もう何年も前のことですが、コンテクスチュアル(文脈)ターゲティングと行動ターゲティングのどちらに優先的に投資すべきかについて、活発な議論がなされた時期がありました。コンテクスチュアル・ターゲティングなんてもう古い。パーソナライズが可能な行動ターゲティングを選ぶべきだ」と言う人もいれば、「どちらかではなく、相互補完的に両方を活用すべきだ」と主張する人もいました。それから10年以上が経過しましたが、この議論は今なお続いています。実際のところ、マーケティングに関する他の問題と同様に、この問いに対する答えは「時と場合」によって変わってくるものです。その答えを探るために、改めてこの2つのターゲティング手法を詳しく見ていきましょう。
コンテクスチュアル・ターゲティング
コンテクスチュアル・ターゲティングで提示されるディスプレイ広告は、配信先のWebサイトのコンテンツに合わせて選択されます。たとえば、レシピサイトでは食器の広告、ランニングに関するフォーラムサイトではランニングシューズの広告を表示します。つまり、この手法は特定の分野の雑誌に特定の商品の広告を掲載するのと同じ原理を利用した、そのデジタル版と言うことができます。
さらに、カテゴリー別コンテクスチュアル・ターゲティングという手法もあり、ここでは事前に指定したカテゴリーに合わせて広告が配信されます。また、キーワードを利用するコンテクスチュアル・ターゲティングの手法では、ページに含まれる特定のキーワードに合わせて広告が選択されます。そして、コンテクスチュアル・ターゲティングの中でも最も高度な手法であるコンテンツ連動型ターゲティングは、ページのキーワードを識別すると同時に、機械学習によって各ページのコンテンツの文意を解析した上で表示する広告を選択することができます。
その仕組みは、以下の通りです。
- クローラーがページを巡回し、文脈・文意にもとづいて各ページをカテゴライズ
- ユーザがページを開くと、ページのコンテンツ情報が広告サーバーに送られ、ページ内のキーワードや内容に合った関連性の高い広告を配信
システムがページの文脈に関する理解を深めるほど、広告の精度も向上していきます。以下がその一例です。メイクに関する記事の横にスキンケア商品のコンテクスチュアル・ターゲティング広告が表示されています。
行動ターゲティング
行動ターゲティング(別名オーディエンスターゲティング)は、訪問したページ、検索履歴、クリックしたリンク、購入履歴など、Webサイトの閲覧行動をもとに顧客をセグメント化する手法です。これにモバイルや実店舗のデータも加えると、位置情報や店舗内での購入履歴などもセグメントの基準に含めることができます。似たような行動をとるユーザは定義済みのオーディエンスセグメントとしてグループ化されるため、広告主はオーディエンスの閲覧・購入履歴をもとに、関連性の高い特定の広告やコンテンツを用いてターゲティングを行えるようになります。
(参考記事:リターゲティング201)
行動ターゲティングでは、買い物客の行動・購入意図を組み合わせることで、買い物客が購入に踏み切る可能性が最も高くなるタイミングを見計らい、高度にパーソナライズされた関連性の高い広告を配信します。その典型とも言えるのが、リターゲティング広告です。
結局、どちらを使えばいいのでしょうか?
結論から言うと、答えは「両方使ってみましょう」です。どちらの手法も自社のデジタルマーケティングミックスの中で一度は試してみることをお勧めします。 AIやビッグデータをはじめ、マーケティングをとりまく環境が急速に進化し続ける現在、広告主の選択肢もかつてないほど増え続けています。コンテクスチュアル・ターゲティングと行動ターゲティングを併用すれば、マーケターは買い物客のショッピングジャーニーの各段階で、さまざまな手法を用いた包括的なアプローチができるようになるはずです。
ターゲティングやリターゲティングについてさらに詳しく知りたい方は、CriteoがShopify Plusと共同で提供しているウェビナーも、ぜひご覧ください:「Targeting and Retargeting: Advertising Strategies to Grow Your Ecommerce Business(ターゲティングとリターゲティング:Eコマースビジネスを成長させるための広告戦略)」