企業の業種や形態が千差万別であるのと同様、マーケティングキャンペーンにもさまざまなものがあります。さらに、キャンペーンの成功を目指すマーケターのビジョンもまた十人十色です。マーケティングキャンペーンには、こうしたさまざまな要素が絡み合うので、新たにキャンペーンを立ち上げる際には、適切な主要業績評価指標(KPI)を設定することが極めて重要になります。
KPIの設定は、たとえば自社がフォーカスしていることや、キャンペーンの目的(品物を販売したいのか、見込み客を発掘したいのか、あるいはサブスクリプションの購入を促進させたいのかなど)について自問し、その答えを明確にすることから始めると良いでしょう。
そして自社のビジネスにとって最適なKPIを設定すれば、どのパフォーマンスマーケティングのKPIが最も有効かについて理解できるはずです。
測定手法
一般的に、マーケティングチャネルのパフォーマンス測定には、次の2つのKPIが使用されます。
注文1件当たりのコスト (CPS):キャンペーンコストをポストクリックセールス数で割ることによって算出されます。 CPS = キャンペーンコスト/ポストクリックセールス数
広告費用対効果(ROAS):基本的にCPSの逆、つまり利益を測定するための指標です。オンラインマーケティングキャンペーン効果の測定に利用され、広告にかけた金額に対し、得られた売上高を表します。
ROAS = 売上高/広告費
利幅と経費が固定されている小売業者の場合、商品の販売によって生み出された収益額に対するキャンペーンコストを測定することが好まれるため、CPS/ROASの利用が最も望ましいと言えます。
補助的に使うKPI
メインに使っているKPIの他にも、以下のようなKPIの追加使用を検討してもいいでしょう。これらのKPIはいずれも、マーケターがキャンペーンの効果を測るためによく使っているものです。これらのKPIの中には認知度を測定するものもあれば、パフォーマンスを測定するものもあります。
アウェアネス指標:
リーチ:キャンペーンが影響を与えているオーディエンスの割合です。
広告表示回数1,000回あたりの単価(CPM):デジタル広告で広く利用されている標準的なレポート指標および価格モデルです。たとえば、CPM2ドルで1万インプレッションを購入した場合は、20ドルになります。
クリック数:広告がクリックされた回数を表します。
クリックスルー率(CTR):表示された全インプレッションのうち、広告をクリックしたユーザの割合です。たとえば、1,000インプレッションに対してクリック数が10の場合、CTRは1%になります。
パフォーマンス指標:
コンバージョン率(CR):ユーザが「商品やサービスを購入する」、あるいは「購読を申し込む」など次の段階に移行して、購入者あるいは見込み客になった割合です。
クリックスルーコンバージョン率(CTC%):広告を閲覧し、クリックしてコンバートしたユーザの割合です。
ビュースルーコンバージョン率(VTC%):広告を閲覧してクリックをしなかったものの、後にサイトを再訪してコンバートしたユーザの割合です。
効率性 VS 規模
これらのKPIを単独で測定することは賢明とは言えません。デジタルマーケターが最もフォーカスしなければならないのはコスト管理ですが、予算が少なすぎるとキャンペーンの成果が上がらないかもしれません。
私たちはこれを「効率性 VS 規模」のバランスと呼んでいます。
規模と効率性のバランスがとれたキャンペーンこそ、最高のキャンペーンです。マーケターは、運用コスト、利幅、出荷コストなど、さまざまな要素を検討し、現実的なROIの目標を設定するべきです。現実的なROI目標が設定できれば、適切なタイミングで適切な広告を提示し、可能な限り多くの価値あるユーザに自社の商品やサービスをアピールすることができるはずです。
アトリビューションの設定
リターゲティングキャンペーンでは、クリックスルーアトリビューション分析を行うことによって、最終的な販売に対する広告の効果を明確に把握することができます。次に課題となるのは、設定したこれらのゴールに向けての進捗状況を把握することです。そもそも、設定した目標の達成に貢献しているのは、どのマーケティングアクティビティなのでしょうか?
ビュースルーアトリビューションでは、時折、関連する広告キャンペーン中に、宣伝した商品の売上が増えることがあります。しかし、単なる広告の閲覧は、購入時の「クリック」ほど強い購入意欲を表わすものではありません。
確かに、買い物客のショッピングジャーニーの中のインプレッションは重要な役割を持っていますが、インプレッションを重視しすぎると、インプレッションがコンバージョンに与える影響を過大評価してしまいます。
そこでCriteoでは、ポストクリック指標を対象に最適化を行っています。なぜなら私たちは、広告が買い物客に与えた影響を明確に示すのは「クリック」だと考えているからです。私たちは30日間のポストクリックアトリビューション分析をデフォルトで使用しており、買い物客がバナーをクリックしてから30日以内に発生した販売をカウントしています。
プレッツェル型のショッピングジャーニー
買い物客がたどるショッピングジャーニーの道筋は、プレッツェルのように複雑です。彼らはソーシャルメディア、モバイルアプリ、動画、実店舗など様々なチャネルを横断し、曲がりくねった道を遠回りしながら商品やブランドを閲覧しています。
しかも、今の時代、氾濫する「デジタルノイズ」を完全に排除することも困難です。だからこそ、マーケティングキャンペーンにはパーソナライゼーションが不可欠なのです。
リターゲティングキャンペーンを最適化すると同時に、あらゆるチャネルを横断して広告を配信し、包括的なアトリビューションモデルを構築すれば、買い物客一人ひとりに合わせてパーソナライズしたオムニチャネル体験を提供することができるでしょう。