チャネル別に解説!2020年のデジタルマーケティング戦略ガイド(前編)

更新日 2021年01月13日

コロナウィルスの世界的な感染拡大で、大混乱の様相を見せてきた2020年のデジタルマーケティング業界。文字通り、何が起こるかわからない状況下ではありますが、こんなときこそ平静を失わず、マーケティング戦略をしっかり実践しましょう。

Criteoでは世界のトップマーケター約900名に今年のマーケティング予算配分についてアンケートを実施。その結果からマーケターが重視している9チャネルをピックアップしました。今回は、その9チャネルそれぞれで成功をおさめるためのポイントをご紹介します。

1.有料ディスプレイ広告~検討段階の消費者に自社サイト訪問を促そう

Criteoのアンケートでは、世界のマーケターが2020年に最も多く予算を投じるチャネルは、有料ディスプレイ広告であることが明らかになりました。なお、有料ディスプレイ広告に投じられる予算のうちの41%がリターゲティング広告に関する予算です。有料ディスプレイ広告はウェブ、モバイル、アプリを問わず、ショッピングジャーニーのあらゆる段階で消費者に効果的にリーチできる戦術の1つで、主にブランド認知度の向上、サイトトラフィックの改善に効果が認められています。そのため、これまで有料ディスプレイ広告は、認知段階でのキャンペーンに有効とされてきましたが、近年、消費者の選択肢の幅が広がるにしたがって、購入の意思決定に至るプロセスはますます複雑化しています。実際、Criteoが行った調査「ショッパーストーリー2020」でも、「最初に訪問したサイトで購入する」と応えた人は全体の10%にとどまっています。つまり、消費者は他のサイトやアプリを閲覧しながら商品の比較検討をし、購入する商品や場所を探しているのです。

Criteoではこの時点の消費者にこそ、「検討段階向けキャンペーン」が効果を発揮すると分析しています。商品を比較検討中の消費者に、ブランドイメージやメッセージと商品レコメンドを組み込んだ有料ディスプレイ広告で御社のブランドをアピールし、サイト訪問を促すのです。

2.ソーシャルメディアマーケティング~Instagramの「チェックアウト」に注目

Criteoが行ったマーケティング予算の配分に関するアンケートで、有料ディスプレイ広告に次いで2番めに多くの予算(全体の14%)を獲得したのが、ソーシャルメディアマーケティングに関する予算です。ソーシャルメディア広告が支持される理由は明白です。人々がソーシャルメディア閲覧に費やす時間はますます増えているため、ソーシャルメディアのプラットフォームにはデモグラフィックデータや好み(好きなブランドやセレブ、スポーツチームなど)別にターゲティングできる膨大なオーディエンスが潜在しているからです。

ソーシャルメディアマーケティングで特に有効とされている手法が、リターゲティングです。御社のサイトを閲覧したり商品をカートに入れたまま放置したりしている消費者に、facebookやInstagram上でリターゲティングキャンペーンを展開してリマインドするか、彼らが興味を持ちそうな別の商品をレコメンドする広告を表示しましょう。

なお、数あるソーシャルメディアの中で2020年、もっとも注目すべきはInstagramです。Instagramはユーザーの広告1件あたりの注文単価が最も高いメディアである上、2019年にアメリカ限定のベータ版でリリースした「チェックアウト」機能に注目が集まっています。チェックアウトは、Instagram上で見つけた商品を直接その場で購入できる便利な機能で、一部の専門家は「チェックアウトは2021年までに100億ドルの収益を生み出すだろう」と予測しています。チェックアウトが一般リリースされるまでの間は、Instagram上で閲覧した商品を御社のサイトで購入できる既存の機能「ショッピング」をフル活用して、フォロワーの獲得に努めましょう。

3.従来のマーケティング~データドリブンなダイレクトメールの活用を

新たなマーケティング手法が次々と現れる中にあっても、従来のマーケティング手法がまったく価値を失ってしまったわけではありません。Criteoが行ったマーケティング予算の配分に関するアンケートでは、実に全体の13%もの予算が従来のマーケティング(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、ダイレクトメールなど)に使われる予定であることがわかりました。2020年には全広告支出の半分がデジタル広告に関する支出になると予測されていますが、昔ながらの形式の広告もまだ、ブランディングに必要だと考えられているようです。

中でも、ここに来て注目を集めているのが、ダイレクトメールです。ダイレクトメールはデジタルとの融合、つまりデータドリブンのダイレクトメールという形で、今後も利用され続けられるだろうと予想されています。実際、Eメールを送っても反応のないメルマガ購読者や休眠顧客とのリエンゲージメントにダイレクトメールを送ることによって、大きな成功をおさめる企業やブランドも出てきており、例えばダイレクトメール(葉書)を受け取ったグループは顧客一人あたりのオーダーが35%も増加し、受け取っていないグループに比べて純収益が60%も増えたという実例も報告されています。CRMとダイレクトメールのプログラムの融合が、売上増に繋がる可能性は十分にあります。

4.Eメールマーケティング~モバイルファーストなコンテンツとデザインを

特に目新しさを感じないかもしれませんが、Eメールマーケティングは今もなお、世界中にマーケターから根強い支持を受けています。Criteoが行ったマーケティング予算配分のアンケートでも、全予算の約10%がEメールマーケティングに費やされることがわかっています。その理由は、なんと言ってもROI(費用対効果)の良さにあります。実際、Emmaが行った調査によりと、マーケターの約59%がEメールマーケティングが広告費のROI向上に貢献したと回答しています。消費者の反応も上々で、Criteoが行った「ショッパーストーリー2020」では、消費者の約21%が「この2年で小売業者やブランドのEメールマーケティングにますます影響を受けるようになった」と回答しました。

2020年に、さらにEメールマーケティングの効果を引き出したいのであれば、キーワードはずばり、「モバイルファースト」です。今や世界の全ウェブトラフィックの半分以上をモバイルが占め、メール開封率もモバイルデバイスがデスクトップを上回っています。シンプルなテキストとデザイン、そしてみつけやすいCTA(Call To Action)が、モバイルフレンドリーなEメールを成功させる秘訣です。画像のサイズは小さめにし、ランディングページに誘導するためのメッセージも忘れずに!

5.コンテンツマーケティング~キーワードは「音声認識」

コンテンツマーケティングも根強い人気があります。コンテンツ・マーケティング・インスティトゥートが行った調査では、59% のBtoCマーケターが「2020年にコンテンツマーケティングへの予算配分を増やす予定」と回答しています。SEO対策にも有効な「ブログ」、その分野のエキスパートとしてのブランド価値向上に役立つ「長文コンテンツ」、2021年までにサイトトラフィックの80%以上を占めることになると予想されている「動画」など、御社独自のコンテンツを作成して、発信しましょう。

あらゆるコンテンツの中で、2020年に特に注目を集めているのが音声認識型のコンテンツです。背景には「音声検索」の普及があります。eMarketerの調査によるとアメリカとイギリスのインターネットユーザーの20%以上が月に1度はスマートスピーカーを利用していることが明らかに。さらにCanalysのデータでも、世界のスマートスピーカー市場は2019年第四半期に3桁成長を遂げたことがわかりました。こうした傾向は今後も続くと見られていることから、音声認識型コンテンツをつかったマーケティングを検討してみる価値は十分にあります。たとえば、検索結果にスニペットがつくように御社のサイトを最適化する、Amazon EchoやGoogle Home向けにAlexaの「スキル」や「Actions on Google」への対応、音声検索で対話方式の質問に回答するためのQAスタイルのコンテンツ開発の必要性を検討してみてはいかがでしょうか。

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