コロナで変わるネットショッピング~利用世帯が初の50%超え

ネットショッピングの利用率、支出額ともに過去最大に

2020年は世界中で「買い物」の在り方が大きく変わった1年でした。新型コロナ感染拡大への不安が巻き起こした「買いだめ」、そして店頭から消えた商品がネット上で高く転売される問題も勃発。そして緊急事態宣言後は、買い物のための外出を控える人が増えたこと、小売店や飲食店が時短営業や営業自粛に踏み切ったことによりネットショッピングの利用が急増しました。総務省が毎月行っている「家計消費状況調査」では、2020年5月には、ネットショッピング利用世帯が、同調査でネットショッピングを調査対象にした2002年以降初めて、全体の50%を突破、2020年10月には前年同月比8.8ポイント増の50.9%に達しています。

出典:総務省「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」(2020年12月8日発表)

また、2020年は一世帯あたりのネットショッピングの支出額も大きな伸びを示しました。同じく総務省の家計調査状況調査では、2020年10月の1世帯あたりのネットショッピング支出額は平均1万7876円と、2019年10月の1万2967円に比べて37.9%増を記録。ネット利用世帯に限定した平均でも2020年10月が3万5092円と、2019年10月の3万819円に比べ+13.9%と大きく上昇しています。

出典:総務省「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」(2020年12月8日発表)

ネットショッピング、売れているのは食品と家電、そして・・・?

さらに、ネットショッピングにおける売れ筋商品にも変化が表れています。新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は、ネットショッピングの支出をけん引していたのは「旅行」と「チケット」関連で、この2つだけでネットショッピングの支出全体の約3割を占めていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で旅行、チケットともに売り上げが激減、変わって以下の4つの項目が大きな伸びを記録しています。

日本のネットショッピングには、まだ「伸びしろ」が

新型コロナウイルスの感染拡大を機に日本のネットショッピング利用世帯は50%を超えましたが、逆に言うと、まだ50%の世帯しかネットショッピングを利用していないということでもあります。つまり、まだネットショッピングを利用していない世帯が50%も残っているということです。この残り50%がネットショッピングを利用するようになれば、ネットショッピング市場規模は単純計算しても2倍に拡大することになります。つまり、日本のネットショッピングには、まだまだ大きな伸びしろがあるということです。

この伸びしろを活かせるかどうかのカギを握るのが、EC化の促進です。経済産業省の「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、日本国内のBtoCのEC化率は、6.76%にとどまっており、アメリカの10%、中国の35%に後れをとっています。新型コロナウイルスがもたらした消費行動の変化によって浮き彫りになった日本のネットショッピングの伸びしろの大きさを、いかにしてビジネスチャンスにつなげるのか、マーケターの手腕が問われています。