本ブログでは、去る4月27日に開催された第3回Criteo Webinar「グローバルデータから見る今後の日本」の概要をご紹介します。前編のトラベル市場に続き、後編ではコロナ禍でのリテール市場について、Criteo日本オフィスで Chief Industry Strategistを務める中村祐介が最新のグローバルデータをもとに分析しました。
世界的に好調な「アート&趣味用品」
まずは、カテゴリー別のトレンドを見ていきましょう。
カテゴリー別に2021年3月・4月のページ閲覧数と売り上げを対比してみると、世界的に最も大きな伸びを示したのが「アート&趣味用品」で、ページ閲覧数が日本では前年比+80%、売り上げが+70%、イギリスでは閲覧数が+25%、売り上げが+13%、アメリカでは閲覧数が+27%、売り上げが+27%と、それぞれ大きな伸びを示しました。外出自粛に伴って自宅で過ごす時間が増え、室内を装飾するアートや室内でできる趣味にお金を使う人が増えていることがよくわかります。
また、日本のみで閲覧数・売り上げが伸びたカテゴリーとしては、「スポーツ用品」「飲料品、たばこ」「ペット、ペット用品」「電子機器」が顕著でした。逆に日本のみ、回復が遅れているのは「旅行かばん、バッグ」で、前年比90%減と大きく下落しています。3度目の緊急事態宣言下ということもあって旅行需要が回復しない中、旅行用品の需要も、もうしばらくの間は難しいものとみられます。
日本 第4四半期飲料・食品が大きな伸び
続いて、2021年第4四半期に日本市場で何が売れたのかを見てみましょう。Criteoが2021年9月~12月のデータを分析した結果、最も大きな伸びを示したのは、飲食料。特にクリスマスシーズンは、「外食に行けない分、自宅で豪華な食事を」と考えた人が増えたことを反映したのか、群を抜いて大きな伸びを示しました。
ワクチン接種が進むアメリカの傾向は?
では、日本よりもワクチン接種が大きく先行しているアメリカのリテール市場には、どのような動きが見られるのでしょうか?
2020年12月末~2021年3月のデータを見てみると、「衣料品・アクセサリー」のカテゴリーではワクチン接種が進んだ2021年1月初旬から実店舗での販売指数が回復し始め、1月末にはECの販売指標を逆転、3月末現在も実店舗がECを上回る状況が続いています。
また、アメリカでは子ども・ベビー用品も2021年に入ってから実店舗での販売指標が上昇し、3月下旬にはECでの販売指標を大きく上回りました。同じくハードウェアについても、2021年2月の後半から一気に実店舗での販売指標が伸び始め、3月下旬にはECの指標を40ポイント近く上回りました。
さらに、ヘルス&ビューティーの指標もワクチン接種の拡大した2021年2月以降、実店舗の指標がECの指標を上回り、3月下旬現在、その差は60ポイントに。化粧品やメイクアップ用品については、「店頭で色や使い心地を試してから買いたい」という顧客が、店頭に戻り始めていると見られます。
もちろん、今後のコロナウイルスの感染状況にもよりますが、日本でもアメリカと同様にワクチン接種が進んで感染者が減少すれば、アメリカと同様に実店舗への回帰が一気に進む可能性があります。逆に言うと、コロナ禍でECが快調だったカテゴリーではECでの売り上げが実店舗に、一時的にせよ、奪われてしまうことになります。それを最小限に抑えるにはどうすれば良いのか、逆に顧客を取り戻した実店舗は、戻ってきた顧客との関係をいかに再構築すべきかについて、それぞれ知恵を絞り、施策を用意しておくことが欠かせません。
ワクチン接種先進国・先進地域のリテール市場から読み取れるデータは、今後の日本のリテール市場の行く先を予測し、先手を打つための資料として、非常に有意義なものになるはずです。Criteoでは、今後も、皆様に役立つ情報を提供できるよう、グローバルデータの収集と分析を続けて参ります。
グローバルデータ分析の詳細にご興味のある方は、どうぞお気軽にCriteoまでお問い合わせください。