コロナの影響?加速するリモートワークと地方移住

更新日 2020年12月21日

地方移住サイトの閲覧件数が急増

新型コロナウイルスの影響で、これまでの暮らし方や働き方を見直したという人も多いのではないでしょうか。特に在宅ワークが増えた人は、これまでオフィスに通うために費やしていた時間や体力をより有意義な目的に使えることに気づいた人や、毎日オフィスに行かなくても仕事ができることを認識したという人、通勤がない分仕事の効率や生産性が上がったという人も多いのではないでしょうか。

また、混み合う通勤電車内や都市生活では避けづらい人混みに不安を覚えた人も少なくないでしょう。

こういった意識の変化を背景に、地方への移住を検討する人が増えています。たとえば、首都圏にも近い群馬県への移住を呼びかけるウェブサイト「ぐんまな日々。」では、新型コロナウイルスの感染拡大を機に閲覧数が増加、2020年5月と6月は閲覧数が前年比で4割増を記録しました。閲覧者を年齢別に見たデータでは、25歳~34歳と35歳~44歳がそれぞれ31%、45歳~54歳が13%と、現役世代が閲覧者の大部分を占めていることも明らかに。働きながら地方への移住を検討している人が増えつつあることが浮き彫りになりました。

4割の企業がオフィス契約の見直しを検討

こういった意識の変化は、従業員サイドだけでなく雇用者サイドにも表れ始めています。毎日社員が通勤してくることを前提に借りていた広いオフィスを見直し、リモートワークを前提としたオフィスへ縮小する企業が相次いでいます。株式会社スペースマーケットが企業のオフィス担当者約200名を対象に行った調査によると、全体の約4割が、オフィスの契約見直し(解約・縮小・増床・賃料交渉)の検討をおこない、約7割は会社・自宅以外のワークプレイス(社外の会議室・レンタルスペース・サテライトオフィスの導入など)を検討していることがわかりました。リモートワークの推進とオフィスの縮小は固定費の大幅な抑制に繋がることから、企業側にとっても大きなメリットがあるだけでなく、通勤による感染のリスクから社員の健康を守ることにも繋がります。この流れは世界的に起きており、Facebookも今後5年から10年をかけて社員の約半数をリモートワークとし、人口密度の低いシリコンバレー郊外に本社を移転する計画を発表しています。

また、本人の役割と責任が明確な専門職中心の採用を行うことによって、リモートワーク中心でも支障なく業務が遂行できる体制へと雇用計画を見直す企業も出てきており、新型コロナウイルスがもたらした「ニューノーマル」は私たちの働き方を根本から変えていきつつあります。

このように企業にとっても従業員にとってもメリットのあるリモートワークですが、一方では懸念の声も聞かれます。毎日のようにオフィスで長時間働くことによって培われる連帯感や、実際に顔を合わせるからこそ育まれるコミュニケーション力、会社への忠誠心などが、リモートワークでは醸成されにくいと言わざるを得ません。また、セキュリティの面でも、自宅やカフェのPC環境では企業情報が外部に漏れてしまうリスクも指摘されています。

さらに、オフィス勤務では当たり前だった福利厚生サービス(社員食堂での食事や軽食の提供など)も、原則としてリモートワークでは利用できません。その穴埋めとして、社員にどのような福利厚生サービスをどのような形で提供すべきかといった課題に直面する企業も少なくありません。

新型コロナウイルス感染拡大の終息の見通しが立たない中、企業にとっても従業員にとっても、リモートワークはオフィスに行けない期間だけの短期的な「代替案」では済まされないほど、大きな意義を持つようになっています。企業側にはリモートワークでも社員の士気や決断力を培うコミュニケーションツールの整備、情報セキュリティ、福利厚生サービス等の早急な整備が、社員には自宅でも効率的に生産性を向上できる環境づくりとモチベーションを維持するための自助努力が、今後ますます強く求められるようになるでしょう。

なお、Criteoでも新型コロナウイルス感染症から社員の健康を守るため、2020年末まで全社員について原則リモートワークでの就業としています。Criteoがお客様へのサービスの質を落とすことなく、いかにしてこの新たな就業体制を維持しているのか、次回のブログではその秘訣をご紹介しましょう。