「3畳物件」が大人気!?ミレニアル&Z世代の住宅選びとは?

社会意識が高く、物への執着が薄い若者たち

近年、ますます存在感を増しつつあるミレニアル世代とZ世代。若い彼らの生み出すトレンドや経済活動が、社会に大きな影響を与えています。ご存じのとおり、ミレニアル世代とは、1981年~1996年生まれ、Z世代は1997年から2001年ごろに生まれた若者たちのこと。Z世代は物心ついたころには、すでにインターネットが普及し、スマホやPC、タブレットが当たり前の時代に育ったデジタルネイティブでもあります。同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、アラブの春、コロナ禍・・・と立て続けに社会を揺るがすような大きな変化とともに成長してきた彼らは、ある意味で、社会課題と向き合わざるを得ない時代に生まれた世代でもあり、差別や人権問題、環境問題といった社会課題に敏感で社会意識が高いのが特徴です。消費活動においても、社会課題の解決につながらない商品は買わない、自分が共感できないコンセプトのブランドの商品は買わないというタイプが多く、ベビーブーマーやジェネレーションXと違って、ブランド物や車、華美な暮らしへの関心は高くありません。欲しいものや使ってみたいものは、「所有する」のではなくシェアリングやサブスクリプションで必要なときだけ「利用する」という志向が強く、持ち物が少ないシンプルな生活を好む傾向があると言われています。

若者たちが狭い家を好む理由とは?

その傾向を顕著に表しているのが、「極狭物件」の人気です。一昔前なら経済的に厳しい苦学生が住むイメージだったワンルームの極狭物件(3畳~4畳半)の人気が若者の間で急上昇。中には、空室が出るとすぐに埋まってしまうほどの人気を博している物件もあります。

実際に極狭物件に住んでいる人の声を聴いてみると・・・、

  • 物が少ないので狭い部屋で十分
  • 洋服はそのシーズン着る分だけメルカリで調達し、使い終わったら捨てる又は売るので収納が不要
  • 外食やテイクアウトがメインで調理はしないのでキッチンは最低限でOK
  • 会社やシェアオフィスで仕事をし、家には寝に帰るだけなので広い部屋は不要
  • 広いと家事が大変
  • 狭いので冷暖房の効率が良い
  • 狭い方が安く借りられて合理的
  • スマホやパソコンがあるので、テレビや固定電話もいらない。ベッドがあればいい
  • 友達とは外のカフェなどで会えるので、あえて家に呼ぶ必要がない

などなど、一昔前の世代では考えられない回答が続々と。極狭物件人気の背景には、持ち物が少ない=収納が不要=狭い家でのシンプルライフで十分という考え方の若者が増えていることがあるようです。そして、狭い部屋に住むことによって、「モノを増やしたくない」という意識が高まり、慎重に厳選して、本当に欲しいもの・必要なものしか買わない・・・という循環が出来上がっているのかもしれません。

また、人と会うならカフェで、集中して仕事がしたいならシェアオフィスで、洗濯機を買うぐらいならコインランドリーで、夏になったら冬服は収納せずにメルカリで売ってしまえばいい、自炊しなくてもコンビニやデパ地下で美味しいごはんが手に入る・・・という具合に、かつては自宅でしかできなかったことができる場所やサービスが外に充実してきたことも、若者たちが「広い家に住む必要性」を感じなくなっている一因と言えるでしょう。

もちろん若い世代のすべてが極狭物件を好むというわけではありませんが、余計なもののないシンプルな暮らしを理想とする傾向が強いことは間違いなさそうです。

ミレニアル世代とZ世代は世界に約30億人、Z世代予備軍を含めると約38億人にも上り、今後、間違いなく「社会の主役」になっていきます。業界に関わらず、マーケティング担当者には、彼らが何を大切にしているのか、何に価値観を見出しているのかを理解した上で、マーケティングの切り口や手法を変えていくことが求められています。