ミレニアル世代 vs Z世代:押さえておくべき4つの違いと特徴

更新日 2021年01月13日

かつては、あらゆる分野で注目を集める花形的存在だったミレニアル世代。彼らは高いデジタルスキルを有していて、その政治観をはじめ、キャリアの選択、さらには商品選びから購入に至る方法まですべてが目新しかったので、多くのマーケターがこの若い世代にリーチしようと奔走していたものです。

しかし今、ミレニアル世代が占めていたポジションは新たな消費者グループに取って変わられようとしています。それが、ミレニアル世代に続く世代として新たに登場した「Z世代」です。彼らが成人を迎える年齢となった今、世界中のブランドやマーケターが彼らに注目しています。

なぜなら、Z世代は米国の人口の4分の1を占めるほど大きな人口グル―プであり、彼らは世界で最も影響力ある購買層になろうとしているからです。

ミレニアル世代 vs Z世代:
「デジタルパイオニア」と「デジタルネイティブ」

現在25歳~34歳くらいになるミレニアル世代は、2000年代に登場した検索エンジンをはじめ、モバイルコネクティビティ、インスタントメッセージングの台頭を目の当たりにしてきたデジタルパイオニアとも言える存在です。一方、現在16歳~24歳のZ世代は、生粋のデジタルネイティブ世代です。彼らが育ったデジタルワールドには、高速インターネット、スマートフォン、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、さまざまなゲーム機器、そしてSNSの存在が当たり前のように存在していました。

マーケターが、こうしたZ世代についての理解を深めるためには、一体何から始めればよいのでしょうか?その回答として、まずZ世代の人々が重視していること、そしてそれがミレニアル世代の性質や特徴とどう違うのかについて知ることが重要です。ここでは、Z世代の生活や考え方の軸となっている4つの価値観をご紹介しましょう。

1. ダイバーシティとインクルージョンの重視

米国の場合、Z世代は最も多様性に富み、また多文化的な背景を持った世代です。メディア企業であるAwesomenessと、調査会社のTrendaraが行った調査では、Z世代は自らの世代を示す最も的確な表現として、「流動的なアイデンティティを持つグローバル市民」「既存のルールにとらわれない人々」「テックネイティブ」といった言葉を挙げています。また、自分たちの世代に最も影響を与えるものは、SNS、テクノロジー、そして「ネットいじめ」であると考えています。

現代の生活にはSNSが広く普及しているため、Z世代はミレニアル世代に比べて、社会問題について仲間と意見交換する傾向が強いことがわかっています。実際、Criteoが最近発表したZ世代についての調査レポートでは、Z世代の半数以上がSnapchatやInstagram、Facebookを1日に複数回利用しており、動画コンテンツに至っては週に23時間も利用していることが明らかになりました。つまり、Z世代はコネクティビティを最大限に活かしながら、常に新しい情報を吸収しているのです。

Awesomenessの調査によると、Z世代の3分の1が、自分たちは人間の平等を最も強く信じている世代であると回答しています。特にこれはSNS上で急速に拡散する社会問題について、彼らが他のどの世代よりも熱心に自分の意見を表明することの裏付けであると考えられます。Z世代の半数以上は、黒人の権利を主張する国際的な社会運動である「ブラック・ライヴズ・マター」運動(80%)、トランスジェンダーの権利(74%)、およびフェミニズム(63%)といった活動について、現代社会が受け入れるべきものだと主張しています。

2. さまざまなチャネルから企業にアクセスできることを期待

SNSへの投稿やツイート、近況アップデートを通じて自己を表現することが習慣化しているZ世代は、日々の出来事を複数のオンラインプラットフォーム上で共有しています。こうした傾向から、Z世代はお気に入りのブランドとつながる場所として、実店舗だけでなくスマートフォン、SNSといった媒体を求めていることがわかります。

