新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための外出自粛が続く中、今年も母の日(5月第2日曜日、今年は5月10日)が近づいてきました。日頃の感謝の気持ちを伝えるために、例年なら、プレゼントを持ってお母さんに会いに行ったり、一緒に食事にでかけたり・・・という方が多いはずですが、今年はそれも自粛せざるを得ない状況です。いつもは母の日のプレゼント用の品々を集めたキャンペーンを展開するデパートも休業中、フラワーショップでもいわゆる「3密」を防ぐために、入店人数を制限する動きが出ています。こんな中、皆さんはどうやって母の日を祝おうとしているのでしょうか?コロナ禍ならではの母の日のトレンドを探ってみました。
母の日当日にこだわらない人が4割!
まずは、母の日のギフトを贈るタイミングについて。全国に生花店を展開する第一園芸株式会社が2020年4月に行った調査によると、「母の日にギフトを贈る」と回答した人のうち、「母の日当日」と答えた人は全体の61%。「母の日前に会えるタイミングで」が27%、「コロナウイルスの影響が落ち着いてから」が9%、「その他」が3%。コロナウイルスの感染の危険がある中、母の日当日にこだわって無理に会いに行ったり郵送したりせず、「お互いに無理のない時期に贈ろう」と柔軟に考えている人が約4割いることがわかりました。
こういった消費者心理の変化を受け、花の生産者や小売団体などでつくる「日本花き振興協議会」では、2020年5月を「母の月」にして感謝の花を贈ろうというキャンペーンを展開しています。母の日のプレゼントのために花を買う日を母の日当日に集中させず1ヶ月間に分散させることによって、店舗の混雑を防ぎ、配送・物流業界の負担を軽減させようというのが狙いです。「うっかり、プレゼントを忘れていた!」という人も、1ヶ月間余裕があると安心ですよね。
「母の月」キャンペーンのロゴ(提供:日本花き振興協議会)
プレゼントのトレンドは「癒やし・ストレス解消」
母の日のプレゼントの定番といえば、カーネーションをはじめとするフラーワギフトですが、今年もその人気が健在。同じく第一園芸が行った調査で「母の日に贈りたいもの」を聞いたところ、1位が「「花とのギフトセット」39%、「スイーツ」36%、「花」34%と、花に関するギフトが上位にランクインしています。外出自粛が余儀なくされる中、自宅でも季節や安らぎを感じられる花に、例年以上に人気が高まっているのかもしれません。
出典:第一園芸株式会社ニュースリリース
実際、「今年はどんなものを贈りたいか」という質問では、「癒やし・ストレス解消になるもの」と回答した人が68%と最も多く、次いで「家の中で季節を感じられるもの」が29%に。自宅で過ごすお母さんを思い描きながらギフトを選んでいる人が多いことがわかります。
また、「コロナウイルスの影響を受けた生産者・メーカーのもの」を買うと答えた人も9%に。コロナ不況にあえぐ生産者への支援につながるギフトを選ぶ人も多いようです。
出典:第一園芸株式会社ニュースリリース
購入はオンライン派が過半数に
外出自粛の影響で、母の日のギフトを購入する「場所」にも変化が表れています。第一園芸の調査では、「母の日の花を購入する場所」として「インターネット通販」と回答した人が全体の56%、「街の花屋」が29%を占めました。一方、「百貨店・ショッピングセンター」は6%、「スーパーマーケット」と「ホームセンター」はそれぞれ4%にとどまりました。外出しなくても買い物ができるオンラインショッピングや、公共交通機関を使わずに行ける近所のお店を利用する人が増えていることが浮き彫りに。デパートが休業に追い込まれていること、リモートワークが浸透しつつあることもあり、いつもの年なら「仕事帰りにデパートで母の日のギフトを探す」という人も、オンラインもしくは近所での買い物に切り替えざるをえなかったものと思われます。
大切にしたいのは「ギフトを通じたコミュニケーション」
このほか興味深かったのは、「母の日当日はどう過ごすか?」という問に、約半数の人が「例年なら会いに行くが、今年は会えそうもないので、あえてギフトを贈る」と回答していたこと。今年の母の日ギフトは、単に感謝の気持ちを伝えるためだけでなく、親子の繋がりを確認するコミュニケーションのツールとしての役割を担っているようです。外出自粛以降、通信機器など、家にいながらにして外部の人と「繋がる」ためのツールの販売が好調ですが、離れて暮らす家族や友人にちょっとしたギフトをオンラインで購入して贈る人も増えているのかもしれません。
例年1,000億円超ともいわれる母の日のギフト市場。経済活動の縮小が続く中にあっても、消費者のニーズに迅速かつ適切に応える「顧客中心主義」を貫く企業やブランドは高い支持を集めています。母の日だけでなく、今後も続く外出自粛期間に、どんな企業やブランドが支持を集めるのか、要注目です。
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