コロナで男性の美意識も向上?男性用化粧品市場が好調

新型コロナウイルスの影響で生活が様変わりする中、男性向け美容市場が思わぬ盛り上がりを見せています。

メンズスキンケアブランド「BULK HOMME(バルクオム)」は、今年7月、2013年の事業開始以来シリーズ累計出荷数が500万本を超えたことを発表しました。特にコロナウイルスによる外出自粛の影響を受けた2020年3月~5月はECを中心に売り上げが好調に推移し2020年の上半期だけで100万本以上を出荷。コロナ禍の中、スキンケアに励む男性が増えている理由として、BULK HOMMEは次のように分析しています。

  1. リアル店舗で購入していた人の多くがオンラインショッピングへ移行した。
  2. 自分の時間が増えたことで“自分磨き”を行う人が増えた。
  3. ZOOMなどのオンライン会議などが増え、自分の顔を見る機会が増え、スキンケアへの関心が高まった。
  4. 常にマスクをしている為、肌が荒れるケースが増えた。

(画像:バルクオムプレスリリースより)

オンライン会議で画面に映し出される自分の顔と対面し、肌荒れや顔色の悪さ、テカリなどに気づいてしまい、「お手入れしないと・・・」と危機感を抱くのは、男性も同じ。実店舗では気恥ずかしくてなかなか化粧品やスキンケアアイテムを購入できない人も、オンラインなら躊躇なく購入できることも、ECでの売り上げが伸びている一因だと考えられます。

もっとも男性のスキンケアアイテムや化粧品への関心は、コロナ時代になって急に生まれたわけではありません。コロナ以前から、男性向け美容市場は拡大しつつありました。

化粧品大手・資生堂が2018年に行った「男性・美容意識実態調査」では、調査対象となった男性7,500人のうち約半数が化粧水やリップクリームなどの保湿製品を使用、うち6割が週に5日以上使用していると回答しています。最近ではスキンケアアイテムのみならず、BBクリーム(顔の色むらを補正するファンデーション)やアイブロウを身だしなみの一環として使用する男性も増えており、資生堂が2019年3月に発売した男性用BBクリーム「UNOフェイスカラークリエイター」は2019年末までに38万4000個を売る大ヒット商品に。

(画像:資生堂プレスリリースより)

さらに資生堂が2019年に20代~50代の男性を対象に行った「男性メイクに関するアンケート」では「BBクリームの塗布やアイブロウで眉を整える行為」の経験がない男性のうち、それらの行為を「すごくしてみたい」と答えた人は26.2%、「してみたい」が25.3%、「機会があったらしてみたい」は35%で、全体の約9割が「してみたい」という意向をもっている
ことが明らかになっています。

では、スキンケアや化粧品は働く男性たちの心理にどのように影響を及ぼしているのでしょうか?

資生堂では2020年6月と7月に、生体反応データ(脳波・心拍)の測定とアンケートを通じて「急増するオンラインミーティングにおいて、男性メイクが与える心理的影響を可視化する検証実験」を実施。男性メイク(肌の色むらやキメを整えて見せるBBクリーム、眉の形を整えるアイブロウ、血色をよくみせるリップクリーム)をする場合としない場合とで、インタビュイー(その男性自身)とインタビュアー(デジタル画面を通してインタビューする相手側)に及ぼす心理的効果の差異を検証しました。

具体的には、簡易型脳波計と耳朶(じだ)装着型心拍計測機を装着し、被験者がどのような感情を抱いているかをリアルタイムで可視化できるSOOTH独自のアプリケーション「脳内モニター」を用いて、オンラインミーティング中の対象者(男女6名)の生体反応(脳波・心拍)を測定。

また、インタビュアー/インタビュイー双方に、ミーティング終了直後にインタビューの印象について問うアンケートを実施し、男性メイクがオンラインミーティングに及ぼす心理的影響を検証したところ、以下のような結果が得られました。

  1. オンラインミーティングでの第一印象も、ミーティング全体を通しての印象も、メイクをしているほうが有意に高評価の傾向にある。
  2. 脳波・心拍測定の結果、メイクをした相手への印象上昇には「心地よく、心が沈静化した状態=リラックスした感情」が関与している。

さらに、参加者全員が「メイクをしたときのほうがミーティング全体の完成度が高かった」と回答。

メイクが男性自身にも他の参加者にも良い影響を及ぼし、ミーティングの成果向上にもつながる可能性が高いことが示唆

される結果となりました(※)。

肌の手入れができて、しかもビジネスにも好影響を与える。そんな便利な「ツール」としてスキンケア・メイクアイテムを取り入

れる男性が、今後ますます増えていくことになりそうです。

※実験結果の詳細は⇒資生堂プレスリリースをご覧ください。