ここ数年、デジタル広告市場の伸びは著しく、日本でも2020年にはデジタル広告費がテレビメディア広告費を超えると予想されています。これに伴い、ますます注目を集めているのが「データ」を活用したマーケティング。デジタル広告は、従来のテレビ広告のように「枠」という概念にとらわれないため、広告主自身による出稿や運用が可能なので、最近では自社のデータを広告に活用する企業も増えてきているようです。こういった変化に伴い、マーケターにはどんなスキルや役割が求められているのでしょうか?
1.求められるのはデータ分析ができるマーケター
データを駆使した根拠あるマーケティングが求められる時代、マーケターには単にデータを集めるだけではなく、データ分析に基づいたマーケティング施策をプランニングする力が求められています。また、自社データを主軸としたマーケティングを行ったり、経営コンサルティングのプレイヤーがマーケティング領域とのかかわりを拡大したりするケースも珍しくなくなっており、マーケティングに関わる人材の構図が大きく変わってきていることも理解しておくべきです。データを通じてビジネスが置かれている状況への理解を深めた上で、データを駆使した提案ができるマーケターへのニーズは今後ますます高まっていくものと考えられます。
2.CPA以外の指標を見出す
これまで、データを活用したデジタル広告では、CPA(Cost Per Acquisition)を指標にするのが一般的でした。しかし、これだけデジタル広告の存在感が増し、社会に与える影響が大きくなっている状況を鑑みると、CPAだけで広告の価値を決めるのはかなり危険なことです。例えばリターゲティング広告は確かに有効な広告手段であり、CPA向上に役立ちますが、もっと長期的な視野でユーザとの有効な価値を高めるには、リターゲティング広告だけでは不十分であり、ユーザにとってより親和性のある広告も同時に必要になってくるはずです。その意味で、デジタル広告がより健全で安心できるものであるために、今後はCPAだけでなく、新たな指標を見出すことが求められるようになるのではないでしょうか。
3.ユーザを深く理解する
ユーザとの親和性が高く、安全で快適な広告を届けるためには、ユーザへの深い理解が欠かせません。マーケターは、年齢や性別、購買履歴だけではなく、その他あらゆるデータを駆使してユーザと向き合い、そのユーザがどんな人なのかを理解しなくてはなりません。例えばこれまでは、同一人物がモバイルで商品を検討したあとにPCサイトでその商品を買った場合、データ上ではモバイルとPCでは別のID(人)として認識されるため、購入後もモバイル上でその商品の広告が表示されてしまう現象が起きています。これでは、ユーザにとって親和性がある快適な広告配信とは言えません。そこで、注目を浴びているのが、デバイスを横断してユーザを一人の人と認識して、その人に関するデータを統合できるデータ基盤をもつDMP(Data Management Platform)です。デバイスやIDではなく、「人」そのものをベースにしたマーケティング設計への転換を検討すべき時が来ています。
4.アドベリフィケーションを推進する
2018年はアドフラウドやブランド毀損リスク、ビューアビリティの問題に注目が集まり、デジタル広告の抱える問題が浮き彫りになった年でした。2018年に「アドベリフィケーション推進協議会」が発表したリポートによると、主要各国のプログラマティック広告取引におけるアドフラウドの割合は8.6%(IAS社調査)。これに対して、日本の数値はIAS社の調査では8.4%(IAS社調査)、または9.1%(Momentum社調査)となっており、日本国内のアドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティの状況は、海外と同様もしくはそれ以上にアドベリフィケーションへの取り組みが急務であることが明らかになりました。
(出典:アドベリフィケーション推進協議会ホームページ)
アドベリフィケーションは、マーケターとプラットフォームを提供するベンダー、代理店、媒体社などデジタル広告に関わる全ての立場の人が一丸となって取り組むべき課題です。それぞれの立場で対策を行い、足並みをそろえて透明化を図っていく必要があります。
いかがでしたか?目まぐるしく変化するデジタル広告業界のトレンドに乗り遅れないよう、早めに準備を始めましょう。