のロイヤルティプログラムは、本当にロイヤルティの向上に効果があるのでしょうか?今回、Criteoは消費者が特定の旅行業者のリピーターとなる要因(また離反する要因)を探るために、世界中の4,000人以上の旅行者を対象に旅行業界とロイヤルティプログラムに関する調査「Global Travel & Loyalty Programs」を実施しました。本ブログではその調査結果のサマリーをご紹介します。

ポイント1.旅行関連のロイヤルティプログラムは(おそらく)機能している。

調査の結果、ロイヤルティプログラムについての満足度は全体的にかなり高いことがわかりました。82%がロイヤルティプログラムを満喫しており、81%がプログラムの特典を高く評価しています。4人中3人(76%)は、獲得できるマイレージやホテルのポイントについてよく理解しており、72%は割引だけでなく、その他の特典も享受しています(実際には73%が無料の航空チケットや宿泊目当てで登録したにもかかわらず)。

このように、ロイヤルティプログラムにはそれなりの効果があると思われますが(79%が、特典を得るために特定の航空会社やホテルブランドを選ぶと回答)、一方で問題も残っています。たとえば4人中1人以上(27%)が、「ロイヤルティプログラムに登録していることをよく忘れる」、また28%が「頻繁に送られてくるEメールのせいでオプトアウトする」と回答しています。

ポイント2.若い旅行者は(今のところ)ロイヤルティについては無関心。

15~24歳の回答者のうち、「ロイヤルティプログラム(航空会社/ホテル/鉄道)に登録している」と答えたのは、わずか25%でしたが、65歳以上では43%に上りました。そして、半数はロイヤルティプログラムに登録したことを忘れており、そのメリットを享受できていません。

ミレニアル世代やz世代を満足させるには、従来のロイヤルティプログラムでは不十分であり、彼らをはじめ、その他の多くの消費者のロイヤルティの向上には価格以上の要素が必要であることが、今回の調査で明らかになりました。

ポイント3.Z世代とミレニアル世代には、極めて大きなチャンスが潜在している。

回答者のうち15~34歳の世代は、旅行の予算をもっと増やしたいと考えています。つまり、たとえ彼らのほとんどがロイヤルティプログラムに加入していないとしても(あるいは加入していることを忘れているとしても)、彼らが旅行業界の成長のカギを握っていることは間違いないということです。

travel loyalty trends回答者の割合: 2019年の旅行への支出を「増やしたい」(グリーン)、「同じくらい」(グレー)、「減らしたい」(ピンク

旅行関連のサービスで売上をあげるために、旅行業者は割引以外の方法にも目を向け、価格以外の要素で彼らの心をつかむ方法を模索する必要があります。若い世代を対象に食事やチケットを割引すれば、一時的には売上増加が期待できるかもしれません。しかし、長期的にロイヤルティを醸成するには、より繊細なおもてなしが必要です。

ポイント4.旅行に関するロイヤルティは地域によって異なる。

「ロイヤルティプログラム」や「ブランドロイヤルティ」の捉え方は、地域によってさまざまです。旅行ロイヤルティプログラムの市場浸透度は、以下の通り、地域によって大きく異なります。

  • 米国ではロイヤルティプログラムが好まれる。
    • 米国では、回答者の46%が少なくとも1つのロイヤルティプログラムに登録しています。英国ではこの割合が23%に減少します。さらに、年収2万ドル未満の米国の回答者の24%が、旅行関連のロイヤルティプログラムに加入しています。一方、英国では同じ属性の回答者の加入率は13%にとどまります。
  • アジア太平洋地域では若い世代に浸透。
    • アジア太平洋地域の場合、ロイヤルティプログラムは若い世代に広く浸透しているようです。15~34歳の回答者の84%が、ロイヤルティプログラムを気に入っていると回答しています。一方、65歳以上の世代ではその割合は79%でした。
  • ヨーロッパでは年配層に浸透。
    • 英国では、若い世代の加入率はそれほど高くありませんが(15~34歳の回答者の16%)、50~64歳の回答者には広く受け入れられています(89%が加入)。

ポイント5.「ユーザフレンドリー」がロイヤルティ向上のカギ。

今回の調査の結果、ロイヤルティプログラム成功の秘訣は価格面でのメリットではなく、使いやすさや親しみやすさにあることが明らかになりました。

航空チケットやホテル、列車を直接予約する場合、回答者が最も重視する項目として挙げたのは、「ユーザフレンドリーであること(使いやすいこと)」と、「予約の方法に慣れ親しんでいること」でした。また、航空チケットの予約では、特定の航空会社のロイヤルティプログラムのメンバーであることが、購入時の検討材料として挙げられています(35%が同意)。しかし、ホテル(26%)、オンライン旅行代理店(17%)、鉄道(14%)の予約では、そこまで重視されていないようです。

2019年、最も重視すべきは「関連性」

これからの旅行業界では、従来のポイント制のロイヤルプログラム以上のものが求められるようになるでしょう。顧客(特にZ世代とミレニアル世代)との関係を強化して、より多くの予約を獲得するには、広告やEメールによるコミュニケーションをはじめ、シームレスかつ記憶に残りやすく、関連性に極めて優れた体験の創出・提供を優先する必要があります。

*出典:Criteo Travel Study、2019年5~6月、回答者数:4,117