オープンなコミュニケーションは、Z世代にリーチするための必須要件です。デジタル化とSNS、さらにはリアルなオフラインでの体験も提供しながら顧客と双方向のコミュニケーションを確立できるブランドは、ブランドのプレゼンスを確立し、より多くのZ世代とエンゲージできるようになります。その結果、ブランドロイヤルティはますます向上し、ブランドアドボケイト(熱狂的なファン)も増加するでしょう。

オフラインとオンラインの統合に成功している化粧品ブランドのGlossierは、SNS上で熱狂的なブランドアドボケイトを持つことで知られています。同社は、急成長遂げたスタートアップ企業であり、CEOのエミリー・ワイス(Emily Weiss)氏によると、数百万ドルに上る同社の収益の90%は主に口コミによるもの、つまり複数のチャネルでファンの声に耳を傾けながら、彼らの要望に対応した結果、生み出されたものだということです。

millennials vs gen z

3. 完璧を求めないZ世代

ミレニアル世代の特徴の1つとして、将来に対する楽観的な考え方をする人が多いことが挙げられます。しかし、それとは対照的にZ世代はより現実的な視点を持っています。たとえば、彼らは真っ白な木製のフェンスに囲まれた家に住み、子どもが2~3人いて、マイカーを所有し、安定した職業に就くといった典型的な「アメリカンドリーム」に興味を示すことはほとんどありません。彼らが関心を抱いているのはむしろ、完璧な生活よりもリアルな世界を映し出した商品やメッセージです。

完璧で、幸福で、悩みのない生活といったイメージは「リアル」ではないため、彼らの共感を得ることはできないでしょう。これまでの世代と違い、Z世代が従来の「美」に対する考え方や、「簡単で手間がかからない」といったイメージを嫌うのも、このためです。

近年、「完璧ではない世界の中で、問題意識を持って生活すること」をミッションとして掲げる「ミッションドリブン」なスタートアップが台頭しています。化粧品企業のRimmelでは#LivetheLondonLookキャンペーンをスタートしました。このキャンペーンでは4人の美容系トップインフルエンサーを起用し、個性を称えるショートフィルムを作成して、「Bebold, be you.(大胆に、そして自分らしく)」というメッセージを発信。自由とクールをテーマに、「誰もが目指すべきスタイル」など存在しないこと、そしてユニークであることを恐れるべきではないとと主張し、見事にZ世代の心をつかんでいます。

4. アピールしたいのは「自分独自のスタイル」

自主独往と目的意識が強く、唯一無二のスタイルを重視するZ世代は、服やアクセサリーなどを本来の使用方法や形状、機能から逸脱させて使用することに長けています。しかも、それを実際に着こなして他人に見せることをためらいません。ミレニアル世代は職場における「ビジネスカジュアル」の定義を塗り替えましたが、Z世代はファッション業界に次なる進化をもたらしつつあります。

Criteoの「Z世代についての調査レポート」によると、 Z世代は周りと同じように見られることを嫌うため、Z世代の49%がウェブサイト上にあるユニークな商品を重視していることが明らかになっています。

そのため、ブランドはZ世代が個性的な商品を求めていることを理解した上でマーケティングを行う必要があります。ブランドはZ世代が独自の方法でさまざまな要素や物事を融合し、それらのプロセスや結果を楽しむことを応援することによって、彼らが重視する「個性の尊重」という価値観により近づくことができるはずです。

Z世代:インクルージョンと個性の世代

一見、この2つは相容れないもののように思えますが、インクルージョンと個性はZ世代の考え方に大きな影響を与えている2大原則です。人と違っていることがクールであり、完璧なものなど存在しないということを前提に、お互いの違いを受け入れようという考え方こそが、「デジタルネイティブ」として完成された最初の世代、つまりZ世代の価値観です。

こうした考え方はミレニアル世代でも一定の支持を得ていますが、Z世代はこれをSNS上で公言し、彼らのショッピングのあり方にも反映させています。Z世代の心をつかむには、ブランドの商品や製造過程のほか、マーケティングキャンペーンを通じてこうした彼らの信念を尊重・支持していくことが重要となります。

Z世代に関するインサイトについてさらに詳しく知りたい方は、調査レポート全文をダウンロードしてお読みください。